私も、大好きだよ。

ちさめす

文字の大きさ
9 / 25

生誕

しおりを挟む
 
 
 
「お誕生日おめでと~!」

「いえーい!」

「うえーい!」

「……」

「おめでとう、みーちゃん! これね! 芋杏で買ったパンプキンタルト! 後で食べようね~!」

「おい百々! それは『お楽しみ会』の最中に出す予定だったろ!? 気が早えんだって!」

「いいじゃん別に~! りゅーしも早く食べたいでしょ!?」

「ちょっと友次! 連絡してから二十分も遅れるなんて聞いてないから! こっちの身にもなりなさいよ!? 心配するでしょ!?」

「ああ、わりいわりい! ちょっと道が混んでて……」

「二軒隣のどこに混む要素があるのよ!」

「ま、まあまあそう怒んなって奈海~。ほら、主役の前だぞ!」

「……なに、これ……」

「お前のお誕生日会だよ。柳士と奈海と百々に来てもらったんだ」

「……みんな……」

「ふふ」

「はは」

「あらあら、一気に賑やかになったわね。さあ! おばさんも今夜の料理は頑張っちゃうぞ~」

 ◇

「それじゃあ『お楽しみ会』を始めまーす! 今日はなんと~! じゃーん! ブルーシート~!」

「ブルーシート? あなたたちはそれでなにをするの?」

「これを広げると……ばーん! 人生マップが現れま~す!」

「ほ~すごい。完成度が高いね」

「みーちゃんママもせっかくだから参加してね!」

 ◇

「……三だよ!」

「一、二……三っと。えっと……『移動中のサーカス団に出くわし象に引かれる。五マス戻る』……って、そんな展開あるか!」

「これ誰が考えたやつ?」

「百々だよ」

「ぶっとんでんな……」

 ◇

「……二だね」

「一、二。なになに……『誘拐犯を誘拐する。二回休み』……この人生ゲームってどこの世界線なん?」

「これは別におかしくないわよね?」

「いや、おかしいだろ」

「どこがおかしいのかいってみなさいよ!」

「誘拐犯に出くわすとか現実離れすぎんだろ! それに二回休みってなんだよ! 誘拐されてんじゃねえか!」

「も~。りゅーしも奈海ちんも、ここで夫婦喧嘩はしないでよ~」

「夫婦じゃない!」

「なあ美里、あの二人ってさ、高一からずっとあんな調子なんだよ。そのくせに付き合ってないとか考えられんよな」

「……そ、そうだね」

 ◇

「次は俺か。……六! きたこれ~! やっぱサイコロって六が出ないと始まらんよな! ……四、五、六っと。書いてあるのは……『事故死。最初から』……おまっ! なんでやねん!」

「……友次、死んじゃった……」

 ◇

「ほら、次は美里だぞ」

「……うん……えい」

「出目は? ……三か。おばさん、三です!」

「三マスね。一、二、三っと」

「なんて書いてますか~?」

「……えっとね……『スタート地点に一番近いマスにいる人と結婚する』……かな」

「初めて人生ゲームらしいマスに止まったけど早速結婚か。近いのは友次だな。じゃあ美里と友次は結婚で!」

「わ~! おめでと~二人とも~! ゆーじはちゃんとみーちゃんを幸せにするんだよ~!」

「当たり前だろ! 美里、俺はお前を幸せにしてやる! 絶対にな! だから結婚しよう!」

「……ええ……」

「柳士! ……頼んだ」

「しゃあねーな。……あ! おばさん見て! マス目にはまだ続きがあるみたい!」

「え? ……あらほんと。なになに……『選ばれた人はこのマス目に止まった人に指輪を贈呈し、二人は人生ゲームが終わるまで別室で……待機?』……」

「……指輪?」

「美里」

「……な、なに……友次……」

「これを受け取ってほしい」

「……ええ?」

「……」

「ほら、美里ちゃん! 友次がしゃがんで待ってるよ」

「……え? ……え?」

「なるほど、そういうことね。……最近の遊びって手が込んでるわねえ」

「みーちゃん! 勇気出してこ~!」

「……え?」

「美里、マスに書いてあるからその指輪は受け取らないとだぞ」

「……ええ……」

「とりあえず、受け取らな進まんからさ、ぱっと取ってしまえよ」

「ちょっと柳士! いいかたを考えて……」

「あ~もう奈海はうるさい!」

「うるさいってなによ……」

「しーだって! 状況を見ろ、ばか」

「……」

「……」

「……これは、ゲーム……だよね……取るよ……」

「受け取った~!」

「結婚成立おめでと~!」

「わ~!」

「あらあら」

「俺と結婚してくれてありがとうな、美里!」

「……ばか」

 ◇

「後は人生ゲームが終わるまで、別室ってか美里の部屋で待機か」

「……この、指輪……」

「ああ、それな。俺からの誕生日プレゼントだよ」

「……だめ、だよ……」

「だめじゃないよ。だってさ、この指輪ペアリングになってて、俺はもうつけてるんだけど、美里がつけてくれんと意味がないんだよね」

「……ええ……でも……」

「……つけてくれよ~」

「……やっぱり、だめ……なの……」

「……よしわかった。……じゃあその指輪は返して」

「……え?」

「ほら早く」

「……」

「んん? どうした?」

「…………うん」

「指輪のかわりにさ、美里の右手に指で文字を書かせてほしい。それならいいでしょ?」

「……わかった」

「じゃあ目をつむって」

「……」

「……美里。もう目を開けていいよ」

「……これ……」

「もう薬指につけた指輪は美里の物です。だからもう外すことは俺が許しません」

「……友次……あっ……」

「……外そうとすれば今みたいにハグして絶対に外させないようにするから。だから覚悟してずっとつけといて」

「……ばか」
 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは

紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。 真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。 婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。 白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夜の帝王の一途な愛

ラヴ KAZU
恋愛
彼氏ナシ・子供ナシ・仕事ナシ……、ないない尽くしで人生に焦りを感じているアラフォー女性の前に、ある日突然、白馬の王子様が現れた! ピュアな主人公が待ちに待った〝白馬の王子様"の正体は、若くしてホストクラブを経営するカリスマNO.1ホスト。「俺と一緒に暮らさないか」突然のプロポーズと思いきや、契約結婚の申し出だった。 ところが、イケメンホスト麻生凌はたっぷりの愛情を濯ぐ。 翻弄される結城あゆみ。 そんな凌には誰にも言えない秘密があった。 あゆみの運命は……

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

Emerald

藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。 叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。 自分にとっては完全に新しい場所。 しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。 仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。 〜main cast〜 結城美咲(Yuki Misaki) 黒瀬 悠(Kurose Haruka) ※作中の地名、団体名は架空のものです。 ※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。 ※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。 ポリン先生の作品はこちら↓ https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911 https://www.comico.jp/challenge/comic/33031

処理中です...