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👿私は『天使』で『悪魔』な悪役令嬢?
✡11 なんとなく嫌な予感のお呼ばれ
しおりを挟む王宮の奥殿に入るのも初めてなら、後宮女官のもてなしを受けるのも初めてだ。
二日前に来た時は宮殿内には入らず、そのままダンスホールや小ホールなどのある迎賓館の庭園での『十の祝宴』の式典パーティーで、メイドや従僕などの配膳やカトラリーの取り替えなどを見たものの、個室でもてなされるのとは全く違うものだった。
王室御用達と言われる最高級のお茶、同じく予約を入れるのにも数ヶ月待ちと言われる稀少な手間のかかる焼き菓子、宮廷庭師の手による宝石のような花々が飾られたテーブル。
テーブルクロスのレースも瀟洒で繊細。
女官達の茶器を扱う手は作法も手指の肌も美しく音を立てることもない。
流石に、議会シーズン中毎朝、朝議に参加されるお父さまは王宮の雰囲気にも慣れたもので、優雅に足を組んでソファに座り、高貴さを感じさせる所作でお茶を飲んでいた。
お母さまも、上位貴族令嬢であっただけに、お茶会や夜会などの社交界の作法にも慣れたもので、優雅に座って音も立てずに茶器を持ち上げ口にしていた。
私も、喪女の記憶が蘇ったのか上書きされたのかしなければ、公爵令嬢としての礼儀作法と度胸でいけただろうに、どうしても小心者な面が出て来る。
三人掛けソファで両親に挟まれていながら、ソワソワするのを表に出さないようにするので精一杯なのだ。
たぶん、何らかの創作物の中の悪役令嬢だったはずだから、そうでなくても、公爵令嬢としてシャンとしてないといけないのよね。
そうやって、内心ドキドキしながら待つこと十数分。
軽くノックの音がして、お父さまが応えると、静かに廊下への扉が開かれていく。
「お待たせ致しました。みなさま、こちらへ」
王族の居住区にも執事はいるのかな。いかにも執事って感じの男性が、私達に退室を促してくる。
今までここで待たされてたのは何なんだ。
ふかふかの絨毯の敷かれた廊下を進み、奥まった突き当たりに、観音開きの大きな扉がある。
中から、弦楽器の演奏が聞こえる。
舞踏会?
「メィフィールド公爵家の方々のご入室です」
ゆっくり、微かに木製の扉の軋む音がするけれど思ったよりスルスルと、室内に向けて開いていく。
眩しっ
廊下が少し暗かったので、明かりの灯ったお部屋が眩しく感じる。
廊下は左右に扉が並ぶ窓のない空間で、天井に近い高さに点在するランプだけが光源だったので、少々薄暗かった。
白とクリーム色の壁と柱、茶色の廻り縁と幅木がより室内を明るく感じさせる。
そして、室内にはもっと眩い人達が⋯⋯
「よく来たな、アッシェンドル夫妻と息女よ」
ウハッ
宮殿の奥の、王族の居住区なら有り得るとは思ってたけど、奥の壁際の豪奢な金塗りの椅子に座っていたのは、予想通りのお人、国王陛下だった。
ちなみに、アッシェンドル夫妻と両親が呼ばれたのは、それが家名だから。
メィフィールドは公爵家の所領の名称、土地名とその爵位名である。
もし、何かあってお国替え、移封させられたなら、その土地の名に爵位名は変わる。
隣の領地スカイヴィラにお国替えしたら、スカイヴィラ公爵となる。現スカイヴィラ伯爵がうちの領地の領主に替わるならメィフィールド伯爵だ。
陛下のご用が何なのかは、お父さまにも我が家の執事や家令にも、ここまで案内してくれた王家の執事にも聞かされなかったけれど、嫌な予感しかない。
だって、陛下の座る三段分高くなったステージの下に、皆一様に笑顔でズラッと青年少年が並んでいたから。
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