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優しい大きな人達に、子供扱いされる私は中年女
公爵邸 三日目の朝──珍獣のアプローチ ★
しおりを挟むさて、どうやったら、ルーシェさんに、子供じゃないと、理解して貰えるんやろうか。
勿論、本人がわざとやってるとか、知ってるけどボディタッチやちゅーが好きなので敢えてやる人だとは思ってないけど、どうにかならんかね……
ロシアや中東みたいにハグやお手々繋ぐのが、アメリカみたいにちゅーが、この国での平均的なコミュニケーション方法だという可能性もある。お母様やるーてぃーしゃさんには毎朝晩やってるし。
でも、そこに珍獣を加える必要はないよね?
子供好きって言ってたけど、ロリコン?
それなら、そういうジル=ド=レ的な噂とか出てるよね? だから、違うよね……うん。失礼な連想ごめんなさい。
今朝も早く目が覚めてすぐ(元々平均睡眠時間5時間だし)、またメイドさん達がわらわらと現れては、髪梳かしたり、蒸しタオルで顔拭ってくれたりお世話される。
これも、慣れると楽ちんだけど、羞恥心は消えないし、いつか言葉が通じるようになったら、やめてもらうよう頼もう。
アッチに帰った時になんにも出来ないダメニートになっちゃう。
そして、昨日恥を晒して歯磨きしてもらったお陰で、今日からはメイドさんの一人が歯磨きもしてくれる事になった。
あの歯ブラシは痛いもんねぇ。縦向けの刷毛だから、奥歯磨けないし。きっと、みんな、自分で浄化魔法使えるんだね。
ルーシェさんやるーてーしゃさんにしてもらうよりかはメンタル削られ具合ましだ。うん。
さすがに、3日目もとなれば、ルーシェさんにお父さん抱っこして貰わなくても、食堂に行けます。
るーてーしゃさんが私の手を握って来るので、そのまま手を繋いで階段を下りる。
体格差から、階段も一段一段が高く、上るのはともかく、下りるのが大変だ。私は中学の頃から、膝が悪いので、階段や坂を下りるときに、膝に負担が来るのだ。
その様子を見て、ルーシェさんまで、左手を握って、下りるのを補佐しようとしてくれる。
……たぶん、絵づら的に、NASAだか米軍だかに保護されたリトルグレイ的な……
ルーシェさんが一九〇㎝前後、るーてーしゃさんが一七〇~八〇㎝ほどあるのに、私は一五〇㎝くらい……くらいなの!
食堂の一番奥の当主席にルーシェさん、その右手にお母様、左手に私、その隣にるーてーしゃさんが座る。
今日も、長いテーブルの端っこ扉に近い席に、シュワちゃんともう1人知らない美少年が座ってた。
ルーシェさんのお膝に乗せられる前に自分で隣に座り、るーてーしゃさんをその反対側に誘導したのだ。
今後、この席が定位置になるけどそれはまた別の話。
本当は、壁際の、るーてーしゃさんの隣に座りたかったけど、ルーシェさんが抱き上げようとしたような気がしたので、隣を要求した。
結果的にそうなったけど、本当は、最初はるーてーしゃさんの入り口側隣に座ろうとしたんだけど。
執事さんもお母様も、眼力と笑顔で、ルーシェさんのそばに座れって強迫してくるから……
今朝のご飯は、押し麦に似た穀物に干し果物や干し海産物的なものが飛び込んで泳いでるお粥っぽいものと、細かく刻んだチップサラダ。
鶏肉っぽいものの蒸したお肉がお皿に盛られていて、公爵家の方々は、それぞれ適当にとってお粥に入れてた。
「鶏! これ、鶏デスヨネ?」
牛より豚より、鶏肉が好きな私が、口にして鶏と思ったから、これは鶏だと言う事にする。
見た目はササミだが、食感と味はもも肉に近くておいしかった。お皿が空になるまで入れた。
丁度お粥が終わった頃、これも定番になりつつある、ベリーが出て来た。今日はゼリー寄せである。おいちー♡
今の私は、どこから見てもお馬鹿さんなノータリンだろうけど、幸せなのでよしとする。
実年齢? いいのです。これが私。家族もツッコまないし、職場の人もいちいちお前幾つやねんとは言わない。言いそうな人は元々仲良くならないだろうから。遠巻きに見て、馬鹿にしてるかもしれないけど。
子供っぽいおもしろいやつくらいに思われてると思う。
実際は、っぽいというよりは、精神年齢が熟さずに歳だけとってるというのが本当かも。
食後、ルーシェさんはお伴の人とお仕事に行くはず。
ご家族に挨拶して食堂を出て行くルーシェさんを呼び止めてみた。
「ルーシェさん! あ、あのね、えっと、今日も、ありがとうございます。
で、あの、訊きたい事あるのだけど、今、いいですか?」
なんて言ったのか判ったとは思えないけど、頷いてシュワちゃん達に何かを言い、私の背を押すように促して、食堂の向こうの部屋、昨日レース編みを習った応接室とかサンルームみたいな明るい部屋に案内してくれる。
隣り合わせの一人掛けソファに私を座らせ、自分も隣に腰をおろす。
「えっと、訊いても答えられないかもしれないけど。ジュードさんはどうなりましたか?
