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【萌々香 Ⅰ】
🚱20 食事
しおりを挟む女神の泉があった六角堂から渡り廊下を進んだ先の建物の、広い食堂みたいな場所で精霊による聖別の儀式とかをやらされ、愛唯は攻撃型、美土里は癒やし系の、それぞれ女神様の加護と精霊の守護を得られたそうですが、私は、未だ不明。
とにかく儀式は終わって、一同で女神像に祈りを捧げた後、多くの人は帰っていったけど、白い清楚な服装の女性数人と、白いゆったりした服を着た男性と若者、代表者っぽい男性が、この場に残る。
このまま会食になるらしい。
ちなみに、精霊が憑いていない私の言葉は、ここの人達には異世界語(日本語)にそのまま聴こえているらしい。私は、おじさん達の言葉は、解るんだけどね?
──翻訳しなくてもイインデショ?
茶目っ気のある精霊様らしく、私には周りの言葉を日本語に変換してくれてるのに、私の言葉は、みんなにはそのまま流しているのだとか。
──だって、モモカからしたら悪者なんでしょ? アイツら。だったら態々、モモカの言葉を聴かせてやる必要ないじゃーん
だそうです。
食事は、なんというか、味気ないもの──もしかして宗教的な制約とかあっての精進料理だったのかと思うような、下味とか、出汁も調味料も香辛料も使われてないんじゃね?と疑うものだった。
愛唯は眉を顰めたけど、美土里は黙って食べてた。
私は、どうせ何言っても通じないからと、ずっと口を利いてない。
「こちらの御遣い様は、ええと、モモカ様と仰られましたかな? 普段から物静かな方なのですか? 儂らと言葉が通じないから黙ってらっしゃるのですか?」
代表者らしき男性は、愛唯と私の顔色を覗うような視線で訊ねる。
私の言葉は通じなくても、私は、アンタ達が何言ってるのか解ってるんだけど。
説明も面倒くさいので、二人にも私は、精霊が憑いてないから言葉が通じないことで通している。
だから、うっかり現地の人の言葉に反応しないように気をつけないと。
「萌々香は元々そんなにお喋りな方じゃないから」
土地の人と黙って食べる私との間に美土里が入って取りなす。
愛唯は私の髪が気になるようで、チラチラと盗み見るように覗いながら、黙々と食べていた。
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