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竜王国って、竜の国?
🚷22 星竜様に会ったかしら?
しおりを挟む「えと、モモカ、だったかしら? あなた、ここに来る前に誰かに会った?」
「城門の衛士さん? 伺いませんでしたし、鑑定は使ってないのでお名前は知りません」
「そうじゃなくて、この町に着く前よ。殿下に会ったのかしらと思って⋯⋯」
「殿下さん。セイル殿下さんは知りませんし、山の中を歩いて街道に出て、轍と足跡を辿って下山しながらここに着くまで、誰にも会ってないです」
「セフィル殿下は、身長はガヴィルより少し高くて、腰まで伸びた髪が真珠貝色に艶めくアイスシルバーブロンドの成人して少しくらいの青年なんだけど」
「そんな目立つ人には会ったことないです」
「じゃあ、竜を見たことは?」
「いいえ。山の中で見たのは、鹿なのか山羊なのかわからないスラッとしたガゼルっぽいのを、虎みたいにガッシリした豹みたいな肉食獣が捕まえてるところは見ましたけど、そう言えば、山鳥とか小動物は見たことないですね?」
評議国の草原ではナキウサギっぽいものは見たけど、竜王国に入ってからは見てないや。
「そう。じゃあ、星竜様から加護を受けたのはいつだか心当たりはある?」
「いいえ。女神様にも会ったことないですし、精霊達に聞いたのですが、世界の境目から落ちる瞬間に女神様のお力に触れて加護を受けるそうです。ですから、もしかしたら星竜も、直接会ったことはないのかも?」
「そう、かもしれないわね。星竜様だもの⋯⋯ て、え? 縞ジャガーに遭って、無事にここまで来られたの?」
「光の子が光の撹乱で姿が見られないように誤魔化して、風の子が臭いや音を遮断してって風に複合魔法で隠遁の術を使ってくれまして、醜鬼からも逃げられました」
「そ、それは凄いわね。醜鬼に遭って逃げられた丸腰の女性は初めて見たわ」
呆れ顔のアディライトさん。
「よほど剣の腕が立つか、強力な攻撃魔法が撃てるなら或いはですけど、この世界をよく知らない異世界人がいきなり出遭って無事なのは、史上初かもしれませんよ? アディライトさん」
「それよりも。この世界の精霊を自在に使いこなして、複合魔法を使ってるのが、有り得ないと思うのだが。宮廷魔導師も熟練者でなければ難しいだろうに」
マディラさんもガヴィルさんも、やや興奮気味に語る。
「いや、ですから、魔力と精霊に特化した女神の加護なんですってば。私が魔法を使ったんじゃなくて、精霊達が、好意でしてくれたんです。マクロンさんの真似だって言ってまし⋯⋯」
ヤバっ 評議国の薬剤魔法士の名前知ってたらアカンやん!?
次話
🚷23 マクロンさんって竜王国の人?
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