聖女も勇者もお断り🙅

【萌々香 Ⅰ】

🚱17．固有能力《ユニークスキル》

　美土里は目を閉じて、水晶玉に手を添えたまま何か訊ねるように俯いた。

「え？　何？ 『防護領域セイフティエリア』ってなんなん？」
「美土里、誰と喋ってんのよ」
「なんか、水晶玉の奥から、女の人の声がするの。優しい感じで、危険を感じたり、誰かを護りたいと思ったら、防護領域セイフティエリアって唱えなさいって」

「おお⋯⋯！　女神様と交信出来たのですか！　素晴らしい!!」
「言葉から予想するに、防御壁の強化版のような、身を護る特殊能力のようですな。それがこちらの御遣い様の授かった固有能力ユニークスキルなのでしょう」

　代表者だろう男性が感激してツバを飛ばし、白っぽい服の人が説明してくれる。

「何よ？　私はわからなかったのに美土里は最初から判ってるの？」
「なら、もう一度手を当てて訊いてみたら？」
「やるわ!!」

　やる気の自分は手を放してしまったからかさっきは解らなかった固有能力ユニークスキルが、気が進まなかった美土里が先に判明したのが悔しかったらしい。
　愛唯あおいは、光が消えて冷たくなった水晶玉に両手をぺたりと当てて、目を閉じて俯く。たぶん、頭の中で必死に祈ってるか、何か力を！とか考えてるんだろう。

「え、と？　よく解らないけどそれが私の固有能力ユニークスキルなの？」

　手を放し、目を開けて困惑顔の愛唯あおい。

　何だったんだろう。

「なんか不穏な言葉なんだけど『天変地異』だって」

　ずいぶん攻撃的な響き⋯⋯

「普通に考えて、天候を変えるとか、環境に変化を齎もたらす力なのでしょうな。恐らく、何かの条件を満たさねば発動しないものではないでしょうか？　発動させるにはかなりのエネルギーが必要と思われますし。
　魔物や魔獣を退治するだけなら、身体強化と防御壁の才能を伸ばせば、火の精霊の守護を得られただけでも充分でしょう」

　そうなのかな。確かに、攻撃と補助と防御でバランスはとれてるのかも？



　そして、みんなの視線が、私に集まった。