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【萌々香 Ⅱ】
📵17 街道
しおりを挟む「もぉ、最っ低ー!! 乙女の初めてが汚らしい妖魔とかあり得ないし! レイプ犯の方がまだマシよ。こんな生き物、殲滅してやるわ」
どうかなー。レイプもいい加減、心にも体にも傷が残ると思うけどな。まあ、同じ人間なだけましって言いたいのかな。
「ねぇ、モモカ。ミドリもアオイも、偶々一緒に来た他人じゃなくて、同じヂョシ・コー・セーというお友達なんだよね?」
「そうだけど⋯⋯」
何が言いたいのか、なんとなく予想がついた。
愛夏音が高一の時のクラスメイトだったらしいけど、タブレット機器でのリモートアクセス授業だったので、殆どエアクラスメイトだ。
今年に入って、出席番号が偶数の人が登校する日と奇数の人が登校する日に交互に分けて、残りはリモート出席での授業で一学期を過ごした。
だからかな、4ヶ月以上一緒にいる割に、彼女のことはよく解ってない。
「自分に醜鬼が一匹寄って来ただけであんなに激怒してるのに、その集団の中にモモカを放り出して、姿が見えなくなるほど群がったところで爆裂級の火球をモモカの上に平気で落とすなんて、本当にお友達?って訊きたいね」
そう言いながら愛唯を見るマクロンさんの表情は、不思議と醜鬼を見る愛唯の目と似ていた。
*****
登山道は、巨岩が転がってたり砂利が滑ったり歩きにくい急な坂だったのに、山頂近くはなだらかな丘陵地だった。
「ここからね、南に最大勢力の帝国に、西に魔法に長けた集団魔法騎士団がある竜王国、東は軍隊が強い共和国に行けるんだ。この国の主要街道のひとつだよ」
こんな途中が峻嶮な山中の細い山道が?
「そう。この国に行く道だけ、手が入ってない山道のままなんだよ。他国は、荷馬車が通れるくらいには整備しているからね。交通の便がいいから、交易も盛んだし、国も潤うし発展する。言い換えれば、街道を整備する力もない弱小国なんだ。
そして、近隣国も、この国と交易しても益がないからと、通過すらしない、街道を敷こうともしない。取り残された陸の孤島だね」
そして、幅の広い街道の左右に拡がる草地や林には、魔獣や魔物が潜んでいる。
商隊は、護衛を雇って、複数の商人が各国の間を行き来するのだとか。
一応、地図の上ではここも、この国の土地で、本来なら、ここを通る商隊から通行税や関税を設けて外貨を僅かに稼げるところらしいのだが、魔物に対抗する力のない当国の役人は、ここに通行門を築いたものの駐屯する事は出来ず、商人達も、解ってて誰もいない関所を無料で素通りしているらしい。
次話
📵18 舐めさせて欲しい精霊たち
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