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【萌々香 Ⅰ】
🚱29 魔石
しおりを挟むやり過ぎちゃった? と言われても。
適正だったのかそれとも過剰だったのか、私には判らなかったけど、少なくとも見た感じ、ゲームやラノベで言う、いわゆるオーバーキルに見える。
討ち漏らしをしないために、高火力の広範囲攻撃が必要だったのは解る。
周りの茂みにまで延焼したのも、火の魔法だから多少は仕方ないだろう。
でも、身体強化までして、効果値を上げる必要はなかったんじゃ? くらいの威力で、数秒で焼死体が残らないほどの燃え盛りようだった。
「お見事でした。アオイさま。アレらの残骸は、残すと瘴気を放ち、新たな魔物を呼び寄せますので、燃やすのが基本でございますゆえ。正解でございます」
魔法士達に誉められ、真顔を保とうとしてもどこかドヤ顔になる愛唯。
「何か、キラキラしたもの見えない?」
醜鬼の骨も残らん火力に呆れて見ていると、遠くでわからないけど、何かが陽光を反射している。
美土里も目を眇めて確認する。
「何かしら? 赤く光ってるね。愛唯の魔法の効果?」
私の言葉は解らなくても、美土里が訊ねれば、誰かしら反応する。
「あれは、魔石が残ったのでしょう」
「魔石?」
「魔物の核にございます」
「骨も残さず焼き尽くしたので、欠けたりせず綺麗に残ったのでしょう」
「魔物の腹や胸に魔力の圧縮した核があるのですよ。中には、あの核を壊さないと斃せない魔物もおります」
「何度でも復活するのですよ」
「斃したはずなのに再生して起き上がる魔物がおりましたら、核を壊してください」
暫定的な不死身って事か。怖いなぁ。
「アレも壊した方がいいのかしら?」
「いえ。醜鬼には復活再生能力はないので、魔力の元として、魔道具の燃料になりますのでちょうどいい、拾っていきましょう。誰か」
兵士が数人、草原を進む。見た感じ、野生動物しか居ないみたいだけど、それだって脅威だし、用心に越したことはない。
戻って来た兵士の手に持つ兜の中に、死んだ醜鬼の数だけ、赤い宝石が入っていた。
これが魔石?
──そう。魔物の生命力と魔力が結集したもの
何か、そこにあるだけなのに、凄い圧を感じる。
──そのオーラの圧力が魔力だよ
醜鬼って低級じゃなかったっけ?
──魔法は使わなくても魔物だからね、生命力の源は魔力でもあるし、長く生きていると、魔法を使うヤツも出て来るよ
レベルアップとか位格アップってヤツか。醜鬼術士とか醜鬼弓士とかの。本当に、RPGの世界だなぁ。
とにかく、愛唯の魔法で魔物が斃せることは立証された。
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