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【萌々香 Ⅱ】
📵7 違います
しおりを挟むいつもは、巫女さん達を手伝ったり、魔道具を起動させる訓練をしたり、魔道具を作る材料を仕分けしたり作業を手伝ったりして過ごしていたけど、今日は違うらしい。
「なんかね、魔物を退治するのに、萌々香の魔力を利用したいんですって」
私はここの人達の言葉が解らない事になっているので、愛唯経由で伝えられる。
美土里は上級巫女や神官達と、植物に祝福をすることで、実りを良くしたり成長速度を速める訓練でこの場にはいない。
「え、と? 私『月无』って呼ばれてて、魔法も使えないんだけど?」
「そんなの知ってるわよ。だから魔力だけ利用したいって言ったでしょ? 魔法は使えなくてもいいのよ」
なんだろう、言い方にトゲを感じる。
「アンタの髪、白いままね。それ、地毛だったりするの? 精霊が憑かなかったのに、色が変わるかしら?」
「ここのルールは知らんし。魔力は宿ったのかもともと持ってたのがこの世界で発現したのか知らんけど、今はたくさんあるみたいだし、そのせいかも?」
「⋯⋯そうね。内包魔力だけなら、私よりあるらしいから、そういう事もあるかもね」
愛唯は、ここに来た日からヤケに私の髪に拘るな? 髪が白いとなんかあるの?
「ま、そういうことだから、今日は私達と同行してもらうわ」
はいはい。拒否権はないのね。
「一応、工房の人達に、今日はお手伝いできないって言って来るね」
「言葉通じないじゃない」
「ひとりだけ、高度な感応魔法が使える魔法士さんが居て、完全翻訳ではなくても、だいたいの意味は通じるみたいなんよ」
「あら。そんな人いたの」
興味が湧いたのか、ついてくる愛唯。
「なんかね、和製⋯⋯じゃなかった、舶来⋯⋯もおかしいか、異世界版? 現地産? 竹野内豊なんだよ」
「何それ、意味わかんない。竹野内豊がいる訳ないでしょ」
「とにかく、印象が似てるって事。ここの人達の外人顔は見分けつきにくいでしょ? だから、唯一の交流の出来る人として覚えるのに、竹野内豊似って覚えておくの」
「ふうん?」
「マクロンさん」
「やあ、モモカ。おはよう。今朝も白銀の絹糸のような髪が、朝陽に煌めいて綺麗だね。
あのさ、切傷治療に効く塗布薬を量産出来る魔道具を開発したいと思うんだけど、異世界流の何かいいアイデアない?」
今朝も爽やか~に片手を上げて挨拶をしてくれる。けど、なんで愛唯が居るときに、口の滑らかなイケメン振りを発揮するかなぁ?
「ふうん? こーゆーのがタイプなんだ?」
「違うから」
「別に、いいんじゃないの? いつ帰れるか解らないんだし、それまで異世界ライフを楽しんでも」
「だから違うから」
「ん? なに? ああ、もう一人の御遣い様か。火の精霊が強力なんだって?」
爽やかイケメン風の笑顔で愛唯を観察するマクロンさん。イケメンは人をじろじろ見ても嫌悪されないんやから、お得やんね。
ああ、愛唯は夏の海でイケメンゲットしたい派なんだったか。
私は、にこにこ愛想を振りまくマクロンさんと、腕組みをしてニヤリとこちらを見やる愛唯に挟まれて、なんとも居心地が悪かった。
次話
📵8 ぎょわぉえぇぇぇ──!!
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