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魔族の小瓶 ── 私の手にはおえそうにありません!?
さん。『道のりは順調で、地図をチルちゃんに見せたあとは、ほぼオートマッピング状態で、街道も分かれ道を間違う事なく進める』──移動は順調でした
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🚶
道のりは順調で、地図をチルちゃんに見せたあとは、ほぼオートマッピング状態で、街道も分かれ道を間違う事なく進める。
妖精だけど知らない人にはスライムにしか見えないチルちゃん達を頭と肩に乗せた私は、魔物使いや魔法使いだと認識してもらえたのか、護衛もなく13歳の子供がひとり旅は金目の物も持ってないと思ったのか、追い剥ぎや人攫いにも会わなかった。
たまに、野犬みたいな魔獣とか出てきたり、鷲がチルちゃんを狙って来たけど、チットちゃんの威嚇で腰を抜かしたり、ケルピーちゃんが水鉄砲で追い払ったりしてくれたので、やはり経験値は入らないけど、問題なく進めた。
その日の夕方には、東のテュバリス公爵領地まで着いた。
ここは、街と街が隣り合っていて、街道途中に伯爵領の荘園と街道の境目にあった城壁の検問以外、王都まではイラウェア山を迂回しながら幾つかの貴族領地を自由に行き来できる。
王都廻りで行くと遠回りな理由は、このイラウェア山と裾野の森を迂回するからである。
大昔に、この山に馬車道を作ろうとしたり、魔法で大穴を開けてトンネルを作ろうとした人もいたらしいけど、そのたびに山から普段はいないはずの魔物が涌いて王都に仕返し?に来るので、今は迂回する中央街道が設けられている。
まずは、聞き込みか、公爵令息に婚約者の事をそれとなく訊いてみるか。
そもそも会ってもらえるのかな?
貴族の子供達は、幼い頃から家庭教師について、お勉強するのが普通らしい。
アレフもクリスも、幼少の砌から、礼儀作法、ダンス、剣術や槍術、基礎魔術や護身術、歴史、語学、算術や天文学など、多岐にわたって学んだと言っていた。エドガーは騎士道も。
人によって、事情や意図があって多少前後するけれど、初等科教育を終え、高等教育を受ける年齢までの13~15歳に社交界デビューするらしい。その前に、5~10歳の子供達だけのお茶会もあるらしいけれど。
その中でも、王宮で働く意志のある者や、より高等な礼儀作法などを学ぶために通う貴族学校もあって、アレフ達は通っていないそう。
エドガーは騎士団に見習いとして師事主従関係を学びに行ったらしいけれど、クリスは神聖術を学びに神殿で奉仕活動しながら神学を修めたらしい。
アレフはあれこれと、午前中は魔導士協会で魔法考学、午後は騎士団の訓練に混ざったり初級ダンジョンに実地訓練に通ったり、領地内の事業に視察したりと複雑そうで、その話を聞いたときは、貴族って大変だなぁと思ったっけ。
テュバリス公爵令息は、三人いる。
嫡子長男は領地を継ぎ運営に専念するとかで、王都の経済学の大学を出て、すでに自宅で経済をまわしているとか。
次男は、領地運営を手伝いながら王宮で士官するために、貴族学校の寄宿舎に入ってる。
三男は、まだ自宅で基礎学習をしながら、騎士団の公開訓練に混ざったりしているそうなので、すぐに会えそうなのは、怪しまれなかった場合だけど、長男と三男かな?
