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【萌々香 Ⅰ】
🚱23 召喚格差?
しおりを挟む私に与えられた二人部屋に戻り、ベッドに座る。
四畳半ほどの部屋に寝台をふたつも入れたら、共有のサイドボード的なランプの置かれた小さな台くらいしか、家具はない。
まあ、手荷物もなく身ひとつで召喚された訳で、今すぐには家具は要らないけど、今後、着替えとか、魔道具使いになれというのならそれらとか、増えていくと思うんだけど⋯⋯
隣の美土里達の部屋と比べて差があるなぁ。あちらは、12畳分くらいはあって、寝台とそれぞれの枕元に灯りと水差しの置かれたミニテーブルがあって、クローゼットと、簡素だけど応接セットがあった。そこで話し合った訳だけど。
もしかして本来は、美土里達の振り分けられた部屋に泊まる人達の、従者とか使用人用の部屋なんじゃないの?
まあ、いいけど。同じ御遣い様と言うなら、普通、差をつけるかねぇ?
それだけ私に精霊が憑かなかったことはガッカリしたんだろう。
──憑いてない訳じゃないよ! ボクたち居るよ?
うん、知ってる。姿は見えないけど、声は初めから聴こえてたから。
──姿、見たい? 見えた方がいい?
まあ、見たいかも。声のする方に向かって、誰もいないのに話すのも寂しいし。
勿論、ここの人達が聞き耳立てているかもしれないし、精霊魔術があるというなら盗聴されている可能性も考えて、この子達? 子でいいのかな? 精霊との会話は声に出していないし、美土里に髪のことを黙っているよう頼む時も目配せだけである。
今後も、愛唯と美土里は、英雄召喚的な扱いを受けるだろう。
でも、私は? 便利に使われたくないという個人的な感情で、自分の能力は、あるのかないのか判らないけど、知らないままにしてしまった。
この先、魔道具使いになる訓練をさせられるみたいだけど、ものにならなかったら、白髪の私は迫害されるかもしれない。
みんなこの髪にかなり動揺してたみたいだし。地毛なんだけどなぁ。
──大丈夫、モモカにも、ちゃんと加護の息吹も固有能力も、普通の技能も備わってるよ!
それを聞いて安心した。使う使わないは別として、何かの時に、ないのとあるのとでは安心度が違う。
愛唯に水濠に突き落とされ、体調が一気に悪くなったところに、謎の水壁に囲まれ、水の檻に閉じ込められたと思ったら、異世界に召喚された、なんて体験はかなり堪えたみたいで、精霊達ともっと話そうと思ったのに、ベッドに倒れ込んだ途端、すうっと意識が沈むように眠りに落ちてしまった。
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