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生誕
しおりを挟む「お誕生日おめでと~!」
「いえーい!」
「うえーい!」
「……」
「おめでとう、みーちゃん! これね! 芋杏で買ったパンプキンタルト! 後で食べようね~!」
「おい百々! それは『お楽しみ会』の最中に出す予定だったろ!? 気が早えんだって!」
「いいじゃん別に~! りゅーしも早く食べたいでしょ!?」
「ちょっと友次! 連絡してから二十分も遅れるなんて聞いてないから! こっちの身にもなりなさいよ!? 心配するでしょ!?」
「ああ、わりいわりい! ちょっと道が混んでて……」
「二軒隣のどこに混む要素があるのよ!」
「ま、まあまあそう怒んなって奈海~。ほら、主役の前だぞ!」
「……なに、これ……」
「お前のお誕生日会だよ。柳士と奈海と百々に来てもらったんだ」
「……みんな……」
「ふふ」
「はは」
「あらあら、一気に賑やかになったわね。さあ! おばさんも今夜の料理は頑張っちゃうぞ~」
◇
「それじゃあ『お楽しみ会』を始めまーす! 今日はなんと~! じゃーん! ブルーシート~!」
「ブルーシート? あなたたちはそれでなにをするの?」
「これを広げると……ばーん! 人生マップが現れま~す!」
「ほ~すごい。完成度が高いね」
「みーちゃんママもせっかくだから参加してね!」
◇
「……三だよ!」
「一、二……三っと。えっと……『移動中のサーカス団に出くわし象に引かれる。五マス戻る』……って、そんな展開あるか!」
「これ誰が考えたやつ?」
「百々だよ」
「ぶっとんでんな……」
◇
「……二だね」
「一、二。なになに……『誘拐犯を誘拐する。二回休み』……この人生ゲームってどこの世界線なん?」
「これは別におかしくないわよね?」
「いや、おかしいだろ」
「どこがおかしいのかいってみなさいよ!」
「誘拐犯に出くわすとか現実離れすぎんだろ! それに二回休みってなんだよ! 誘拐されてんじゃねえか!」
「も~。りゅーしも奈海ちんも、ここで夫婦喧嘩はしないでよ~」
「夫婦じゃない!」
「なあ美里、あの二人ってさ、高一からずっとあんな調子なんだよ。そのくせに付き合ってないとか考えられんよな」
「……そ、そうだね」
◇
「次は俺か。……六! きたこれ~! やっぱサイコロって六が出ないと始まらんよな! ……四、五、六っと。書いてあるのは……『事故死。最初から』……おまっ! なんでやねん!」
「……友次、死んじゃった……」
◇
「ほら、次は美里だぞ」
「……うん……えい」
「出目は? ……三か。おばさん、三です!」
「三マスね。一、二、三っと」
「なんて書いてますか~?」
「……えっとね……『スタート地点に一番近いマスにいる人と結婚する』……かな」
「初めて人生ゲームらしいマスに止まったけど早速結婚か。近いのは友次だな。じゃあ美里と友次は結婚で!」
「わ~! おめでと~二人とも~! ゆーじはちゃんとみーちゃんを幸せにするんだよ~!」
「当たり前だろ! 美里、俺はお前を幸せにしてやる! 絶対にな! だから結婚しよう!」
「……ええ……」
「柳士! ……頼んだ」
「しゃあねーな。……あ! おばさん見て! マス目にはまだ続きがあるみたい!」
「え? ……あらほんと。なになに……『選ばれた人はこのマス目に止まった人に指輪を贈呈し、二人は人生ゲームが終わるまで別室で……待機?』……」
「……指輪?」
「美里」
「……な、なに……友次……」
「これを受け取ってほしい」
「……ええ?」
「……」
「ほら、美里ちゃん! 友次がしゃがんで待ってるよ」
「……え? ……え?」
「なるほど、そういうことね。……最近の遊びって手が込んでるわねえ」
「みーちゃん! 勇気出してこ~!」
「……え?」
「美里、マスに書いてあるからその指輪は受け取らないとだぞ」
「……ええ……」
「とりあえず、受け取らな進まんからさ、ぱっと取ってしまえよ」
「ちょっと柳士! いいかたを考えて……」
「あ~もう奈海はうるさい!」
「うるさいってなによ……」
「しーだって! 状況を見ろ、ばか」
「……」
「……」
「……これは、ゲーム……だよね……取るよ……」
「受け取った~!」
「結婚成立おめでと~!」
「わ~!」
「あらあら」
「俺と結婚してくれてありがとうな、美里!」
「……ばか」
◇
「後は人生ゲームが終わるまで、別室ってか美里の部屋で待機か」
「……この、指輪……」
「ああ、それな。俺からの誕生日プレゼントだよ」
「……だめ、だよ……」
「だめじゃないよ。だってさ、この指輪ペアリングになってて、俺はもうつけてるんだけど、美里がつけてくれんと意味がないんだよね」
「……ええ……でも……」
「……つけてくれよ~」
「……やっぱり、だめ……なの……」
「……よしわかった。……じゃあその指輪は返して」
「……え?」
「ほら早く」
「……」
「んん? どうした?」
「…………うん」
「指輪のかわりにさ、美里の右手に指で文字を書かせてほしい。それならいいでしょ?」
「……わかった」
「じゃあ目をつむって」
「……」
「……美里。もう目を開けていいよ」
「……これ……」
「もう薬指につけた指輪は美里の物です。だからもう外すことは俺が許しません」
「……友次……あっ……」
「……外そうとすれば今みたいにハグして絶対に外させないようにするから。だから覚悟してずっとつけといて」
「……ばか」
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