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自由民ギルド ロックウェル支部
⛔21 不正査定の顛末
しおりを挟む私の捕まえてきた一角兔の討伐報酬と素材部分の買い取り価格に水増し請求ならぬ、一部だけ提示で中抜きをしていた事がバレた査定士達は、全員馘になり、詐欺行為をしたとして、国軍の保安課に逮捕されていった。
月締めの会計士も無能として馘になり、会計士協会からも資格剥奪の上除名されたらしい。
会計士さんが不正をした訳じゃないけれど、責任者と一緒に収支決算書を作ってた訳で、不正に違和感を覚えることもなく数字だけをみていたから、と言うのが理由らしい。
ちょっと可哀想だけど、横領を見抜けなかったんだから、会計士の交代をギルマスが命じるのは当然だよね。
雇い主から無能のレッテルを貼られ、損害賠償の請求をされた会計士は、この先どこも雇ってもらえないと上司に判断されたのは残念だけど、自由民協会という特殊な派遣先の知識を持つ努力がなかったのだから、こことは合わなかったのだろう。
査定士のまとめ役のラーソンさん、中間管理職らしきノーマンさんは降格処分の上、査定とは関係のない部署へまわされた。その上更に、当分の間は、これまで搾取されてきた過去の自由民傭兵さん達に、詫びながら補償金と正規価格との差額を返していくという、針の莚な仕事をさせられている。ちょっと可哀想だけど、これもまた、横領を見抜けなかったんだから、仕方ないのかもしれない。
責任を取って辞任します、じゃ通らないんだね。責任の取り方としては、真っ当なのかもしれない。
ラーソンさん達の抜けた後は、全部完済されるまで、協会会長とその補佐官、事務局の人達とでみているらしい。
特に、鑑定能力のある査定士、魔物を適正に解体できる人がゴッソリ居なくなったので、てんてこ舞いなんだって。
あ、私の一角兔の代金は、討伐報奨金と角や毛皮と食肉の名目で、適正に買い取られた。
雌が多めで、肉が柔らかく雄より高めに買って貰えた。間引きという意味でも雌を獲る方が良かったのだとか。
更に、魔核が取れれば、後日上乗せされるという。
不正が発覚したきっかけになったからと、解体手数料は免除になったので、ちょっと懐が暖まった。
「それでも、やっぱり解体講習は受けた方がいいわね」
「キミカさんは燃やしてしまうんでしょう?」
「そうね。魔獣に因っては毒や呪いを持ってる個体も居るし、いちいち捌いてたらクエスト中はそればっかりに手と時間を取られて大変だからね。討伐部位を切り取って燃やして、魔核が取れれば回収、かな? 自然死じゃない遺骸を放置すると、瘴気を発生したり呪いがかかったり毒素を吐き出したりする事が多いので、燃やして遺った遺灰は清めて埋めるのよ」
なるほど。聖職者がメンバーにいれば、浄化も可能だけど、激戦地とかだと追いつかないからやはり燃やすらしい。
心の手帳にメモしとこ。
次話
⛔22 お出掛け(こっそり)
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