聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

文字の大きさ
64 / 163
竜王国って、竜の国?

🚷9 水滴の音がする

しおりを挟む

 私の固有能力ユニークスキル【魔爪攻守】は、契約した精霊の力を具現化するものらしい。
 契約しなくても使えないことはないが、細かい調節が難しく、精霊の力を爪に集めて一気に放出するだけになってしまいかねないとのこと。

 で、誰が契約するか、それも一番目に、と揉めているのだ。

「え、と? 私の魔力は高め、魔力量も発的に強多いんだよね?」

──そう!! 聖女補正と、星竜の守護だね
──こんなにたくさん魔力内包してるのなんて、大賢者でも中々、守護者の星竜とか、魔神クラスの魔族くらいだよ

「さっきからよく出て来る、星竜って?」

 いつもなら打てば響くように答えてくれるのに、すぐには返事は来なかった。
 何やら頭の上で話し合う気配がする。
 声は聴こえないし姿も見えないけど、精霊が集まっている気配はするのだ。

──ごめん? ボクたちからは言えないの
──本人が会って話したいから黙ってろって
──あ、バカッ それ言ったら黙ってる事にならないじゃん
──あっ!! 聞かなかったことにして?

「いいよ。結局何もわからないのと同じだし。聞いてないよ」

──ありがとう!!

 火の子は、裏表ないのは精霊として同じだけど、みんなの中でも特に直情的で単純で素直、と。心にメモしとこ。

「とにかく、使用可能魔法力はとても高いんだから、みんなと一緒に契約できないの?」

 ⋯⋯⋯⋯

 なかなか話は纏まらないようだったけど「本当に暗くなる前に決めないと」と言ってみたら、決断したらしい。

──決まりました!
──まずは、年季の入った水の • • から
──そこでコツを摑んだら、後はみんないっぺんにで!!
──よろしく!!

 楽しげな声がして、私の目の前に、ソフトボールくらいの大きさの水球が現れる。

──さっ!! まずはボクからだよ

 手の平をお椀にして、受けるようにすると、ぽよんぽよん跳ねながら手の平の内に収まる。

 あ、冷たいのに温かくて、気持ちいい

──相性バッチリだね! さ、ボクを受け入れて?

「うん、こちらこそよろしくね」

 両手で隠すようにそっと包み込むと、胸元に掲げて祈るように、自分の指に唇を当てる。

 胸から口から、冷たくて温かい霊気が私の中に染みてくる。

 ピッ⋯⋯ちょん ぽちょん ぴょゎゎわん ぴちょん

 水溜まりに雫が落ちて波紋が拡がるような音がする。

 全身に染み渡る水の霊気。

「ぴちょん 可愛い音。ね? ぴちょん」

──ボ⋯⋯クは、ボクは『ぴちょん』澄んだ水の精霊にして、モモカの守護精霊⋯⋯!!

 ミントブルーとコーラルグリーンの僅かなグラデーションの水球が私の周りを飛び回り出す。
 そして、私の白に近い淡い真珠色の髪が、ミントブルーに染まっていた。

──ぴちょん •  • • • の色! 契約完了ー!!



 次話
🚷10 守護精霊たち
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...