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心を守ってくれた優しい人
🚫18 給餌行動
しおりを挟む晩餐会とは言っても、上座に王様と、両隣にマクロンさんとお母さま、マクロンさんの隣に私、お母さまの隣にイサナさんという、極々内輪のものだったので、6人家族が使うような長テーブルと、壁際にメイドさんと給仕のお兄さん、王様の斜め後ろに執事っぽい人だけの、王族の晩餐というイメージからはやや外れた、むしろこじんまりとした、家族サイズのものだった。
食前酒は、みんなはスパークリングワインっぽいものだったけど、私は未成年と言うことで、梅に似た果実のシロップ漬けを炭酸水で割ったものだった。
「萌々香は生で果物を食べると体調を崩す事があるから、旬の果実のシロップ漬けにしたよ。こちらの物とあちらの物、食べられるか慎重に検証していかないとね」
まるで、雛に餌を与える親鳥のように、甲斐甲斐しくこの世界の食べ物の事を説明しながら、銀の匙で私の口に運ぶオパールシルバーの眩しいイケメン俳優。
「いや、あの、自分で食べられますけど」
「僕がやりたいんだ」
はぁ。これは、マクロンさんの中では10歳児以下なのは確定かな。
知識としては、半月ほどで17歳なのだと知っていても、ほぼ大人に近い年頃の娘だと、子供扱いは恥ずかしいし失礼だとは認識不足のようで。
僕がやりたいんだ、じゃねぇだろ!?
⋯⋯と言いたいけど王様の前なので大人しく我慢している。
病人や幼児の世話をしたことがあるのかと訊きたくなるくらい、丁寧で上手に食べさせてくれるので、まだいい。
でも、マクロンさんは不思議なくらい、私の事をよく知っていた。
食べ物の好みや、果物アレルギー症候群(本当の果物アレルギーではないけど、条件によって同じ症状を起こす事がある)なんかについては、評議国にいた時も話した覚えはない。
「萌々香の好物をたくさん用意してもらったからね。遠慮しないで食べて」
遠慮してるのではなく、あなたに給餌されるのが恥ずかしいんですけど。
お母さまはにこにことこちらを観察してるし、イサナさんと王様は、生温かい目で眺めていた。
「我が君」
「なに?」
「竜妃様は、幼児でも病人でも後期高齢者でもありません」
「ああ。もうすぐ17歳の年頃の娘だ、何回目だ? その質問」
「我が君がお解りでないようなので。何度でも」
「どう言う意味だ。ちゃんと人間の歳は数えられるぞ?」
眉を顰めてイサナさんを見るマクロンさん。
「一般的に、年頃の娘さんは、人前で他人に食べさせてもらう姿を見られるのは恥ずかしいものですよ」
「む。そうか。すまないね、萌々香。あの人達の前で恥をかかせたのか」
素直に謝り、自分のお皿に向き直るマクロンさんは、所在なげで子供のようだった。
次話
🚫19 マクロンさんの人物像がブレブレ?
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