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文祭
しおりを挟む「美里! ほらここ見てよ? 一三時開演の劇は三年二組だからな」
「……私、出ない」
「そんなのわかってるって! これ俺が主演なんだぜ? 見るだけならって思ったんだよ」
「……そうだね」
「例の決めセリフ聞きたいだろ?」
「……前に、聞いた」
「いやいや! 本番で聞くから意味があるんだよ! だから絶対来いよ~?」
◇
「もうすぐ始まるけど……あいつ、やっぱりいねえか」
◇
「……私、普通じゃないから……」
「関係ないね」
「……関係ない?」
「ああ」
「……どうして、そこまで……」
「俺は……お前が大好きなんだ!」
「……え?」
「もう決めたんだ。ずっと側にいるって。今までのように、これからもずっと……」
◇
「お前来なかっただろ~? せっかく俺の晴れ舞台だったのにさあ」
「……」
「そうやってす~ぐ目をそらすからなあ美里は。……まあでも公演は撮影されてるから、やき上がれば持ってくるよ」
「……うん」
「それよりもこれを見てくれよ!」
「……なに?」
「表彰状だよ! 三年の催しコンテストで俺の組が一位だったんだ!」
「……すごい」
「ああ! 台本制作から俺たちは頑張ったからな~! むっちゃ嬉しい」
「……よかった、ね」
「なーに他人事みたいにいってんだよ? 一位になれたのはお前のおかげでもあるんだぞ」
「……?」
「俺の……美里に向けての想いが最高の劇となったんだ」
「……」
「なんかコメントくれよ」
「……ばか」
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