88 / 163
今日から冒険者(仮)
🚯3 訓練施設
しおりを挟む秋晴れって感じる清々しい空。空気が澄んでて、日本では、なかなか味わえない心地よさ。
足元には芝生に似た草が生い茂り、どこまでも続く草原。
に、見えるけど、どういう事だろう。
ここは、地下である。
「不思議か? ここは、こういう場所なんだ」
「大丈夫よ。ちゃんと帰れるから」
ガヴィルさんと、赤い髪を高い位置でポニーテールにした女性。
私の研修の仮パーティである。
ガヴィルさんは初級の回復魔法と、水と風の加護を持つ魔法士でもあるらしく、綺麗な魔石のペンダントを身につけていた。
ゲームの魔法使いが杖に魔力を溜めて放つように、この魔石に意識を集中してから魔法を使うと、正確性が上がるらしい。
見た目、戦士とか格闘家みたいなのに、魔法士なんだ?
赤いポニーテールの女性は、自由民協会の会員で、剣士のお姉さん。
上級者で、結婚を機に第一線を退き、初心者の指導と、スポット参加で助っ人をされている人だそうで、私の指導について来てくださった人。
赤い髪の通り、火の精霊の加護を持った人で、魔法剣士でもあるらしい。
「ここは、初心者が仕事をこなせるか試す場所で、訓練施設でもあるの」
この秋晴れの空も、草地も、幻影魔法のようなものだという。
魔獣が現れても魔物が飛び出しても幻影。
但し、彼らに傷つけられたら本当に傷が出来る。
受付嬢のカムリーさんは、依頼を受ける前に、ここで、回復薬の元になるチェゴの葉とルゴの実を籠いっぱいに採集してこいと、自由民として仕事が出来るのか見極めると言った。
本物ではない幻影だけど、私がやられたと眼で受け止めたらその傷は本物になる魔法がかかった訓練施設だというので、心配してくれたガヴィルさんと、協会の職員でもある剣士が見極めに付き添ってくれているのだ。
さっきから時折、皐月のような小さな葉が密集した低木の影から、兎のようなモルモットのような魔獣が飛び出してくる。
最初は咄嗟のことでガヴィルさんが風魔法を付与したナイフで斬り捨ててくれたけど、それ以降は私が右手の爪から鎌鼬のような真空の刃を発射して倒している。
「戦闘魔法には慣れてきた?」
「ええ。今の所風の子ばっかりだけど」
私は、魔力を集めて射出するだけという技能のおかげで、呪文を唱えたり、指を組んで印を結んだり魔道具を併用したり、難しい魔法陣を描いたりする魔法を使う必要がない。
魔力を操作出来さえすればすぐに使えるというアドバンテージがあるので、急に襲われても咄嗟に魔力を打つけるだけで済む。
「じゃあ、薬草を探すのを再会しましょう」
「この薬草を覚えておけば、野に出ても役に立つからな」
基本中の基本らしい。
次話
🚯4 薬草を見つけよう
0
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる