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今日から冒険者(仮)
🚯15 上級魔法士は聖女さま?
しおりを挟む「ち、ちょっと待て。女神の加護が特殊体質【精霊愛護】な上に、星竜の加護だと? まさか、聖女召喚!? 評議国の全身、アイラ聖妃国の聖王妃の再来か!?」
「⋯⋯お前もそう思うか」
チラッとこちらを見て応えるガヴィルさん。
うう。バレバレか? 愛唯が聞き込んで来た、国を護る結界を維持するために、強引に王妃様にされた異世界の聖女さまも強力な精霊の支援があったらしいから【精霊愛護】を持っていたとしてもおかしくない。
それと、私を結びつける事は容易なのだとしたら、私の魔力はそれほど規格外と言うことなんやろな。
その聖王妃アイラさんの再来ではないけれど、聖女召喚を疑うのは正しい。なにせ事実なのだから。
「殿下は今、国外におられるのだろう?」
「ああ。だが、全くの無関係とは思えん。ただ、モモカは星竜にはあった事はないそうだ」
「覚えてないだけなんじゃ?」
「⋯⋯一応、さすがにドラゴンに遭ったら忘れないと思いますけど、意識がない時に、向こうが一方的に会ってたならわかりません」
「その可能性もあるか」
「女神さまにもお目にかかってませんし」
「それは、世界の殻を通る時に意識がなく、異界からの客人を慮る女神さまが加護の息吹をかけてくださるからだろう」
そういうものなのか。落ち人には、ほぼほぼ女神の加護があるって事ね。
「解った。それなら、制約を課すのも理解できる。これは俺の胸の内に収めておこう。だが、いずれバレるのではないか?」
「かもしれんが、せめて殿下がお戻りになるまではなるべく公表せずにおきたい」
二人は、政治的な専門用語も交えて話し合うけど、私はついて行けなくなって、自分の事なのに聞き流して、ぴちょん達の色んな形に変形して遊ぶのを眺めて和んでいた。
ぴちょんはナキウサギの形が気に入ったらしく、ずっと変わらないが、他の子達が、メラがボムの形や柳花火のようなキラキラになってみたり。土塊のマナは、粘土細工よろしく色んな形を楽しませてくれた。
一番困ったのが風で、火や水、土のように眼に見える形のない存在だから、風が吹くだけでは表現が難しい。
淡い蒼の色をつけてつむじ風を駒のように手のひらで転回すると、模型の台風みたいで可愛らしくてつい、「可愛い」なんて言ってしまったものだから、私の腕を伝って左肩まで回転しながら進み、そこを定位置と定めて回り続けた。うん、可愛い。
「⋯⋯という事だから、モモカ。暫くは初心者向けの低級クエストを、協会の推薦を受けた自由民や救済監理局の職員とパーティを組んでもらう⋯⋯て、聞いてるか?」
「あ、はい、聞いてませんでしたが聞いてます。お手数おかけしますがよろしくお願いします」
苦虫をかみつぶしたような微笑みで、頭をかき混ぜるように撫でられた。
開示部分だけ鑑定してもらって16歳(もうすぐ17歳)だと知ってるはずなのに、見たまま子供扱いである。
ガヴィルさんって幾つなんだろう? と思ったら、自然に鑑定が発動して、34歳だと解る。倍かぁ。ちょっと若いけど親子に近い差があるね。じゃあ、子供扱いも仕方ないか。
次話
【自由民協会《ギルド》ロックウェル支部】
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