聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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自由民ギルド ロックウェル支部

⛔8 木の実豊穣の地は禁足地?

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 十年経っても変わらない? 十年前の私を知ってる?

『ふむ⋯⋯ 覚えてらぬのか。の背から尾を滑り遊び、翼の内で昼寝もしたと言うに』

 えっええぇぇえぇぇ!? 何その情報!? 全く記憶にないんですけどォ!?

「モモカは落ち人ではなかったのか?」
「この世界の生まれじゃないですよ。え、あの、星竜さん、日本に来た事が?」
『なぜそうなる。うぬの地の竜という存在は、太古に絶滅し、今では空想上の生物だと言っていたではないか。がそちらに行けば『自衛隊』という軍隊が出て来て大事になるのだろう? うぬがこの地に迷い込み、と話した後、親元へ送り返しただけの事』
「かっ帰れるの!?」
『条件を満たせば。⋯⋯今は無理だがな』
「その条件って?」
『現在は実現不可能ゆえ、聞くだけ詮無いであろう。可能になれば伝えよう。今は、この地を満ちて生きよ』

 帰れる? 日本に?

「さすがは星竜様、異界からの落ち人を元居た地に送り返せるなんて」
『誰でも可能な訳ではない。当時の萌々香ももかは条件を満たしていただけのこと。そうそういつでも送り返せる訳でもない』

 そして、たぶん、世界中で偶然落ちて来る異世界の人を全員気にかけて送り返す義務や責任もないだろうし、知り合わなければ情も湧かないのだろう。

『そう。うぬは袖振り合うも他生の縁と言うやつだな。の背や尾で遊ばせ、木の実を分け合い、翼の内で眠るのを見守った、言わば吾子あこのようなもの。離れた地で落ち来る縁のない者とは違う』

 ふえぇ。全く記憶にありません。十年以上前って事は、5~6歳か、行ってて7歳? それなら記憶にあるはず。

『時に萌々香ももか? 泳げるようにはなったのか?』
「あ、へへ。今も湖岸に寄らないのを見てもお解りかと思いますが、お風呂より大きな水辺には近寄るのも無理です」
『そうか⋯⋯ に怯えたという感じではなかったが、幼き頃にの上に落ちて来て、やはり怖かったのであろうな。はこうしていつもこの湖の底に居るゆえ、いずれ水には慣れて欲しい』

 えっと、それは、今後も会いに来る前提の話ですね?

『約束の時まで三年あるとは言え、傍に居るとのやくたがえるつもりではなかろう?』
「お金を稼がないと食べていけないので、街で働きつつ、採集クエストの時にここへ来て、お話しするって事でいいですか? それとも、ここに家を建てますか?」

 お隣さんになるのかと問う私に、キミカさんもガヴィルさんも慌てて止めようとする。

「モモカ、ここは本当は禁足地よ? 家なんか建てられないわ」
「知らんようだが、途中に結界があってな? 星竜様の許しのない者は登山出来ないようになっているのだ」

 どおりで、人の手の入っていない雑木林の間の獣道っぽかった訳だ。
 立ち入り禁止区域でしたか。
 最初に、ここは星竜様の棲まう聖地だと聞いていたのに、そこには思い至らなかったな。



 ❈❈❈❈❈❈❈

吾子あこ(我が子)も古い言葉。「あ」や「あれ」と自称していた言葉が、後にあれわれわれとなったもので、ここでは『』で行きます
(⛔6の星竜の一人称『私』は、ある事情 ネタバレ禁止 で『私』にしてましたが、やはり星竜の台詞の時はこの先『』の方でいきます)


 次話
⛔9 子守ドラゴン?
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