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廃鉱山の中は、アンデッドだらけ?

じゅうろく。『アネッタさんが大興奮だった』──私の焼いたお菓子や搾った野菜ジュースは回復ポーション? そんな訳ないって(笑)

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     😶

 アネッタさんが大興奮だった。

「ちょっと!コハクちゃん、これなに? 何なの!?」
「え、何がでしょう?」
「冗談抜きで、MP回復薬マギクス・ポーションじゃないの?」
「違いますよ。私のお手製の、エーテルベース野菜ジュースです」

 そんな大層なもの、作れる訳ないじゃないですか。

「どうした? アネッタ」
「コハクちゃんのバターケーキと人参ジュース、おかしいわよ。これ食べて、枯渇してたMP回復するなんてありえないでしょ?」
「いや、そうかな? 上で食べた香草入りクッキーも体力回復しなかったっけか?」

 なんか、そんなことも言ってましたね?

「スキル【薬草学ピュロニカル】と【料理】が掛け合わされて【調剤グレビス】とか【薬学メディキナ】とかに派生してないか?」
鑑定単眼鏡アプレィズモノクルで見ても、スキル欄は増えてませんよ」
「そのうち、万能薬パナケアとか作り出さないだろうな」
「そういうのは、チルちゃんに任せます」
「ああ、チル殿の血清はよく効いたよ」

「とにかく、そんなに効くんなら、ターレンにも飲ませたほうが⋯⋯」

 アネッタさんが、ぐったりしているターレンさんの口元に、私の人参ジュースのボトルを添わせていた。

 ──そうだ!

「⋯⋯ケルピーちゃん、飲んでみる?」
〈いいのか?〉
「まだいっぱいあるから一本くらいいいよ?」

 本当に効果があるかわからないけど、ちょっとでもMP回復するんなら、妖精族で妖力が抜けちゃってるケルピーちゃんにも効果があるかもしれない。

 ケルピーちゃんの入ってる小瓶に注ごうかとも思ったけど、私なら自分が浸かってるお風呂のお湯を飲みたくないからそれは違うな、と、ボトルの吸口を瓶に近づける。

「飲めそう?」

 結論から言ったら、飲んでませんでした。

 ケルピーちゃんは、首から提げたお水の入った瓶から、ピョーンと飛び出して、人参ジュースにダイブしました。
 そのまま口と言わず目と言わず、全身から吸収して、ボトルが空っぽになると、また瓶に戻ってきた。

「ずいぶん、大胆な摂り方だね」
〈美味かったぞ。それに、確かに霊気やメンタルの回復に効果があったように思う。さっきまでよりミストバリアが張りやすい〉

 それこそ、さっき私がアネッタさんに言った、効くと思って飲めばより効くかもねというのと同じではないだろうか。
 信じる者は救われるというか、ポジティブな考えでいれば効果が上がるというか。

 みんなが、回復するだの効果があるだの言うのをなぜ肯定できないかと言うと、何もしていないから。
 ただ、お菓子のレシピ通りに焼いてるだけ。ただ、野菜と果物を粉砕機に入れて搾汁してるだけ。そこに、いい香りの香草類を足してたり、栄養価のバランスを考えて組み合わせたりしてるだけ。
 魔力を注いでるとか(MP2ではそんなのムリ)、薬剤師さんのような薬効成分を調合をしてるとかはないのだ。





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