これって乙女ゲーム? ──残念ながら序盤しか知りません──

ピコっぴ

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ドジっ娘(死語)は嗜虐心と庇護欲を掻き立てる?

項垂れるお父さま

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      👫

 とにかく、子供達の茶話会の場から離れて小一時間は経ったかしら? お父さまが探しているかもしれない。

 そう告げて、庭に戻ろうとすると、

「そう。僕も戻るから、一緒に行こう」

と言って、私の手を軽く握って引き、部屋を出る。
 サクサクと踏みながら進む音も吸い込まれそうな毛足の長い絨毯の、足の裏の感触も楽しい廊下を一言もなく進んでいく。

 先ほどの、まるで躾の厳しい家庭教師ガヴァネスみたいな厳しい目の女官も、後ろについて来た。

 もしかして、『殿下』の専属の女官なのかな?


 殿下に手をひかれてお庭に出ると、また、主にご令嬢達が、ザワッとした。

(やだなー、また、目をつけられるのかな)

 私が片田舎育ちなのも、のんびりした性格で都の人達のかしたスピードに慣れていないのも、私のせいじゃないのに。
 偶々、辺境地と呼ばれる地区に生まれただけなのに、田舎者だの、都の常識を知らないお莫迦だのと言われて、足を引っかけられたり、持ち物を隠されたりする。

 さっきのことだって、彼女達が私の足を引っかけなければ、殿下のズボンにお茶をぶっ掛けたりしなかったのに。

(それで、殿下デンカと一緒にお部屋に行って殿下と一緒に帰って来たからといって、睨まれるなんて、リフジン(理不尽)よね。
 ⋯⋯まあ、殿下デンカが手を握っているのも、気に食わないんだろうなぁ)

 わかりやすく私を睨んでいるご令嬢達の表情かおは、あまりキレイじゃない。
 顔立ちは綺麗なのに、その表情がキレイじゃないのだ。

 そして、恐らく、私の隣に立つ殿下デンカも彼女達を見て、いい感想はないと思われる。
 それくらい、醜い感情が見て取れた。

シュギョー(修行)が足りないなぁ。殿下デンカの前くらいは取り繕わなきゃダメよね。あんな表情かおしてちゃ、きっと嫌われちゃうのにねぇ)

「フロリス!!」

 子供達がお菓子を頬張る庭園の端で寛ぐ大人達の中から、お父さまが飛び出して来た。

「お父さま」
「父君? 善き領主の?」

 私の手を握ったまま、殿下デンカが私の顔を覗き込むようにして訊いてくる。

「はい、自慢のお父さまです」

 転びそうになって駆け寄るお父さまに遅れて、ゆったりとお母さまもこちらへ来る。その後ろに、お兄さまも。

 家族総出で、参加したのだ。

「ちょっと目を離した隙に姿が見えなくなって、慌てたよ。どこへ行ってたんだい? ⋯⋯て、え? 殿下?」

 今まで、私の隣に立つ殿下デンカに気づかなかったらしい。

 お父さまの視線は、私の手を握る殿下デンカの手に注がれた。

「私が、殿下デンカにお茶をかけてしまったから、一緒にお部屋に行って、お風呂に入って着替えてきたの」

 この説明は、よくなかった。かもしれない。

 お父さまの顔色が、砂のようになってしまったから。

「一緒に? 殿下のお部屋へ行って、⋯⋯風呂?」

 へなへなと、足の力が抜けたように、芝生に両手をつくお父さま。

 お母さまとお兄さまは、笑顔を崩さなかった。



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