「あ~あ、やっぱり、アレフやクリスについてきてもらえばよかったかな。公爵とか侯爵の爵位は伊達じゃないよね⋯⋯」
少なくとも、王族と遠縁の彼らがいれば、門前払いはなかったかもしれない。
「君、アレフヴァルド・エルフェンリード=ユースフェルス公爵子息やクリストファ・ゼファーソン=エレフエーレ侯爵子息と懇意なの?」
振り返ると、亜麻色のゆるいウェーブのかかった髪を後ろ首筋で纏め、新緑色の瞳の少年が、たくさんの本を抱えて立っていた。
道のりは順調で、地図をチルちゃんに見せたあとは、ほぼオートマッピング状態で、街道も分かれ道を間違う事なく進める。
妖精だけど知らない人にはスライムにしか見えないチルちゃん達を頭と肩に乗せた私は、魔物使いや魔法使いだと認識してもらえたのか、護衛もなく13歳の子供がひとり旅は金目の物も持ってないと思ったのか、追い剥ぎや人攫いにも会わなかった。
たまに、野犬みたいな魔獣とか出てきたり、鷲がチルちゃんを狙って来たけど、チットちゃんの威嚇で腰を抜かしたり、ケルピーちゃんが水鉄砲で追い払ったりしてくれたので、やはり経験値は入らないけど、問題なく進めた。
その日の夕方には、東のテュバリス公爵領地まで着いた。
ここは、街と街が隣り合っていて、街道途中に伯爵領の荘園と街道の境目にあった城壁の検問以外、王都まではイラウェア山を迂回しながら幾つかの貴族領地を自由に行き来できる。
王都廻りで行くと遠回りな理由は、このイラウェア山と裾野の森を迂回するからである。
大昔に、この山に馬車道を作ろうとしたり、魔法で大穴を開けてトンネルを作ろうとした人もいたらしいけど、そのたびに山から普段はいないはずの魔物が涌いて王都に仕返し?に来るので、今は迂回する中央街道が設けられている。
まずは、聞き込みか、公爵令息に婚約者の事をそれとなく訊いてみるか。
そもそも会ってもらえるのかな?
貴族の子供達は、幼い頃から家庭教師について、お勉強するのが普通らしい。
アレフもクリスも、幼少の砌から、礼儀作法、ダンス、剣術や槍術、基礎魔術や護身術、歴史、語学、算術や天文学など、多岐にわたって学んだと言っていた。エドガーは騎士道も。
人によって、事情や意図があって多少前後するけれど、初等科教育を終え、高等教育を受ける年齢までの13~15歳に社交界デビューするらしい。その前に、5~10歳の子供達だけのお茶会もあるらしいけれど。
その中でも、王宮で働く意志のある者や、より高等な礼儀作法などを学ぶために通う貴族学校もあって、アレフ達は通っていないそう。
エドガーは騎士団に見習いとして師事主従関係を学びに行ったらしいけれど、クリスは神聖術を学びに神殿で奉仕活動しながら神学を修めたらしい。
アレフはあれこれと、午前中は魔導士協会で魔法考学、午後は騎士団の訓練に混ざったり初級ダンジョンに実地訓練に通ったり、領地内の事業に視察したりと複雑そうで、その話を聞いたときは、貴族って大変だなぁと思ったっけ。
テュバリス公爵令息は、三人いる。
嫡子長男は領地を継ぎ運営に専念するとかで、王都の経済学の大学を出て、すでに自宅で経済をまわしているとか。
次男は、領地運営を手伝いながら王宮で士官するために、貴族学校の寄宿舎に入ってる。
三男は、まだ自宅で基礎学習をしながら、騎士団の公開訓練に混ざったりしているそうなので、すぐに会えそうなのは、怪しまれなかった場合だけど、長男と三男かな?
「あ~あ、やっぱり、アレフやクリスについてきてもらえばよかったかな。公爵とか侯爵の爵位は伊達じゃないよね⋯⋯」
少なくとも、王族と遠縁の彼らがいれば、門前払いはなかったかもしれない。
「君、アレフヴァルド・エルフェンリード=ユースフェルス公爵子息やクリストファ・ゼファーソン=エレフエーレ侯爵子息と懇意なの?」
振り返ると、亜麻色のゆるいウェーブのかかった髪を後ろ首筋で纏め、新緑色の瞳の少年が、たくさんの本を抱えて立っていた。
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