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心を守ってくれた優しい人
🚫19 マクロンさんの人物像がブレブレ?
しおりを挟む王様の可哀想な子を見る目が痛い。いっそ、見ない振りしてください。
「セフィル。レディの扱いを学んでないのかね?」
「レディ? ああ、貴族令嬢への応対ですか。一応一通り身についている筈ですが、萌々香は令嬢とは同じじゃないですよ」
それは、私がお姫さまのように扱う価値のない俗物って意味じゃないのは解るんだけど、どういう意味なのかはちっとも解らない。
「お嬢さんに失礼じゃないのかね?」
「なぜ? その他大勢の、どれも大して違わない令嬢達と可愛い萌々香を同列になんか出来ませんよ。陛下だって、臣下の奥方や令嬢と、王妃や王女達を同じには扱わないでしょう?」
「む。そういう事を言っているのではないのだが⋯⋯」
「陛下。無駄ですよ。我が君には、愛らしいお嬢さんにしか見えてませんから」
私は、何を見せられて、何を言われてんのかな。
評議国にいた時と今のマクロンさんとの人物像にズレがあって、ちょっと戸惑うんですけど、誰か、説明して欲しい。
優しい所も、顔立ちや声も変わらないんだけど(当たり前)、恥ずかしいこともサラッと言えるところも変わらないのに何か違う。
マクロンさんがナイフとフォークで丁寧に一口サイズに切り分けたチーズinハンバーグを、自分で口に運ぶ。
「凄っ 美味しい!! 久し振りの煮込みハンバーグチーズin。よく再現できてる」
本当に、日本のファミレスで食べたドミグラスソースで煮込まれた、チーズが中に入ってるハンバーグだ!
鑑定を試してみても、仔牛と山猪の挽肉、フレッシュチーズとクリームチーズのミックスソース、牛のすね肉や骨、炒めた香味野菜、小麦のルー、トマトピューレを加えて、煮込んでから濾してできたドミグラスソースって出て来て、全く地球のそれじゃない?
「気に入ったかい?」
「うん! 懐かしくて、美味しくて、嬉しい」
芋やコーンを丁寧に裏漉ししたスープも、ベリーがたくさん乗ったチーズケーキも、食べるだけで幸せ。
「そうか」
「私のあのいい加減な説明から、よく再現出来たなぁって感激するよ。シェフにお礼を言いたいくらい」
「そうか」
フルコースの最後に王様がシェフを労う時に、久し振りに美味しかった事を伝え、感謝した。
この数日後、ハンバーグを再現した料理人さんを、マクロンさんはお屋敷専属に引き抜いてしまった。いいのかなー。
──いいんじゃない?
──お城の料理人になりたい人は他にもいるでしょ
そういう問題じゃないと思うけど、仕方ないね。美味しいものには勝てないし。
ちなみに、この料理人さんには、あちらの料理の説明をする時に、底なしエコバッグから、買ったばかりのハンバーグに必要な香辛料や乾燥ハーブを説明しながら手渡しておいたのだ。
小さいガラス瓶のやつ。プラスチックケースや袋の買ってなくてよかった。この世界にはない物だもんね、気軽に渡せない。
私の分は、また後日、新品が取り出せるからこのエコバッグの凄さがありがたい。
固有能力【状態保存】と【再生】は、この世界の人が持っていない、私だけの、日本のラノベ感覚で期待する事が能力となって身についたもの。
創造じゃなくて【状態保存・再生】だから、元々入ってたものしか増やせないんだけどね。それで充分助かってる。
──任せて!
うん。これからも、よろしくね。
次話
🚫20 国王の前で船漕ぎ(!!)
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