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第7章 土の大龍穴編
122 特殊個体の魔石
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ルシアが依頼している物を作るためには特殊個体クラスの魔石が必要らしい。
そしてどうやらシルスさんは特殊個体の居場所を知っているようだ。
「ここらでは有名な魔物だからのう。特殊個体はこの山の山頂付近にいると言われる氷竜だ。Aランクハンターが討伐できなかったほどの強さだが、山頂付近から下りてくることもないから放置されておる魔物だ」
Aランクハンターが勝てないなんて、やっぱり特殊個体ってとんでもない強さだな……。
『ふん。あやつらは我ら龍族の龍形態に似ておるから竜などと呼ばれておるが、しょせんは知性の低い魔物。我らが討伐してくれよう』
ルシアが妙にやる気だぞ。魔石が欲しいんだろうけど、氷竜ということに触発された感じだ。
「シルスさん。山頂付近にいるということですけど、ここからどれぐらいで行けるのでしょうか?」
「ここは山の中腹だからのう。ハンターでも普通に登るのなら2日はかかる」
「2日もかかるんですか!? とんでもなく高いところにいるんですね!」
僕が驚いていると、シルスさんが不思議そうな顔をしている。
「いや、それはそうだろう。モントオールは世界一高い山だからな」
「えっ! ここはモントオールなんですか?」
「なんだお主、ここがモントオールと知らんで訪ねて来ておったのか?」
「土の大龍穴からルシアの転移で来たもので、違う山に来たものかと思ってました」
「ガハハハハ! なるぼどのう。一瞬でモントオールの地下から中腹に移動したのなら、どこにおるか分からなくても不思議ではないのう」
ここって霊峰モントオールだったのか。勝手に違う山に転移したものだって思い込んでたよ。
『それでは行くとするか』
「え? もしかして今から行くつもり?」
『当然だ。こんなことで悩む必要も無いだろう』
こんなことって……特殊個体と戦うんですよ?
「でも、山頂付近に行くまでに時間もかかるし、準備もいるんじゃないの?」
『あほう! 馬鹿正直に山を登る必要は無いのだぞ? 転移すればすぐだが、それよりも飛んで行けばいいだけだ。お主は飛べるようになったことを忘れていないか?』
「あっ、そうだね……。飛んで行けば早いね」
「え~! レンにいちゃんって飛べるの? 本当にすごいや!」
カノアくんがまたまた目を輝かせて僕を見てる。そうだね。飛べるのは普通じゃないよね。
『それではシルスよ。今から行ってくるゆえ、昼食の準備を頼む』
「ガハハハッ! ルシア様はお昼どきには戻ってこられるおつもりか。これは本当におつかい感覚だのう」
シルスさんが豪快に笑いながら僕たちを見送ってくれた。
『どうだ。飛べるとすごく便利であろう?』
「いや、それは本当にそうだね。この高さを普通に登るのなら1日かけても無理だと思うよ」
浮遊の魔法のおかげで山頂付近にもまもなく着きそうだ。障壁魔法と風の加護があるから寒さや酸素が少ないことも何の支障もない。
『そろそろ山頂付近だ。戦闘の準備を怠るなよ』
「やっぱり僕が戦うんだね。戦闘の準備と言っても、氷竜という名前で想像できる戦闘シミュレーションぐらいしかしてないけどさ」
『それが大事なのだ。あらゆる状況を想定しておくことが基本だ。想定外にも対応できるようにな』
「うん。それはできてるよ。……あれ? 山頂付近には巨大な魔力反応がいくつもあるよ! 氷竜以外にも魔物がいる?」
僕の探知魔法にはとても大きな魔力反応がいくつも見えている。しかもこれ、あのときのクイーンサンドワームよりも大きくないか? そういえば以前倒したクイーンサンドワームはフライアがまだ生まれたばかりのやつって言ってたっけ。
いや、そんなことより特殊個体クラスの魔力反応がいくつもあるんですけど! それぞれの距離は離れてるから群れでは無さそうだけど。
『氷竜は一体だけなんて誰も言っておらんぞ? モントオールの山頂付近は特殊個体の氷竜どもがねぐらにしておるのだ。別に全てを討伐する必要は無い。ここから一番近いやつを狙うとしよう』
「そういうことね。それじゃあ僕の探知魔法で一番近いやつを目指すよ」
いよいよ山頂付近に近づいてきた。この辺りはかなり吹雪いてるな。視界が悪い。
『レン、気をつけろよ。相手も気づいているぞ』
僕たちからは全く氷竜が視認できる距離じゃないんだけど、僕たちは魔力反応で相手の場所をとらえている。
氷竜も何らかの方法で僕たちに気づいているわけか。確かに相手が臨戦態勢に入ってる空気を感じるな。
僕は警戒を一段階上げて、氷竜に近づく。
とにかく先制攻撃はこちらから行きたいね。様子を見るような余裕は無いのだから。
さて、クイーンサンドワーム以来の特殊個体との対決だ。今できる全てのことを出しきるぞ!
