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【萌々香 Ⅱ】
📵25 住みやすい街に向かって Let's go!!
しおりを挟む醜鬼の巣になっていた廃坑から脱出した先は、元いた国ではなく、隣の竜王国の土地だったらしい。
関所も通らず、手続きもせずに国境越えしてしまった。
これ、地球なら犯罪者にならない? 偉い人に会ったら、亡命希望ですって言うしか⋯⋯
──密入国だね!
──犯罪者? モモカ、前科ツイタ?
確かに、結構歩いたけど、既に隣国内だとは⋯⋯
それよりも、密入国者になってしまったと言うことは、街で誰かに話し掛けても捕まっちゃう?
──元々、国籍とか身分証とかナイジャーン
それはそうだけど。
──正直に、異世界から落ちて来たから何もないって言えば?
──そうそう。嘘じゃないし?
──たまに居るから
──転移魔法の途中で、何かに引っかけて落っこちてくる奴
──偶然ここに落ちるから、元の世界に戻れないんだよね
──可哀想ぉ
可哀想と言いつつクスクス笑ってるけど。
そうか。召喚されずとも、自らの魔法の失敗で落ちてくる人はいるんだ。
なら、そういう人の振りをしたらいいのかな。
──フリも何もホントのことでしょ?
──嘘つく必要ないッテ
──評議員達の事は、言わなきゃいいだけだよ
──喚び出されたか自分で落ちて来たかだけの違いで、嘘じゃないし大丈夫だよ
そういう異世界から落ちて来た人の救済措置がこの国にはあるらしく、魔法士が多く輩出されるこの国では、土地柄魔素が濃く、何らかの事故で落ちてくる異世界人の出現率は、近隣諸国でもダントツに多い国らしい。
精霊達は、嘘や不調和が嫌いだったり無理だったりするので、この子達と仲良くしていくためには、嘘をつかずに生きていかなくてはならない。
確かに、訊かれるまでは、気がついたらこの世界に居たという体で居ることにしよう。
──納得したなら、とりあえず、住むところ探そ?
──人間は、仕事してお金もらわなきゃ生きてけないんでしょ?
──ボクらがいれば、なんでも出来るよ、きっと♪
──そうそう、やっとアイツらから解放されたんだから、気楽に楽しく行こうよ
気楽で楽しげな精霊達に励まされて、とりあえず、暗くなる前に人がいそうな方へ行くことにした。
──さあ、街に向かって、let's go!!
次話
🚷1 前からやってみたかったこと
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