聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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心を守ってくれた優しい人

🚫5 眩しい笑顔の⋯⋯

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 待って、この人は本当にあのマクロンさんなの?

 頭の中の理解が追いつかない。

 まるで人が変わったようで、どこか違和感があって納得がいかない。

 違和感⋯⋯

 渋茶色にもオリーブグリーンにも見えるサラサラの髪は、手触りも色味も間違いないけど⋯⋯
 眼が! 緑味の強いダークヘーゼルの瞳だったのが、七色の輝きを放つオパール色!

「ああ、眼の色が戻ってるかい? 精霊に感染させてたからダークヘーゼルの眼の色だったけど、元々は色素の薄い眼なんだ。両親の血族にね、まれに出るんだよ。髪もね、薬剤錬成魔法士に見合った精霊をおろしてるからこんな色だけど、生まれつきはやはり色素が薄いんだ。家系の色だね」

 精霊をおろしてる? 降霊術? 守護精霊じゃなくて、ワザと、緑気系の精霊を憑かせてたって事?

「そう。萌々香ももかは賢いね。その通り。私には、特にこれといった決まった守護精霊はいないんだ。かの国なら『月无憑き無し』と呼ばれちゃうね」

 萌々香ももかと一緒だね。そう言って笑うマクロンさん。


「⋯⋯ざけるな! 片腕で、それも素手で剣圧を抑えられる人間が居るかっ!?」
「テメェ、ナニモンだ、正体見せやがれ」

 剣士と魔法士が、起き上がって怒鳴り散らす。
 なんともお口の汚いこと。

 チラッと視線だけを背後にやって、ため息をつくマクロンさん。

「はぁ。私の魔力を受けて、まだ解らないのか。他国出身だとしても、霊気や魔力を読む事は出来るだろうに」

「所詮、己の力量と目の前の格上の敵との差も判らぬ愚か者ですよ、我が君。相手にする事はありません」

 なにげに当たりの柔らかそうなイサナさんも、丁寧な口調で落としていく。

「この後、逃亡したり刑に服して解放された後に、再び萌々香ももかに執着されてもかなわんからな」

 私を抱えたまま、襲撃者達に振り返って左腕を後ろに横払いすると、濃い髪色がサッと抜け落ち、瞳と同様、七色の輝きを放つオパールホワイトの銀髪になる。うう、眩し。

「ふむ。この方が、髪の色も萌々香ももかとお揃いでいいな。評議会国にはもう戻らないから、このままでいいか」

 確かに、私の地毛に似てる。マクロンさんの方が圧倒的に煌々きらきらしいけど。

 それよりも驚くのが、マクロンさんから放たれる圧倒的な魔力と霊気。
 霊圧って言うのかな? 眼にも見えないし物理的に触れる物でもないのに、圧されるような錯覚を起こすほど。

 あの国に居た時は、私より弱かったのに、本当はこんなに強かったんだ。

「あ、ああ、あんた、その髪、霊圧、  プレッシャー まさか、竜太子?」
「私をそう呼ぶ者もいるが、竜太子 • • では無いよ。親族が竜血の一族というだけで、私自身は政治には係わらないからね」

 そう言って微笑むマクロンさんは、髪と眼の色が明るくなって、眩しかった。



 次話
🚫6 有名無実?
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