聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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自由民ギルド ロックウェル支部

⛔23 霧のかかる森

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 採集クエストのいいところは、前もって受注しなくても、手持ちがあればすぐに達成できる事。
 他の人は、干物にしておいて使うアイテムなら在庫に余裕があればたまには受けても、たいていは鮮度が価格に響くので、あまりやらないみたいだけど。

 私は、ぴちょんやマナのおかげで、エコバッグに入れておけば鮮度は落ちないので、在庫さえあればいつでも受注と共に達成である。

 という事を活かして、取り敢えず、素材を拾い集めながらくだんの森まで歩いてみようという気になったのだ。

 独りで。

 どうせこの先、キミカさんの補助やガヴィルさんの付き添いがなくなれば、独りで歩くことになるのだ。
 昨日、大量発生したという一角兔はホーンラビット 間引いた訳だし。



 ⋯⋯と、

 思ってたのだけれど──


 出るわ出るわ。ホーンラビットがウヨウヨと。

 地面に魔石のついたピックを刺していないけど、目を閉じて闇っ子アーテルとリンクしてホーンラビットの位置を感知。
 大気エア風っ子ウィンと協力して、ホーンラビットの多い場所に電撃の網を張る。
 昨日と同じく、低級魔獣で私より遥かに魔力が低いせいか、簡単に麻痺してくれる。大半は気絶してた。

 サクサクと手足を縛り、常磐緑ときわみどり色のエコバッグに詰めていく。

 目的の森に着くまでに、昨日の倍近く69匹捕獲した。
 これは、非常食とか角や毛皮の換金用にとっておこう。
 うん、食用にするなら、やはり解体講習は受けた方がいいみたい。どうすればいいのか解んないや。


 ◈◈◈◈◈


 ドイツの黒い森シュヴァルツヴァルトを思い出す。勿論、写真やテレビの映像でしか見たことはないけど。

 樹々が濃くて黒々とした深い森。所々霧が立ちこめているのは、日蔭に湿気が溜まって、湿地になっているか沼があるのかもしれない。

 時折、小鳥やリスっぽい小動物が道を渡っていく。公園で見るそれらと違い、人慣れしていないのだろう、警戒心が強そうで、近くでよく見ることは諦めた。可愛いのに。

──尻尾がふさふさしてる方がいいの? 手触りは無理だけど、ほら、尻尾は生やせるよ?

 ナキウサギの形をしていたぴちょんが、一度崩れてリスの形になる。可愛い。

 アーテルやマナも競ってリスやモモンガの形になる。

──これモモンガなら飛べるし
──元々儂らは浮いとるじゃろ

 可愛いよ、みんな。形も、そうやってアピールする性格も。

 そう言って愛でると、みんなそれぞれの属性の色で明滅して喜びを表現する。
 本当に可愛い。

「さって、行こっか?」

 霧があっても嫌な匂いはしない、むしろ木々の繁る青いにおいが心地良い、森の中の細い道に一歩踏み出した。




 次話
【竜族の棲む深い森の中で】
🔇1 暗い森でハイキング
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