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第三章

弟は嫉妬したらしい

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おーけー○ーぐる、この状況から抜ける方法を教えて。

「チュリー、これには少し事情があって…」と俺は、テディの頭を撫でながら言った。

テディは、怖いのか震えている。
多分、その理由は、前テディの家にお邪魔してもらった時に、チュリーがテディを物凄く睨んでいたらしい。
だから、今もテディはチュリーと目を合わそうとせずに、震えてる。

さっきも言ったけど、テディは心が繊細で傷付きやすいんだ。

「レイ、どうしてソイツを撫でてるの?」とチュリーは俺に近付いて言った。

「レイ、何をしているのかしら?」と俺がチュリーの問いかけに答える前に少女の声が聞こえた。
声の聞こえた方を向くと、そこには赤茶の髪で綺麗な少女が立っていた。

「メリア!!久し振り!!」と俺は少女に言った。

メリアは、俺の従妹だ。
プライドが少し高いけど、それ以外は物凄く可愛い。

「誰…?」とテディが小さく声を出した。
テディは俺の手を握っている。少し痛い。
「俺の従妹のメリアだよ!メリア、俺の友達……先輩の、テディとテディの弟で、今日入学するチュリーだよ。」と3人に説明をした。
「ふーん…で、何この修羅場は?」とメリアが聞いてきた。
心なしか、笑っているような気がする…。

「あはは…」と俺が苦笑した。
何って言われても、どう説明すれば…?
素直に、テディは寂しがり屋だら、甘えさせてたら弟が来てキレられてるって言えと???

「何をしているのですか、お嬢様!あっ、これは、大変失礼致しました、レイ様。」と三十代位の女性が来た。
この人はメリアの専属メイドだ。
「いえ、大丈夫ですよ!」

──タタタッという足音が聞こえる?
「皆さん!もうすぐ入学式ですわよ?!」
「?!?!」
茂みの傍で言われた1言、その言葉に誰1人として笑えなかった。
赤い髪で綺麗に編み込まれた髪が、鼓動に合わせて踊るように揺れる。
綺麗………。

ってそんなこと思ってる場合じゃない。

「早く来てください!!!」と赤髪の女は言った。
その言葉に対して、メリアはメリアの専属メイドに手をひかれて、会場へと行った。

「ほら!テディもチュリーも!!行くよ!」と俺がは小走りで言うと2人も付いてきた。


──…会場
「ケリー・アルト様」
「はい」
「マイク……」

着々と新入生の名が呼ばれていく。
俺はリアムの番はまだか、まだか…と待っている。

因みに、呼ばれる順は酷いことに、高貴な家系からだ。
つまり、一番最後に呼ばれた生徒が庶民的ってことだ。

「ジョニー・スタイル」
「は、はい……!」

それも、「様」が付かない。
なんて、差別的な学校なんだ………。
それ以外は、全て能力で決まるというのに。

「続いて、2組1番ナナ・タータ様」
「はい」

2組…、リアムのクラスだ。
因みに、タータは悪役令嬢として出ていた。蝶よ花よと育てられて、プライドが高いんだ。
暫くしたら、タータ公爵家も潰れるだろう。

「えー……、リアム・スチューデント様」

来た……!!

「はい」

か、格好良い!!!
会場もザワついてるし…。

「ねえ、レイ」と、ノアが俺に話し掛けてきた。

「なぁにノア」

「ふふ、可愛い。ね、ギル?」とノアは笑って言った。

か、可愛い…?

「あ?……フツー」とノアの問いかけに対してギルは言った。
「むむ……、フツーはフツーで何かやだ」
そう、俺が言うとギルは俺の頭を乱雑に撫でた。
ギルの耳がほんのり色付いている……。

「可愛い奴め」と俺が小声で言うとギルから肘で小突かれた。


「これにて、入学式を終わります。一同、ご起立ください。」と理事長の呼びかけがあり、リアム達__1年生達が会場から出て行った。

「では、保護者の皆様、2年生・3年生の皆様は新入生の元へ行ってください。
えー……、新入生にご兄弟のいる方はそちらの方に行ってください。居ない場合は、自身のクラスでお待ち下さい」と理事長が言い、会場内がざわざわとし始めた。

「じゃあ、また後でね!」と俺がノアとギルに手を振ると2人は「またね(な)」と言い、会場から出た。


「リアム!!」と俺がリアムを呼ぶと、5秒もしないうちに、リアムが来た。
「今から、新入生と保護者へのお話があるんだ。」とげんなりした顔で言うと、メリアがメイドを連れて、来た。

「あら、レイ、そんなにお話が嫌なのかしら。」とお母様、「レイは、長いお話を、されるのが昔から苦手だよな。ふふ、今でも小学校への入学式の事は鮮明に覚えているよ」とお父様も来た。

「リアム兄様、御入学おめでとうございます。」と黒髪の長身の男が言った。

この人は、ラン・スチューデントだ。
俺の義理の従兄弟。
俺の父さんの弟の奥さんの連れ子で、その奥さんが父さんの弟と結婚する前に孤児院から引き取って、俺の父さんの弟と結婚したから、義理の弟なんだ。

結構複雑だろ?
俺も考え過ぎて、知恵熱をだしたんだ。

「ランも来てたの?久しぶり、ラン!」と俺がランに抱き着くと、ランの母、つまり叔母に当たる人、アリーナが微笑んでいた。

「れ、レイ兄様……っ近いです~~!」

俺がランを抱き締めていると、突然ランが茹でダコみたいに顔を赤くして、俺を引き離した。

「あはは、顔真っ赤!あ、アリーナ伯母様も!お久しぶりです!!ご元気そうで何よりです!」と俺がアリーナ伯母様に言うとアリーナ伯母様も、「私も、レイ様が元気そうで、何よりです」と微笑んで言った。

それから、俺はランと近況を話していたんだけど、そこに静止の声が入った。

「ちょっと!ランとレイ!!席に着いて!もうすぐお話が始まるわ」

「はーい」と俺が言うと、それに続きランも「メリアお姉様、これは失礼しました。」といい、席についた。



それから、約1時間、きっちり校則等の説明があった。

話合いが終わったあとの開放感はなんて素晴らしいんだ~~!
やっっっとおわった!

「ラン、1つ言っておくが、兄さんはお前のじゃない。俺のだからな。」


ん?何かリアムがいった気が……。

「リアム、何かいった?」

「いえ、何も!それより、兄さん!!───」


~次回予告~

「可愛いね」
「え、俺……?」    
~~~~~~~
「何でお前が……!!」
「ひっ……」
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