そしてどうやらシルスさんは特殊個体の居場所を知っているようだ。
「ここらでは有名な魔物だからのう。特殊個体はこの山の山頂付近にいると言われる氷竜だ。Aランクハンターが討伐できなかったほどの強さだが、山頂付近から下りてくることもないから放置されておる魔物だ」
Aランクハンターが勝てないなんて、やっぱり特殊個体ってとんでもない強さだな……。
『ふん。あやつらは我ら龍族の龍形態に似ておるから竜などと呼ばれておるが、しょせんは知性の低い魔物。我らが討伐してくれよう』
ルシアが妙にやる気だぞ。魔石が欲しいんだろうけど、氷竜ということに触発された感じだ。
「シルスさん。山頂付近にいるということですけど、ここからどれぐらいで行けるのでしょうか?」
「ここは山の中腹だからのう。ハンターでも普通に登るのなら2日はかかる」
「2日もかかるんですか!? とんでもなく高いところにいるんですね!」
僕が驚いていると、シルスさんが不思議そうな顔をしている。
「いや、それはそうだろう。モントオールは世界一高い山だからな」
「えっ! ここはモントオールなんですか?」
「なんだお主、ここがモントオールと知らんで訪ねて来ておったのか?」
「土の大龍穴からルシアの転移で来たもので、違う山に来たものかと思ってました」
「ガハハハハ! なるぼどのう。一瞬でモントオールの地下から中腹に移動したのなら、どこにおるか分からなくても不思議ではないのう」
ここって霊峰モントオールだったのか。勝手に違う山に転移したものだって思い込んでたよ。
『それでは行くとするか』
「え? もしかして今から行くつもり?」
『当然だ。こんなことで悩む必要も無いだろう』
こんなことって……特殊個体と戦うんですよ?
「でも、山頂付近に行くまでに時間もかかるし、準備もいるんじゃないの?」
『あほう! 馬鹿正直に山を登る必要は無いのだぞ? 転移すればすぐだが、それよりも飛んで行けばいいだけだ。お主は飛べるようになったことを忘れていないか?』
「あっ、そうだね……。飛んで行けば早いね」
「え~! レンにいちゃんって飛べるの? 本当にすごいや!」
カノアくんがまたまた目を輝かせて僕を見てる。そうだね。飛べるのは普通じゃないよね。
『それではシルスよ。今から行ってくるゆえ、昼食の準備を頼む』
「ガハハハッ! ルシア様はお昼どきには戻ってこられるおつもりか。これは本当におつかい感覚だのう」
シルスさんが豪快に笑いながら僕たちを見送ってくれた。
『どうだ。飛べるとすごく便利であろう?』
「いや、それは本当にそうだね。この高さを普通に登るのなら1日かけても無理だと思うよ」
浮遊の魔法のおかげで山頂付近にもまもなく着きそうだ。障壁魔法と風の加護があるから寒さや酸素が少ないことも何の支障もない。
『そろそろ山頂付近だ。戦闘の準備を怠るなよ』
「やっぱり僕が戦うんだね。戦闘の準備と言っても、氷竜という名前で想像できる戦闘シミュレーションぐらいしかしてないけどさ」
『それが大事なのだ。あらゆる状況を想定しておくことが基本だ。想定外にも対応できるようにな』
「うん。それはできてるよ。……あれ? 山頂付近には巨大な魔力反応がいくつもあるよ! 氷竜以外にも魔物がいる?」
僕の探知魔法にはとても大きな魔力反応がいくつも見えている。しかもこれ、あのときのクイーンサンドワームよりも大きくないか? そういえば以前倒したクイーンサンドワームはフライアがまだ生まれたばかりのやつって言ってたっけ。
いや、そんなことより特殊個体クラスの魔力反応がいくつもあるんですけど! それぞれの距離は離れてるから群れでは無さそうだけど。
『氷竜は一体だけなんて誰も言っておらんぞ? モントオールの山頂付近は特殊個体の氷竜どもがねぐらにしておるのだ。別に全てを討伐する必要は無い。ここから一番近いやつを狙うとしよう』
「そういうことね。それじゃあ僕の探知魔法で一番近いやつを目指すよ」
いよいよ山頂付近に近づいてきた。この辺りはかなり吹雪いてるな。視界が悪い。
『レン、気をつけろよ。相手も気づいているぞ』
僕たちからは全く氷竜が視認できる距離じゃないんだけど、僕たちは魔力反応で相手の場所をとらえている。
氷竜も何らかの方法で僕たちに気づいているわけか。確かに相手が臨戦態勢に入ってる空気を感じるな。
僕は警戒を一段階上げて、氷竜に近づく。
とにかく先制攻撃はこちらから行きたいね。様子を見るような余裕は無いのだから。
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