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第7章 土の大龍穴編
124 ルシアと氷竜
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『さて、レンよ。氷竜の魔石の場所、つまり心臓がどこにあるか分かるか?』
「そうだね。魔力の流れを見ると、他の魔物と同じく左胸のところにあるみたいだね」
『その通りだ。クイーンサンドワームのように心臓の位置が分かりにくい魔物もいるが、氷竜は分かりやすい位置にある。そこにさえ気をつけておけば、どんな攻撃をしても問題無いというわけだ』
そうだよね。魔石を取ってくるのが目的なんだから、さっきの僕みたいにどこにでも次元断のマーキングをしてたら、間違いなく魔石も傷つけてたね。
『しかし時空間魔法で仕留めるのも面白くない。氷竜の弱点である属性魔法を使って倒すことにするか』
「それって、ルシアが火魔法を使うってこと!?」
『そうだぞ。空の紋章の所有者であるから全て使えるのは当然であろう。なぜそんなに驚くのだ?』
「いや……。ルシアが火魔法を使うイメージがないからさ」
『お主の戦い方の参考にもなるであろうからな』
「……あのさ。こんなに色々と話してるけど、なぜか氷竜が攻撃を仕掛けても来ないんだけど、どういうことなんだろう?」
『ああ、今はお主と話すために氷竜の時間を止めておるからな』
「はは……。何でもありだね……」
ルシアの規格外っぷりは飛び抜けてるよね。
『それでは始めるぞ』
ルシアの言葉と同時に氷竜が動き出す。あれはまたブレス攻撃だ! 口に魔力が集中してブレスが放たれる。氷竜のブレスがルシアに目がけて一直線に突き進む。
『ふん。馬鹿の一つ覚えだな』
ルシアが小さく呟くと、右手を氷竜のブレスに向ける。すごい量の魔力が集まっているぞ! その右手からは渦を巻いたような大量の炎が放出され、ブレスとぶつかり合った。おお! 炎が氷竜のブレスを受け止めている。
『レンよ。これは火属性の攻撃魔法でファイアーストームという。火魔法だけで使用すると威力はこんなものだ。この魔法に風魔法を加えるとこうなる』
威力はこんなものって……あの氷竜のブレスを受けきってるけど? ルシアの右手には新たに魔力が集中している。すると炎の威力が格段に上がっていく。
『火魔法と風魔法を組み合わせることで、効果が飛躍的に上がる攻撃魔法だ。見ていろ』
さっきまで拮抗していた氷竜のブレスを、炎の渦が飲みこんでいくように押し返していく。
『手加減しないとこのまま氷竜まで焼き尽くしてしまうな』
ルシアは炎でブレスを消し去ると、氷竜にはダメージを与えないようにファイアーストームの威力を落としていく。
『ファイアーストームの本来の使い方は広範囲の攻撃魔法だ。周囲数百mを燃やし尽くすとかな。今回は威力を調整してブレス対策として使用した。あとはこれにしよう』
ルシアの左手からものすごい速度で氷竜に炎の塊が飛んでいく。
グギャーーーー!!!
氷竜を見ると……頭が無くなってる……。
「ルシア、今の魔法は……」
『お主もよく使っているファイアーボールだ。氷竜の魔法防御を消し飛ばすために、魔力を高密度にはしたがな。うむ。魔石を回収しておこう』
ルシアは残された氷竜の身体から魔石を抜き出して収納空間にしまっている。
それにしてもルシアのファイアーボールの威力はとんでもなかったぞ。魔力量、魔力の集中の仕方とスピード、どれをとっても高レベルなんて表現では済まされない領域にルシアはいるんだな。
僕がやられそうになった氷竜をそこらにいる弱い魔物のように倒してしまった。氷竜って特殊個体なんだよ!
