聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

文字の大きさ
36 / 163
【萌々香 Ⅱ】

📵6 異世界のイケメン俳優?

しおりを挟む


「君、精霊がたくさん付いてるのに、憑き無しなの? その白い髪、地毛?」

 最初に声を掛けてきたのは、そんな内容だったと思う。

 私は、言葉は通じない事になってるけど、耳が聴こえない訳じゃない。

 振り返ると、キラッキラに微笑んだ竹野内豊が、ずるずるの魔法士ローブを着てた。

 それが、彼の第一印象。悪くは無い。

 一応、胡散臭くもなく、爽やかな笑顔。低くもなく高くもなく柔らかく明るい声。
 見慣れた俳優に似た面差し。
 人当たりの良さそうな温かみのある佇まい。

 いや、せっかく喚んだ「御遣みつかい様」へのガッカリからまわり中の私への扱いが微妙になっていた中で、急にひとりだけ和やかに話しかけて来ると言うだけで、胡散臭いとも言えるけど。

 そんな事を感じさせない爽やか兄ちゃんのマクロンさん。

 身長も高く、間近で見上げるのが首が痛くなる。
 おそらくだけど一九〇㎝はありそう。阿部寛か重松豊か。

「誰? なんの用? そのずるずるのローブ、魔法使いだよね? 憑き無しの私に近寄ってもいいことないでしょ? 時間の無駄やん、自分のお仕事してきた方がいいよ」

 勿論、通じないだろうな~とは思いつつ、素直に訊く。

「へぇ、本当に異世界の言葉を喋るんだね。精神領界共有魔法を使っても、全部は翻訳できないな」

 そんな魔法があるんだ!?

──誰でも使える訳じゃないけどね、やりたかったらモモカも使えるようになるよ?
──アオイもね
──ボクたちが手伝わなくても今会話出来てるのは、アオイの力を火の精霊が増強して無意識に使ってるんだよ
──最初にボクたちがやってるのを、身体が覚えて自動継続してるみたい

 じゃ、私がこの先、精霊達とこの国を出奔しても、二人は会話出来なくなる訳じゃないんだね?

──ミドリに憑いてる大地の恵みの精霊も生体魔法が得意だから、精神領界共有魔法、自動展開してるからモモカ居なくてもダイジョーブ!!

 ひとついいこと聞いた。これで安心できる。
 あの二人が一緒に居れば、攻撃手と防御手で互いに守り合えるだろうから。


 とにかく、優秀なマクロンさんは、この特殊で誰でも使える訳ではないらしい魔法を使えば、私の言葉をだいたい理解してくれる。
 ので、時々、こっそり休憩中に話をする。
 異世界(日本)のことを訊きたがるし、精霊と交信出来る私が羨ましいらしい。
 彼は、この魔法で精霊と感情は共有できるけど、私のように言葉では聴こえないらしい。

 たぶんこの人に魔法を習えば、色々使えるようになりそうだけど、まだ迷っている。




しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...