131 / 131
第7章 土の大龍穴編
127 エルデボロス様の考察
しおりを挟む
僕たちが土の大龍穴に転移すると、ちょうどエルデボロス様やクリスタが昼食を取っているところだった。
『予定より少し早いが戻ってきたぞ』
ルシアが声をかけると、エルデボロス様が椅子から立ち上がる。
「これはクロノルシア様。ちょうど良いタイミングですな。アルたちが作った昼食を食べられませんか?」
『いただくとしよう』
返事はやっ! もうエルデボロス様の横に座って食べ始めてるし。
「レアンデル、君も遠慮せずに食べたまえ」
「はい。ありがとうございます」
新鮮な野菜を中心にしたランチのようだ。おそらくアルさんたちが育ててる野菜じゃないかと思う。エルデボロス様は優雅なポーズで紅茶を飲んでいて、ルシアは野菜を口いっぱいに頬張っている。
僕はクリスタの横の椅子に座ってランチをいただくことにした。
「レン様、おかえりなさいませ」
「だだいま……って、僕の家じゃないけどね」
「ふふ。お顔を見て安心しました。久しぶりにお会いできたような気がします」
「そうだね。僕も昨日から色々あってさ。今朝も特殊個体と戦闘訓練をしてきたから、クリスタに会えてホッとした気分だよ」
「特殊個体と戦闘訓練ですか!? とてつもない訓練ですね……」
僕とクリスタはランチを食べながらお互いの出来事を話した。
そしてランチが終わると、ルシアはクリスタの解呪を行い、エルデボロス様が呪いの説明を始めた。
「呪いについて調べることができて至福の時間でした。未知なるもの、難解なものを調べるのは実に楽しい。まあ、私の感情は置いといて、クリスタの呪いの説明をしましょう。
呪いとは呪術と呼ばれる手法で対象物に災いをもたらす効果を付与するもの。契約魔法と似ているため、私の得意分野に近しいものではありますが、契約魔法とは別体系のもの。今ではアステロ・ブロンテス神聖国の一部のものにのみ伝承されています。
そしてクリスタの呪いの効果はクロノルシア様の推察の通り、魔力の流れを阻害し、魔法の使用をできないようにするというものです。正直、単に呪いで衰弱させて殺すという効果よりも、面倒で時間のかかる呪いをかけたのは、魔法を使わせなくするということに執着していたということでしょうな」
なるほど。エルデボロス様の説明の通り、アマンダさんの恨みはクリスタの魔力や魔法に向いていたから、そういう呪いをかけたってことか。
「クロノルシア様からお聞きしている、今回の呪いをかけた犯人である人魚族ですが、この呪いを人魚の姫であるクリスタにかけるためには高品質で大量の触媒が必要となりますから、単独犯ではないでしょうな」
『やはり、お主も我と同じ見解か』
「はい。そうなります。その犯人である人魚の背後には誰かいますな。しかも一人とは思えません。呪術の成り立ちから推測しますと、まさかの推論が浮かんでくるのです」
まさかの推論? 一体何のことだろう?
『お主が行き着くところもそこか。……我と同じ答えにお主も辿り着いたとなると、もはや推論で済まされる話では無くなってきたな』
「ええ。私が大龍穴の管理者で無ければ、表に出ていって真実を調べたいほどの事案です。研究者の血が騒いで仕方ありません。しかし、それは叶わぬ身。残念であり、心苦しいですが、クロノルシア様にお任せしてもよろしいですかな」
『ああ。我に任せておけ。調べてもらいたいことができたら相談させてもらおう』
「それはいつでも大歓迎です。お待ちしております」
そうしてエルデボロス様の呪いの説明が終わった。僕には分からないことがたくさんあったけど、何かあればルシアが教えてくれるだろう。
『世話になったな、エルデボロスよ。我はユレアードでの用件を済ませたら、最後の大龍穴となる、雷の大龍穴の確認に行ってくる。引き続き土の大龍穴は任せたぞ』
「かしこまりました。お名残り惜しいですが仕方ありませんな。もう、ここを立たれると思いますが、その前にレアンデルに用事があるのです。よろしいですかな」
エルデボロス様が僕に用事? 一体何だろう?
