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👿私は『天使』で『悪魔』な悪役令嬢?
✡9 美少年の正体を探ってみるけど
しおりを挟む「お父さま。お城で、男の子を見ることはありますか?」
「ん? 男の子?」
唐突すぎたかな。
当然、宮殿というものは、子供が遊びに行く場所ではない。
だけど、何らかの理由で子供を連れて登城する貴族はいるだろうし、もしかしたら、そこで働く人の中に家族ぐるみで住み込みなんて人もいるかもしれない。
そして、王族の貴公子達は、後宮か奥殿に住んでいるだろう。
先日のこちらの頭の中まで見透かすようなアメシストの眼をした美少年に、お父さまなら心当たりがあるかもしれない。
と、思って、午後のお茶の時間に、両親に尋ねてみることにした。のだけど。
「先日の『十の祝宴』で、印象的な外見の美少年ね⋯⋯男の子に会ったので、お父さまならご存じかと」
「え、ルシェ? まさか、その子と何か?」
あれ? お父さま、なんか、変な想像してる?
「べ、別に、変な感情はありませんよ。ただ、誰なのか教えてもらえなかったというか、どうしても知りたい訳じゃないけど、次会う時までにどこの誰か考えておくように言われたから貴族名鑑見たけどわからなくて、気になるだけというか、も、勿論、どこの誰だろうと関係はないのだけど、わからないままなのは負けた気がするというか」
言い訳じみた言葉を並べて誤魔化そうとしたけれど。
お父さまは眼に大粒の涙を浮かべて震えるし、お母さまはあらあらと口に手を添えてコロコロと笑うし。
「違うから! そんなんじゃないから!」
「あらあら、うふふ」
「違うってば」
「ルシェ~、お父さまは、ルシェをお嫁にやる気はまだまだないんだからね」
さめざめと、私を抱き締めて訴えてくるお父さまは、執事や配下の貴族達にキリリと指示を出す公爵様のお姿とは全く別人のようだった。
いえね、まだ、十歳だから! お嫁になんか行かないから。気が早いというか、考えすぎというか。
「もう、お父さまも、そんなんじゃないってば! あちらはすぐに私が誰だかわかるだろうに、私はわからないんじゃ悔しいだけよ」
「ルシェ~」
「今年の十の祝宴に参加していた令嬢の中で、金髪金目は私だけでしょう? 絶対にバレてるわ。なのに、私は向こうがわからないなんて、悔しいでしょう」
本当に、それだけよ。
にやにや、ではないけれど、それに近い感じでにこにこと、顎の近くで組んだ手をテーブルに肘をついて身を乗り出すように訊ねてくるお母さまは、ほぼ完全に恋バナに花を咲かせようとしている乙女心全開だった。
「ねえ、ルシェ? 貴女にその自分を見つけろって言った子は、どんな子なの?」
「全身、フリルブラウスからジレ、ジュストコールはもちろん、ブリーチズやショース、靴に至るまで上質で光沢のあるシルク。宝石を縫い込んであったり金糸の縫い取りが繊細な意匠で、十中八九高位貴族家のご子息だと思うの」
「ゴージャスねぇ。幾ら十歳の子供達が祝宴の主役とは言え、ちょっと張り込みすぎじゃないかしら」
それこそ十歳の子供にしては。という事だろう。
「陛下のお言葉の直前に宮殿の中へ戻っていったので、もしかしたら、参加者ではなかったのかもしれません。ですが、そう離れた歳ではなかったように思います」
「あら、そうなの? 年下?年上?」
「同じ歳だと思いましたけど、あの、こちらの考えなんか透けて見えるよ、と言いたげなアメシストの覗き込むような目つきは、年上かもしれません」
「アメシスト⋯⋯お父さまのような目の色をしていたのかい?」
「はい。お父さまの夜空のような濃い紫の眼よりも明度の明るい紫色の眼をしていました」
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