また、図書室のご本、借りてもいいですか?
それと、私は、この先、何処へ行って、何をすればいいですか?」
本当は、魔法を習って、使いたいし、可能なら、どこかで魔法円的なものをみつけて、あちらに帰る方法も探したい。
それにはまず、言葉もちゃんと覚えないといけないのに、語学が苦手意識の呪いが私の記憶野にのしかかる。
いつも優しい表情浮かべるルーシェさんが、ジュードさんの名を聴いて曇っていく。
「収容所ってどんなところ? 鉱山みたいな寒くて暗い場所? お城の北の塔(偏見)? ちゃんとご飯は食べられてますか?」
少しでも通じて欲しくて、メイドさんの一人に頼んで、紙とペンをお借りして、絵を描いた。
そう、私は、外国語を覚える事は出来ないけど、芸大に行った程度には、絵を描くことが出来るじゃないか! と、今朝身支度させられてるうちに気がついたのだ。
漫画で、簡単にコマ割りして、ジュードさんを若いキムタク風にして縛られてドナドナされる姿を描く。
続いて、震えながら体育座りしてる姿を描き、スープを前に描く。
なぜか、お綺麗なお顔の眉間に皺を寄せたルーシェさんを仰ぎ見て、スープを指差してみる。
伝わったようで、頷いてくれた。
良かった。ちゃんとご飯は食べられてるみたい。
次に、牢屋の柵を描いて、ジュードさんが出る絵を描いて指差してみる。これには首を振られた。頷くとき縦に振ったんだから、横に振るのは否定であってるよね?
まだ出てない、なのか、もうずっと出られない、なのか、もっと違う意味があるのかは判らないけど、今は独房(だといいなぁ)に入れられてる、と。
細かい事は今すぐ漫画に出来ないし、ルーシェさんの出勤もあるだろうから、今すぐ訊きたいことは訊けたかな?
漫画で、伝えられる事も判ったし。
後、絵本の絵を描き、私が読んでる絵に続ける。自分を簡単だけど可愛っぽく描くのはかなり抵抗あるけど、リアルに描くのも……自分の胸元を刺した後に絵を刺したから、可愛い絵でも私だと通じただろう。
これにもルーシェさんは頷いてくれた。
さっと私を抱き上げ(回避は間に合わなかった)、私の描いた漫画を折りたたんで胸元の隠しにしまい(いや、返してくれ恥ずかしくて死ぬる)、サンルームを出る。
外人モデルのように長い足でさっさと階段を上がり、右翼棟の図書室に来た。
やはり魔法で施錠されているみたいで、呪文を唱えたらスーッと、重たそうな扉が開いていく。
図書室に入ると、私を降ろして、頷いた後、左手で自分の胸元を押さえ、右手を室内に伸ばして、どうぞと言ってくれた……ような気がする。少なくとも、好きに見ていいって事だよね?
文字は読めなくても、子供の頃漫画や絵本を読んで、幼稚園にあがるよりずっと前に文字が読めていたように、その内こちらの言葉にも慣れるかもしれないし、絵本や童話は絵を見てるだけでも嬉しい。
絵本の部屋に解き放たれた幼児のように、ルーティーシュアさんに教えて貰った絵本や児童書の多い区画にパタパタと駆け寄った。
*** *** *** *** ***
このまま、ついルーシェフェルド視点を書きそうになるね。
応援ありがとうございます!
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