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【萌々香 Ⅱ】
📵24 抜けた先は
しおりを挟む醜鬼に捕らわれていた異国の女性魔法士の遺体を私だと思い込んであれこれ言っている騎士達を横目に、奥の坑道へ向かう。
騎士達が集まってきたからか、溶岩溜まりによほど恐怖したのか、生き残りの醜鬼達は、せっかく攫った女性達も置き去りに逃げたようだ。
坑道でも一度も遭わなかった。
外に出ると、あまりの眩しさに目が痛くて、瞑って地に手をついて蹲る。
──あ、ごめん、五感上げてたんだっけ
──痛み引くようにしてあげるね
どの属性の子か判らないけど、私の目元にひっついて癒やしてくれたようで、ジンジン痛む目は楽になった。
改めて、立ち上がって周りを見ると、普通の山中に見える。
緩やかな斜面の中腹に、ぽっかりと開いた穴。
元々の坑道ではなく、醜鬼達か他の魔物かは判らないけどが、抜け道として新しく掘ったものらしい。木の柱や石などで補強はしていないので、大雨が降ると崩れるかもしれない。
とりあえず、街道に戻れるか、人の集落に出るかしないと、今度は野垂れ死ぬ可能性が。
魔獣や魔物もいるかもしれないし。
広葉樹の広がった葉越しに太陽を見ると、この斜面は南西に向いているみたい。
元々西に向かう街道の宿場地だったから、魔法師集団の居る竜王国、に向かってるんだっけ?
──ここは、もう竜王国の土地だよ
──あの古い廃坑はあの国のものだけど、放置されてたからね
──魔物の棲み処になってる内に、あちこちに穴が掘られて道が通じてるんだよ
なんと、関所を通らずとも国境越えが出来るようになっているらしい。いいんかね。
──どうせ、元々関所の意味成してないし、別にいいんじゃ無い?
人間の法や善悪には感知しない精霊達の気楽なこと。
関所までの往復や駐屯する事が出来ないこの国の役人の力不足と怠惰に、各国も関所に役人は置かなくなり、国境を越えた所にある自国の検問所で入国者を検分するのみとなっているのだとか。
──しかも、ここ、竜王国の検問所も抜けた先だから
なぬ? いつの間に?
次話
📵25 住みやすい街に向かって Let's go!!
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