聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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【萌々香 Ⅱ】

📵9 出発?

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「つまり?」
「僕の使える防御魔法をモモカに付与したってこと。硬いものが当たっても衝撃を吸収して反射するから、モモカはあまり痛くなくて、殴りつけた相手はそのまま自分の打撃力を受けるって感じかな?」

 朝っぱらから恥ずかしいやら疲れたやらで、へたり込んだ私を抱え上げるマクロンさんと、呆れ顔で私を見下ろす愛唯あおいの会話が、私の頭上を素通りする。
 い、いいから離れて欲しい⋯⋯

 またしても、お父さんに小っちゃな頃されたっきりの縦抱き──所謂いわゆるお父さん抱っこで、聖騎士達の待つ建屋の出入り口まで運ばれた。

 もう、メンタルぼろぼろ、自尊心は死にました。
 この世界に来てから、私の、多感な思春期真っ只中16歳女子高生なはずの、乙女の尊厳はどこに? 状態の連続です⋯⋯



「マクロン、その状態は? なぜお前が、御遣みつかい様を抱えている?」

 聖騎士達の代表者が進み出て訊いてくる。
 そう『御遣い様 • • • • 
 愛唯あおいや美土里はカタカナ発音でも名前で読んで貰えるのに、私は代名詞だか肩書き(ただし建前)の『御遣い様』なのだ。

 彼らの意識の表れだよね。持ち上げられたい訳じゃないからいいけど。


「自分がモモカ様に防御魔法を上掛けさせていただきました。ですが、他人の魔力を受け容れるのは慣れないようで、魔力酔いを。責任をとってここまでお運びいたしました次第です」

「そ、そうか⋯⋯ なら、そのまま責任をとって馬車にお乗せしろ」

 どこか投げやりに言う騎士。

「勿論です。なんなら、現場までお守りいたしますが」
「薬剤調合士がか?」
「防御魔法を他人に上掛け出来る程度には、生体魔法が使えます。材料さえあれば、現地で傷薬なども調合しますよ?」

 騎士は難しい顔で考えていたが、やはりどこか投げやりに答えた。

「⋯⋯解った。お前も乗れ」

 にっこり了解して、マクロンさんは、私を抱えたまま、愛唯あおいより先に馬車に乗り込んだ。 



 ❈❈❈❈❈❈❈

書き出しの段階では、マクロンはお留守番の筈だったんだけどな?

 次話
📵10 浮遊と、猫の子のように

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