「あのさ、ルシア。ルシアがまともに戦うところを初めて見たんだけど、ハッキリ言ってとんでもないね。龍族の人たちが敬うのも分かるし、僕なんかが付きっ切りで教えてもらっていいのかと改めて思ったよ」
そう言うと、ルシアが僕のことを呆れた表情で見ている。
『お主、我の強さを今ごろ理解したのか? 何となくでも分かるだろうに。
二つ訂正させてもらうが、龍族の者たちが我を慕ってくれておるのは、強さが理由の者もおるかも知れんが、強さは関係ない話だぞ。あと、お主に色々と教えておるのは最初に言ったように力の使い方を学んでもらうためだ。空の紋章の所有者に教えるのは、同じ所有者である我が最も適しておるからな。
お主は我の強さに驚いたようだが、お主もここに辿り着ける力を秘めておるのだ。だからこそ、その力の使い方をしっかりと学び、己を律する心の強さも身に付けよ』
さっきのルシアと同じようになれるなんて信じられないんだけどな。でも、龍族の人たちは僕が空の紋章の所有者だと知ると、みんな驚いていたし、接し方も変わるのはそういうことなのかな。
正直、ルシアの言葉をきいても実感は無かったけど、僕に秘められた力があのようにすごいものなのであれば、しっかりと力の使い方を学んで、決して過信や慢心をしないことを心に誓った。
「そうだね。魔力の流れを見ると、他の魔物と同じく左胸のところにあるみたいだね」
『その通りだ。クイーンサンドワームのように心臓の位置が分かりにくい魔物もいるが、氷竜は分かりやすい位置にある。そこにさえ気をつけておけば、どんな攻撃をしても問題無いというわけだ』
そうだよね。魔石を取ってくるのが目的なんだから、さっきの僕みたいにどこにでも次元断のマーキングをしてたら、間違いなく魔石も傷つけてたね。
『しかし時空間魔法で仕留めるのも面白くない。氷竜の弱点である属性魔法を使って倒すことにするか』
「それって、ルシアが火魔法を使うってこと!?」
『そうだぞ。空の紋章の所有者であるから全て使えるのは当然であろう。なぜそんなに驚くのだ?』
「いや……。ルシアが火魔法を使うイメージがないからさ」
『お主の戦い方の参考にもなるであろうからな』
「……あのさ。こんなに色々と話してるけど、なぜか氷竜が攻撃を仕掛けても来ないんだけど、どういうことなんだろう?」
『ああ、今はお主と話すために氷竜の時間を止めておるからな』
「はは……。何でもありだね……」
ルシアの規格外っぷりは飛び抜けてるよね。
『それでは始めるぞ』
ルシアの言葉と同時に氷竜が動き出す。あれはまたブレス攻撃だ! 口に魔力が集中してブレスが放たれる。氷竜のブレスがルシアに目がけて一直線に突き進む。
『ふん。馬鹿の一つ覚えだな』
ルシアが小さく呟くと、右手を氷竜のブレスに向ける。すごい量の魔力が集まっているぞ! その右手からは渦を巻いたような大量の炎が放出され、ブレスとぶつかり合った。おお! 炎が氷竜のブレスを受け止めている。
『レンよ。これは火属性の攻撃魔法でファイアーストームという。火魔法だけで使用すると威力はこんなものだ。この魔法に風魔法を加えるとこうなる』
威力はこんなものって……あの氷竜のブレスを受けきってるけど? ルシアの右手には新たに魔力が集中している。すると炎の威力が格段に上がっていく。
『火魔法と風魔法を組み合わせることで、効果が飛躍的に上がる攻撃魔法だ。見ていろ』
さっきまで拮抗していた氷竜のブレスを、炎の渦が飲みこんでいくように押し返していく。
『手加減しないとこのまま氷竜まで焼き尽くしてしまうな』
ルシアは炎でブレスを消し去ると、氷竜にはダメージを与えないようにファイアーストームの威力を落としていく。
『ファイアーストームの本来の使い方は広範囲の攻撃魔法だ。周囲数百mを燃やし尽くすとかな。今回は威力を調整してブレス対策として使用した。あとはこれにしよう』
ルシアの左手からものすごい速度で氷竜に炎の塊が飛んでいく。
グギャーーーー!!!
氷竜を見ると……頭が無くなってる……。
「ルシア、今の魔法は……」
『お主もよく使っているファイアーボールだ。氷竜の魔法防御を消し飛ばすために、魔力を高密度にはしたがな。うむ。魔石を回収しておこう』
ルシアは残された氷竜の身体から魔石を抜き出して収納空間にしまっている。
それにしてもルシアのファイアーボールの威力はとんでもなかったぞ。魔力量、魔力の集中の仕方とスピード、どれをとっても高レベルなんて表現では済まされない領域にルシアはいるんだな。
僕がやられそうになった氷竜をそこらにいる弱い魔物のように倒してしまった。氷竜って特殊個体なんだよ!
「あのさ、ルシア。ルシアがまともに戦うところを初めて見たんだけど、ハッキリ言ってとんでもないね。龍族の人たちが敬うのも分かるし、僕なんかが付きっ切りで教えてもらっていいのかと改めて思ったよ」
そう言うと、ルシアが僕のことを呆れた表情で見ている。
『お主、我の強さを今ごろ理解したのか? 何となくでも分かるだろうに。
二つ訂正させてもらうが、龍族の者たちが我を慕ってくれておるのは、強さが理由の者もおるかも知れんが、強さは関係ない話だぞ。あと、お主に色々と教えておるのは最初に言ったように力の使い方を学んでもらうためだ。空の紋章の所有者に教えるのは、同じ所有者である我が最も適しておるからな。
お主は我の強さに驚いたようだが、お主もここに辿り着ける力を秘めておるのだ。だからこそ、その力の使い方をしっかりと学び、己を律する心の強さも身に付けよ』
さっきのルシアと同じようになれるなんて信じられないんだけどな。でも、龍族の人たちは僕が空の紋章の所有者だと知ると、みんな驚いていたし、接し方も変わるのはそういうことなのかな。
正直、ルシアの言葉をきいても実感は無かったけど、僕に秘められた力があのようにすごいものなのであれば、しっかりと力の使い方を学んで、決して過信や慢心をしないことを心に誓った。
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