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竜王国って、竜の国?
🚷15 町並みとモモカの立場(仮)
しおりを挟む精霊達の言うとおり、この国の町では灯りを使っているみたいだ。
あちこちの家で、窓から明かりが漏れていた。
さすがに、どの家もガラスを使っている訳ではなく、縦に押し開けるタイプの木戸の窓だけど、隙間から明かりが漏れているので、中に人が居るのは判る。
土壁や焼き板の壁に、板張りの屋根。中には草葺きもある。
多くは平屋の一戸建てか、長屋形式の集合住宅だけど、魔法で固めたらしい二階建ての家や、鉱物の家もある。
石材や煉瓦の壁で瓦葺きの家には庭もついていて、如何にもお金持ちの家という風情だった。
「キョロキョロするな、はぐれたら迷子になるぞ?」
「あ、すみません。つい、物珍しくて」
「まあ、気持ちは解るが⋯⋯ 初めての場所は、色々気になるよな」
私を先導してくれるお兄さんは、ここの城門の守衛さんだ。
見た目は、30歳手前くらい。中にウールのアンダーウェアを着て、鈍い銀色のプレートアーマーを身につけ、兜は被っていない。精霊達の言うには、有事の時に、身を守るためには着けるけれど、普段は視界が悪くなるから外しているとのこと。
「ここはどこですか?」
私は、不慮の事故でこの世界に落ちて来た、なぜここに居るのかもわからない、魔法にド素人の一般人異世界民を装う事にしたので、急に別世界へ瞬間移動したならまず気になるところを訊ねてみたのだ。
精霊がたくさん憑いていることは、城門の守衛達は、私ほど詳しくはなくても個人情報の一部を確認出来たり、鑑定単眼鏡を持っていたりするので、照合した結果、名前と年齢の後に続く『界渡りの迷子』という新しくついた称号を見て納得したらしい。
今までも、『無能力者の月无異世界人聖女(但し仮定)』という不名誉極まりない称号が付いていたらしいけど、精霊達が認めなかったので、鑑定では判らなかったらしい。
守護精霊の干渉による個人情報の隠蔽行為で、女神の加護の息吹や固有能力、取得技能などを、他人からは看破出来ないように出来るらしい。
これを破るには、より強い上位の精霊の力を使うか、私より高い魔力を持った人物が、たくさんの魔力量を注ぎ込んで見破るしかなく、ぴちょんが胸を張って、元々高位精霊なのに名前を得た事で更に霊格が上がったので、私の魔力の高さと合わせて、並大抵の精霊や魔法士では看破出来ないと請け負った。
隠れた新しい役割称号『召喚されし異世界の聖女』は、隠蔽されていて私もしっかり視る気にならないと見えない。
で、異世界から落ちて来た迷子を、救済監理局まで案内してくれる事になったところである。
❈❈❈❈❈❈❈
監理局と名付けた理由について(以下Web検索から一部抜粋)
「管理」は、自分の受け持ちとなっているものごとに対して、全体を正しく把握して健全な状態を維持する役割に対して使います。
その内容は「人材管理」「健康管理」「品質管理」「在庫管理」など様々で、マンションなどでは常駐している統括者のことを「管理人」と呼び、ビジネスや日常で良く使われる言葉です。
「監理」の意味は以下のふたつ。
1つ目は建築用語で「規則通りに建築物が完成する様に、工事を取り締まり作業のこと」という意味。
2つ目は法律用語で「行政上規則通りにであるか取り締まったり規制すること」という意味。
使い方としては
「監理」は基準となるものがあり、その通りにきちんとしているか監視をする役割に使います。
建築の場合、現場に出向いて工事の様子を確認して、不適切と思われる場合は指摘して改善させたりします。
会社の立場上ある程度権限を持っている人に対して使われるのです。
◆「管理」と「監理」の違い◆
「管理」は「人やものごとを統括すること」
「監理」は「監視して取り締まること」
2つの違いは「取りまとめるのか取り締まるのか」という点。
まとめると
「管理」と「監理」は職務的な権限の違いがあり、肩書が「監理」の場合は、それなりに立場が上の人だということ。
以上を踏まえて、落ちて来た異世界人の救済措置を扱う部署のことを、管理局ではなく監理局としました。
ただ救いの手を差し伸べるだけではなく、落ち人本人も国民も危険がある可能性を含め、管理だけでなく監督・監視体制もとる軍的役所としました。
次話
🚷16 落ち人の通る道
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