教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第7章 土の大龍穴編

127 エルデボロス様の考察

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 僕たちが土の大龍穴に転移すると、ちょうどエルデボロス様やクリスタが昼食を取っているところだった。

『予定より少し早いが戻ってきたぞ』

 ルシアが声をかけると、エルデボロス様が椅子から立ち上がる。

「これはクロノルシア様。ちょうど良いタイミングですな。アルたちが作った昼食を食べられませんか?」
『いただくとしよう』

 返事はやっ! もうエルデボロス様の横に座って食べ始めてるし。

「レアンデル、君も遠慮せずに食べたまえ」
「はい。ありがとうございます」

 新鮮な野菜を中心にしたランチのようだ。おそらくアルさんたちが育ててる野菜じゃないかと思う。エルデボロス様は優雅なポーズで紅茶を飲んでいて、ルシアは野菜を口いっぱいに頬張っている。
 僕はクリスタの横の椅子に座ってランチをいただくことにした。

「レン様、おかえりなさいませ」
「だだいま……って、僕の家じゃないけどね」
「ふふ。お顔を見て安心しました。久しぶりにお会いできたような気がします」
「そうだね。僕も昨日から色々あってさ。今朝も特殊個体と戦闘訓練をしてきたから、クリスタに会えてホッとした気分だよ」
「特殊個体と戦闘訓練ですか!? とてつもない訓練ですね……」

 僕とクリスタはランチを食べながらお互いの出来事を話した。

 そしてランチが終わると、ルシアはクリスタの解呪を行い、エルデボロス様が呪いの説明を始めた。

「呪いについて調べることができて至福の時間でした。未知なるもの、難解なものを調べるのは実に楽しい。まあ、私の感情は置いといて、クリスタの呪いの説明をしましょう。
 呪いとは呪術と呼ばれる手法で対象物に災いをもたらす効果を付与するもの。契約魔法と似ているため、私の得意分野に近しいものではありますが、契約魔法とは別体系のもの。今ではアステロ・ブロンテス神聖国の一部のものにのみ伝承されています。
 そしてクリスタの呪いの効果はクロノルシア様の推察の通り、魔力の流れを阻害し、魔法の使用をできないようにするというものです。正直、単に呪いで衰弱させて殺すという効果よりも、面倒で時間のかかる呪いをかけたのは、魔法を使わせなくするということに執着していたということでしょうな」

 なるほど。エルデボロス様の説明の通り、アマンダさんの恨みはクリスタの魔力や魔法に向いていたから、そういう呪いをかけたってことか。

「クロノルシア様からお聞きしている、今回の呪いをかけた犯人である人魚族ですが、この呪いを人魚の姫であるクリスタにかけるためには高品質で大量の触媒が必要となりますから、単独犯ではないでしょうな」
『やはり、お主も我と同じ見解か』
「はい。そうなります。その犯人である人魚の背後には誰かいますな。しかも一人とは思えません。呪術の成り立ちから推測しますと、まさかの推論が浮かんでくるのです」

 まさかの推論? 一体何のことだろう?

『お主が行き着くところもそこか。……我と同じ答えにお主も辿り着いたとなると、もはや推論で済まされる話では無くなってきたな』
「ええ。私が大龍穴の管理者で無ければ、表に出ていって真実を調べたいほどの事案です。研究者の血が騒いで仕方ありません。しかし、それは叶わぬ身。残念であり、心苦しいですが、クロノルシア様にお任せしてもよろしいですかな」
『ああ。我に任せておけ。調べてもらいたいことができたら相談させてもらおう』
「それはいつでも大歓迎です。お待ちしております」

 そうしてエルデボロス様の呪いの説明が終わった。僕には分からないことがたくさんあったけど、何かあればルシアが教えてくれるだろう。

『世話になったな、エルデボロスよ。我はユレアードでの用件を済ませたら、最後の大龍穴となる、雷の大龍穴の確認に行ってくる。引き続き土の大龍穴は任せたぞ』
「かしこまりました。お名残り惜しいですが仕方ありませんな。もう、ここを立たれると思いますが、その前にレアンデルに用事があるのです。よろしいですかな」

 エルデボロス様が僕に用事? 一体何だろう?
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感想 6

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みんなの感想(6件)

すとりーむ
2023.01.01 すとりーむ

面白くて一気読みいちゃいました!!
個人的に絶妙なバランスの説明と考え方をするキャラクターたちに惹かれて気づいたら最新話まで読んでました…笑笑
これから、レンの成長がどうなっていくのか楽しみです✨

2023.01.11 明日真 亮

嬉しいご感想をありがとうございます!
本業の仕事が忙しくて更新が滞っていますが、話の続きは出来ていますので、
近々更新を再開する予定です。今後ともよろしくお願いします。

解除
翡翠
2022.05.17 翡翠

お話楽しみに読んでます。どうしてもジャインがジャイアンに変換されてしまうのですが笑。

2022.05.21 明日真 亮

人の名前や国の名前などは色んなことを想像したり調べたりして決めています。
ジャインの名前を脳内変換されている感想をいただくとは思いませんでした。
私がうるさいと思うものを考えたときにジャイアンのリサイタルが頭に浮かんだのですが、
あとは察していただけると幸いです。嬉しい感想をありがとうございました。

解除
yasu
2022.04.30 yasu

火竜様に加護を与えられているようだけれど、それはいつの事なのか。
捨てられる前なのか後なのか。
前だとすると、実の親が誰か知っているのかな。
誰も加護を与えた時期のこと不思議に思わないのが、不思議。

2022.05.06 明日真 亮

お読みいただきありがとうございます。
火龍様からの加護である火の紋章は、捨てられていた時には既に付与されていました。
この国で生まれた赤ん坊には全員火の紋章が付与されています。
主人公に付与されている理由は、続きを楽しんで頂けたらと思います。

解除

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