聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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竜王国って、竜の国?

🚷16 落ち人の通る道

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「あの、さっきここは竜王国だと仰いましたけど、竜がいるのですか? 竜が王様なの?」

「ははは。陛下はちゃんと人間だよ。尤も、過去に国内で生まれた竜を王に担ごうとした動きはあったようだけどね、星竜様は人間の社会に不干渉というルールがあるみたいでね。ずっと人間の王様を奉じているよ」
「お話は通じそうで安心しました」
「安心したかい? 例え竜族が国王でも、会話は出来るよ。星竜様を女神様と同じくらい、むしろ眼に見える存在であるからこそ、より、信仰しているからね、国名にもなっているんだ」

 竜を神様と同格に扱って信仰していることに誇りを持っているのか、微笑みながらも、眼は力強く口元は誇らしげだ。

「会ってみたくなりました」
「近い内に会えるんじゃないかな? 今はお忙しいようだけど」

 おお! 精霊達みんなも話題にする星竜様はお忙しいながらも、近々会えるとな? 楽しみだ。

「ふふ。君に憑いてる精霊も、元々この町にいたのに君に付き添っている精霊も、星竜様の話は嬉しいみたいだね、キラキラしているよ」

 衛士のお兄さんの言うとおり、私の周りには、ダイヤモンドダストのようなキラキラしたものがずっと舞い踊っている。
 私と契約した主だった精霊達と、彼らが従えて私と仮契約状態の中位精霊や下位の元素精霊達である。
 そこに、この町に元々いた精霊達も混じっている。

「あなたは、とても精霊に好かれるようですね。異世界から落ちてくる人は、なにがしか女神様の加護ギフトを受けて世界の境目を通ってくるので、精霊に好かれる人は多いんですよ」

 そうなのね。だから、評議員達は、女神の加護ファリテール・ギフト持ちの有能性を期待して異世界人を喚び出したのか。

──ボクたち、元々モモカ大好きだよ?
──子供の頃から傍にいたんだからね

 そっか。元々向こうにいた時からついて来てくれた子もいたんだっけ。
 日本にいても【魔爪攻守】は使えなかったけど、爪は子供の頃から真珠色だった。本当に、私の固有能力ユニークスキルなんだ。

 商店や施設らしき建物が増えて来た。
 今までは、城門衛士や山中の農園や山林で働く農民の住まいが多かったけれど、町の中心街に出て来たのだ。

「もう少しだからね。そこには、君のように異世界から落ちて来た人が何人かいるよ」
「そんなによく落ちて来るものなんですか?」
「今年は特に多いかな? この町の近くの山に星竜様のお住まいがあるので魔素が濃くて、外部の人が大きな魔法に失敗して足を引っかけるのはわりとあるんだよ」

 そんな、足を引っかけるとか、タンスの角に足の小指を引っかけたとか、カーペットの端に足を取られたみたいに⋯⋯

「ああ、うん、そんな感じ。だから、この国には、こんな小さな町でも、落ち人救済監理局の支部があるんだ」

 この国のどの町にもあるんだそうだ。勿論、医者もいないような集落でも、連絡を取る為の窓口はあるらしい。
 魔法士が多く育ち、あらゆる魔道技術が発達した国だからこその特異性らしい。

 平屋や二階建ての家屋が多い中、三階建ての切り出した石材を使った大きな建物が見えてきた。


 建物の玄関口まで来ると、衛士のお兄さんは振り返り、東欧系の爽やかイケメン風の笑顔を見せる。

「改めて、セイル竜王国へようこそ、異世界からの迷子さん。ここがあなたにとって第二の故郷になれますように」



 次話
🚷17 失礼な監理官
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