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👿私は『天使』で『悪魔』な悪役令嬢?
✡10 美少年の正体を考察中に
しおりを挟む「お父さまと同じ、紫色の眼なのか⋯⋯」
そう。過去に数回、王女の降嫁を受け入れたことのある我がメィフィールド公爵家には、時折王族と同じ、紫色の眼をした子供が生まれることがある。
隔世遺伝で、お父さまも、町の灯りを反射した宵の夜空のような、紫色の綺麗な眼をしている。
琥珀の眼はお母さま譲りだ。
でも、あの男の子は、お父さまよりも明るい、それこそアメシストのような澄んだ色をしていた。
「似てるのは色味だけで、あちらの方が色は薄いですし、髪までタンザナイトのような濃い青紫色なんて、服を選ばないと暗いイメージになりそうですよね! 断然、お父さまの方が清廉で高貴なイケメンダンディです。どこへ出しても自慢のお父さまですわ」
お父さまの方が素敵ですよ! なよっと女顔よりお父さまの方が何倍もハンサムですし。
一生懸命持ち上げておく。
「そう。お父さまの方がハンサムだけど綺麗な顔立ちで、アメシストの眼とタンザナイトの髪で、全身シルクの、貴女と歳が近い男の子」
お母さまが、噛みしめるように呟く。
青黒い紫の髪より、お父さまの金髪の方が綺麗ですよね?
「お父さまは、ルシェの蜂蜜色の金髪と黄金水晶の瞳が美しいと思うよ」
自分から言い出したとは言え、髪や眼を宝石に例えるのは恥ずかしい。
相手の容姿を褒める時、花や月など、自然物に例えて詩的に讃えるのは貴族にありがちではあるけれど、その対象がいざ自分となると、途端に居たたまれない気恥ずかしさと違和感が半端ない。
今は、転生だか憑依だかで金髪と金目の美少女だけど、記憶の中の自分は、太いおさげの黒髪に、黒に近い茶色の目をビン底のような分厚い近眼鏡に隠した喪女なのだ。
「大丈夫よ。ルシェちゃん。すぐにその男の子が誰なのかわかるわ」
果たして。お母さまのお言葉が実現するのに、そう遠くはなかった。
――なぜ、こうなった?
昨日の今日である。
上等で稀少な厚手のコットン紙を綺麗に巻いて封蠟を施された召喚状により、私と両親は王城奥の、王族の居住区に呼び出されていた。
あの後、アフタヌーンティーで膨らむ腹を押さえながら、図書室で再度貴族名鑑に挑戦していた時。
「子供のお腹にあの量はないわー」なんて言いながら、王家に限らず王族全員から、紫紺の髪の十代の男子を選んで、手元のメモ用紙に抜き出していた。
第一王子のフェルナンド・オプティマス
第二王子のノクティルカ・シドゥス
王弟(大公家)の長男プラティカ・ポルス
同じく大公家の双子の二男ノクス・クラルム
王弟(侯爵家)の三男チェラム・ステラ
先代王弟(公爵家)の孫が四人!
ハキム、ベルシオ、タルス、セレン
王族って、強めの意味のある直訳単語やそのまんまな名前を付けるのが流行なのかしら?
夜とかハキムとかノクティルカとかシドゥスとかポルスとか星とか。
紫色の眼や青紫の髪色に準えてるんだろうけど。
さて、この中に、彼はいるのかしら? と、歳が十代とは言え十八歳の第一王子や十五歳のプラティカ、十七歳のハキムなんかは除外してもいいよね、と書き出した名前に二重線で消していく。
ちなみに、私がカタカナで書こうとしているのに自動的にこの世界の文字で流麗に書くのは、元々のルシエーラの経験が働いているのかな。
同じ歳のノクティルカとベルシオ、一個下のセレンと一個上のチェラムに丸を付ける。
「お嬢さま、今すぐ、サロンへお越しください」
礼儀正しい公爵家の執事にしては珍しい現象──ノックはあったものの応えを待たずして入室し、作業中の私に、思考に割り込むように声をかける──を見せた使用人により、再びサロンルームに両親と共に集められる。
「ルシェ。明日、お城へ行くことになったよ。お母さまと、どのドレスを着ていくか、相談しなさい」
行くことを拒否できないのか、いつものように、優しくルシェも行くかい?と私の意思は訊いてくれなかった。
嫌な予感しかない。けど、行くしかなさそうだった。
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