『予定より少し早いが戻ってきたぞ』
ルシアが声をかけると、エルデボロス様が椅子から立ち上がる。
「これはクロノルシア様。ちょうど良いタイミングですな。アルたちが作った昼食を食べられませんか?」
『いただくとしよう』
返事はやっ! もうエルデボロス様の横に座って食べ始めてるし。
「レアンデル、君も遠慮せずに食べたまえ」
「はい。ありがとうございます」
新鮮な野菜を中心にしたランチのようだ。おそらくアルさんたちが育ててる野菜じゃないかと思う。エルデボロス様は優雅なポーズで紅茶を飲んでいて、ルシアは野菜を口いっぱいに頬張っている。
僕はクリスタの横の椅子に座ってランチをいただくことにした。
「レン様、おかえりなさいませ」
「だだいま……って、僕の家じゃないけどね」
「ふふ。お顔を見て安心しました。久しぶりにお会いできたような気がします」
「そうだね。僕も昨日から色々あってさ。今朝も特殊個体と戦闘訓練をしてきたから、クリスタに会えてホッとした気分だよ」
「特殊個体と戦闘訓練ですか!? とてつもない訓練ですね……」
僕とクリスタはランチを食べながらお互いの出来事を話した。
そしてランチが終わると、ルシアはクリスタの解呪を行い、エルデボロス様が呪いの説明を始めた。
「呪いについて調べることができて至福の時間でした。未知なるもの、難解なものを調べるのは実に楽しい。まあ、私の感情は置いといて、クリスタの呪いの説明をしましょう。
呪いとは呪術と呼ばれる手法で対象物に災いをもたらす効果を付与するもの。契約魔法と似ているため、私の得意分野に近しいものではありますが、契約魔法とは別体系のもの。今ではアステロ・ブロンテス神聖国の一部のものにのみ伝承されています。
そしてクリスタの呪いの効果はクロノルシア様の推察の通り、魔力の流れを阻害し、魔法の使用をできないようにするというものです。正直、単に呪いで衰弱させて殺すという効果よりも、面倒で時間のかかる呪いをかけたのは、魔法を使わせなくするということに執着していたということでしょうな」
なるほど。エルデボロス様の説明の通り、アマンダさんの恨みはクリスタの魔力や魔法に向いていたから、そういう呪いをかけたってことか。
「クロノルシア様からお聞きしている、今回の呪いをかけた犯人である人魚族ですが、この呪いを人魚の姫であるクリスタにかけるためには高品質で大量の触媒が必要となりますから、単独犯ではないでしょうな」
『やはり、お主も我と同じ見解か』
「はい。そうなります。その犯人である人魚の背後には誰かいますな。しかも一人とは思えません。呪術の成り立ちから推測しますと、まさかの推論が浮かんでくるのです」
まさかの推論? 一体何のことだろう?
『お主が行き着くところもそこか。……我と同じ答えにお主も辿り着いたとなると、もはや推論で済まされる話では無くなってきたな』
「ええ。私が大龍穴の管理者で無ければ、表に出ていって真実を調べたいほどの事案です。研究者の血が騒いで仕方ありません。しかし、それは叶わぬ身。残念であり、心苦しいですが、クロノルシア様にお任せしてもよろしいですかな」
『ああ。我に任せておけ。調べてもらいたいことができたら相談させてもらおう』
「それはいつでも大歓迎です。お待ちしております」
そうしてエルデボロス様の呪いの説明が終わった。僕には分からないことがたくさんあったけど、何かあればルシアが教えてくれるだろう。
『世話になったな、エルデボロスよ。我はユレアードでの用件を済ませたら、最後の大龍穴となる、雷の大龍穴の確認に行ってくる。引き続き土の大龍穴は任せたぞ』
「かしこまりました。お名残り惜しいですが仕方ありませんな。もう、ここを立たれると思いますが、その前にレアンデルに用事があるのです。よろしいですかな」
エルデボロス様が僕に用事? 一体何だろう?
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(6件)
あなたにおすすめの小説
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
おばさん冒険者、職場復帰する
神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。
子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。
ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。
さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。
生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。
-----
剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。
一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。
-----
※小説家になろう様にも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白くて一気読みいちゃいました!!
個人的に絶妙なバランスの説明と考え方をするキャラクターたちに惹かれて気づいたら最新話まで読んでました…笑笑
これから、レンの成長がどうなっていくのか楽しみです✨
嬉しいご感想をありがとうございます!
本業の仕事が忙しくて更新が滞っていますが、話の続きは出来ていますので、
近々更新を再開する予定です。今後ともよろしくお願いします。
お話楽しみに読んでます。どうしてもジャインがジャイアンに変換されてしまうのですが笑。
人の名前や国の名前などは色んなことを想像したり調べたりして決めています。
ジャインの名前を脳内変換されている感想をいただくとは思いませんでした。
私がうるさいと思うものを考えたときにジャイアンのリサイタルが頭に浮かんだのですが、
あとは察していただけると幸いです。嬉しい感想をありがとうございました。
火竜様に加護を与えられているようだけれど、それはいつの事なのか。
捨てられる前なのか後なのか。
前だとすると、実の親が誰か知っているのかな。
誰も加護を与えた時期のこと不思議に思わないのが、不思議。
お読みいただきありがとうございます。
火龍様からの加護である火の紋章は、捨てられていた時には既に付与されていました。
この国で生まれた赤ん坊には全員火の紋章が付与されています。
主人公に付与されている理由は、続きを楽しんで頂けたらと思います。