聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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自由民ギルド ロックウェル支部

⛔12 指名依頼

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 私に、初めて指名依頼が来た。

 向こうが私の名前を知っていた訳じゃなくて、協会ギルドの推薦ってやつ。

「ここから少し南東の森に、何種かの竜族が棲んでるの。そこで、竜燐を何枚か拾ってきてくれないかしら?」
「竜燐を、ですか?」

 魔物退治をする専門家が、竜燐の防具を作りたいらしく、素材を集めるのに苦労しているらしい。

「おい待て。そんなの、昨日今日自由民を始めたばかりのモモカに持って来るような依頼じゃないだろう?」

 ガヴィルさんが怒り気味に抗議する。

「そうね、マーシャ、気は確か?」

 キミカさんも訝る。さっそく、アディライトさんの心配が現実に?

「これは採集クエストよ。拾ってくるだけ。何も竜族相手に交渉してこいとか、強引にドラゴンを狩って鱗を入手してこいとか言ってるわけじゃないわ」

「詭弁だな。ただ拾ってくるだけだというのなら、依頼主が自分で拾ってくればいいだろう? 魔物や魔獣専門の狩人ニムロドなんだろう? そいつらは」
「彼らに出来ない事を初心者にさせるなんて、正気じゃないわね。本当に初心者でも出来ると言うのなら、マーシャ、あなたが行って採ってくれば? お得意の防御魔法が役に立つかもよ? あなただって協会ギルドメンバーなんだし、受注出来るでしょう?」

 キミカさんも、私には難易度の高い依頼だと非難した。

「モモカだから出来るのよ」

 自信たっぷりに答えるマーシャさん。

「何を言ってるんだ。ただ拾ってくるだけだと言っても、縄張りに入ったら襲ってくる可能性はあるだろう? 竜族を怒らせたらただじゃ済まないぞ?」
「それこそ、最上級の協会ギルド傭兵ハンターが数人は必要よ?」
「ドラゴンの多くは肉食だ。交渉するとか縄張りに入った謝罪をする間もなく喰われかねない」

「モモカの、魔力が続く限りすべての攻撃を吸収反射する防御魔法が寄せ付けないでしょうし、生物の頂点に立つ星竜の守護を得ているのよ? 私は、モモカなら問題は起こらずに帰ってくると思ってるわ」
「承諾出来んな」
「あなたの独断で紹介してるなら止めなさい。このまま協会ギルド会長マスターに話をあげてもいいのよ」

「いい話だと思うのだけど。彼らの提示した報酬は、今後、その竜燐で作られた防具が壊れるまで、すべての成功報酬の1%をモモカに献上するって言うのよ? 何もしなくてもお金持ちになれるわ」
「リスクが高すぎるわ。死んだら元も子もないわ」

──竜の巣に行って、鱗を拾ってくるだけなら簡単だよ
──マクロン方式の隠遁魔法と防御魔法があれば、気づかれずに行って帰ってこれると思う
──もし、気づかれて逆鱗に触れても、星竜様がいるし
──星竜様の竜燐を身につけてる時点で、強いやつほど、野生動物は襲ってこないんじゃないかな?

 醜鬼ゴブリン豚鬼オーク、蟲型魔獣にはたかられたけど? ああ、虎柄の豹縞ジャガーには警戒されたっけ?

──蟲や小鬼インプ達は、畏怖とか複雑な感情はないから
──野生の警戒心より本能が勝ったんだね
──一般的な動物でも、食欲と種族保存使命は優先でしょ?

 そう言われれば反論できないかな。



 次話
⛔13 裏がある?ない?

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