聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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【萌々香 Ⅱ】

📵11 メテオストライク?

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 御遣みつかい様生活初日の草原と似てるけどもっと木が多く、小さな林や防風林が点在しているような、広い土地。

「結構広いね? この国」
「殆どが、草原サバンナ荒野ムーアだけどね。だから、誰も攻めてこない。本当は放置された土地が広いだけの小国さ」

 やはり、何訊いてもすぐ答えてくれるし、見た目の年齢と中身が合わない人だ。マクロンさん、実は結構な中年男性だったりして?


 野生動物が草を食んでいる。

 インパラやトムソンガゼルにしか見えないけど、異世界だけに、同じとは限らない。
 それらを草山から狙っているネコ科の肉食獣も見える。あれは豹かな? チーターよりも筋肉質で、胴が太くガッチリしてる。


「おい、マクロン。御遣い様におかけしたと言う防御魔法は、どれくらいの強度なのだ?」
「一回くらいなら、隕石墜撃メテオストライクも耐えますよ」
「「「「は!?」」」」

 隕石が落下してくるのか、爆撃衝突してくるのか知らないけど、メテオストライクと聞いて思い浮かぶのは、大気圏突入で轟々と燃え盛る市庁舎くらい大きな隕鉄の塊が急速落下して来て、町ひとつ分の巨大なクレーターが出来あがる様子なんですけど?

「うん、それ。⋯⋯って、シチョーシャって何?」
「「「いやいや、ないでしょう?」」」

 愛唯あおいも聖騎士も、手を顔の前で振りながら即否定する。その場の、マクロンさん以外全員でハモったわ。

「ほ、本当なのか?」
「試してみます?」

 私は、プレーリードッグみたいに並んで立ち上がっているナキウサギっぽい小動物の群れを指さされ「あれを見てて。振り返らないでね?」とマクロンさんに釘を刺されて頷く。

 マクロンさんに手招きされ、「おお、ゴリアテ!」と言いたくなるような、2mはありそうな巨漢の騎士が寄ってくる。

 マクロンさんの言いつけ通り振り返らずに「ナキウサギ可愛いな~」に集中していると、背後で「うおっ!?」と野太い悲鳴が上がった後、ズシーンと振動が起こったために、可愛い小動物ちゃんは地面の穴に逃げてしまった。

 小動物も居なくなったしもういいだろうと振り返ると、戦斧を両手で握り締めたまま仰向けに倒れている、甲冑が重そうな重装騎士が、あり得ないって表情かおで固まっていた。

「ぉ、まだ手が痺れているぞ? それに、甲小手ガントレットが破損してしまった⋯⋯」

 他の騎士に手を取られて起き上がったら、戦斧の柄にヒビが入り、穂先の刃が欠けてしまった。

「ああっ!? 先週打ち直したばかりだったのに!!」

 ご愁傷様、重装聖騎士様の得物は使用不可能になってしまった。

「ね? 敵が強ければ強いほど、そのままの攻撃力が反射されるから、守りになるでしょう?」
「あ、ああ。凄いな?」
「ま、これだけの反射が出来るのも、モモカ様の魔力が上質で高エネルギーで膨大だからですよ。他じゃこうはいきません」

「おい、マクロン、その防御魔法、俺にもかけてくれよ。隕石墜撃メテオストライクは無理でも、低級魔物のロークラスモンスター 攻撃なら万全だろ?」
「嫌です」
「なんでだよ、礼ははずむぞ?」
「俺も頼む!」
「正式に聖騎士団の専属魔法士に取り立ててやってもいいぞ?」
「男になんか、まっぴらごめんです」
「差別だろ」

 わらわらと寄ってくる騎士達に、眇めた目で見下ろしため息をつくマクロンさん。

「自分の魔力が相手に馴染むまで抱き締めて魔力を注ぎ続けるなんて、僕のメンタルが保ちません」

「「⋯⋯⋯⋯」」

 騎士達全員、お願いは取り下げられた。




 次話
📵12 ひぃぃえわぁぁぁ!!


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