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自由民ギルド ロックウェル支部
⛔15 ウサギ狩り
しおりを挟む一匹づつ罠にかける非効率的な手段ではなく、前もって魔法が馴染みやすい魔石がついたピックをあちこちに設置し、ホーンラビットが集まった場所に向けて、魔法を走らせる。
すばしっこいので、そのままではド素人の私の攻撃は、短剣や短槍、ナイフや弓矢は勿論、魔法すら当たらない。
まずは足止めをするため、いろんな子の力を借りて、電気を発生させて電磁網のようなものをイメージしてホーンラビットを捕らえるのだ。
死なせても血抜きとか解体とか出来ないので、気絶して動かないホーンラビットの手足を縛り、次々にエコバッグの中に放り込んでいく。
「それ、どうするの?」
「討伐確認部位の角か魔核を取れって言われてもまだ出来ないので、このまま持って帰ります」
この絞り染めのエコバッグが無限空間拡張収納袋であると、ガヴィルさんは知っているけど、キミカさんは知らない。
そのガヴィルさんも、3つあったことは知らなかったはずだけど、知らん顔して、見せたことのある薄い藤色(商品名はラベンダー)ではなく、濃い緑青色(商品名は常磐緑)の絞り染めエコバッグをポケットから出して、ウサギを入れていく。
これはいつの間にか上着の左ポケットに入ってた。
地精を扱うのが巧い恵みや生命力を司る精霊の子が、ぴちょんと同じように自分の霊気で満たして保存していたらしい。
「それは、異界流なの?」
「え?」
「袋の中を魔素で満たしてるなんて見たことないわ。それ、空間拡張収納袋なんでしょ?」
公言はしていないものの、落ち人救済監理局の副局長が、そこで寝泊まりしている少女の保護者を買って出て、自由民協会に同行する。それだけで、私は、異世界人ですってバラして歩いてるようなもの。
キミカさんには、マディラさんとガヴィルさんに挟まれるようにして協会にやって来た時からの付き合いなので、隠しても仕方がない。
別に地球産の技術ではないけれど、説明が面倒臭いので、曖昧に返事しておく。
「こうしていると、状態維持にいいんですよ」
数えてなかったけど、10匹はとうに越して入れたような気もするけど、ま、いっか?
と、思ってたら⋯⋯
「それ、幾つ入るの? どこまで入れるの?」
どう答えたものか。
「パンパンにしたことないんで、ちょっと解りません」
正直に答える。本当に知らないのだから、嘘じゃない。ただ、ぴちょんは自分の霊気を補填すれば幾らでも保存できると言っていたから、もしかしたら、底なしなのかもしれない。
気絶しているホーンラビットはあらかた詰め終わったので、立ち上がる。
「魔獣とは言え、絶滅させると生態系が崩れて、他の種も絶滅したり、異常繁殖しちゃったり、それまで抑えられていた別の何かが出て来たりするかもしれないから、この辺りはこれくらいでいいかな?」
「そうね。そういう事を考えられる辺り、ホント、モモカは初心者離れしてるわね。ああ、言い方が悪かったかしら、いいことなんだから、別に気にしなくていいのよ」
「そうだぞ、モモカ。中堅どころの協会の傭兵達もそこまで気が回らない奴は少なくないからな。評価されて然るべきだ」
一応、誉められてるのかな。これも、テレビや本の受け売りなんだけどね。
──それでも、その知識を正しく使いこなせるのはモモカのチカラでしょ
──そうそう、知ってても適所で使えなきゃ意味ないからね
精霊達に励まされながら、もう少し移動してホーンラビットの様子を覗ってから、協会に戻る事にした。
次話
⛔16 査定・買い取りは、奥の職員作業場で
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