これって乙女ゲーム? ──残念ながら序盤しか知りません──

ピコっぴ

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ドジっ娘(死語)は嗜虐心と庇護欲を掻き立てる?

張り合う朝食

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     😩

 メイド達の手早い仕度に、夜明けからお風呂に入って暖まり、丁寧に髪を梳かされつやつやになった辺りで、朝食の時間が近くなった。

 王宮で朝議に出る貴族議員と違って、お父さまは監理者として領地を取り纏める人なので、基本、外出は余りしない。

 敷地内の離れに会議室や執務室を設け、町会議員や商工会、医学会、農協、猟友会などの代表者が、お父さまを頼って相談に来る。

 今は、ラディソンブル川の氾濫の被害対策と復興支援が忙しくて、現地に行くことが多いけれど。

 宮廷の朝議に出ないお父さまは、他の王都に住む貴族当主のように、夜明けから仕度して出掛けるという事がないため、私達と朝食を摂る、数少ない貴族家当主である。

 グラディオーレ様の家庭教師に聞いたのだけれど、うちのような家庭は少なく、多くの当主は早朝から起きて一人で優雅に朝食を摂り、朝廷や領政に勤しみ、午後からは、個人的な用をこなすらしい。

 子供達は母親や邸に暮らす家族と食事を摂り、午前中は各種学問やマナーや貴族としての教養の勉強に費やされ、午後からは、男子は馬術や剣術などで身体を動かしたり、女子はお茶の作法や刺繍、編み物、語学などの淑女の嗜みに没頭する。
 その辺は、うちも同じだけれど、違うのは、お父さまもそれらに参加なさること。


 今朝も、お父さまが最奥の上座に、ルシーファ殿下、グラディオーレ様兄妹や私達の家族、といった総勢で食事をゆっくりと摂る。

 ただ、男性陣は、この後、移動中に勉強をしながら、復興支援に向かうのだけど。

「フロリス。パパは、信じているからね?」

 泣き笑いのような表情かおで、そんな事を言われても。

 まぁ、今のところ、誰の攻略にもかかっていないので、このままならお父さまのご希望(お兄さまの嫌味)通り、誰からも婚約の打診もない田舎娘でいられるだろう。たぶん。

 ゲームの強引な矯正力が働いたらわからないけれど、ルシーファ殿下は私のことを友だちだと言っているし、アーベントシュティアン様も、子猿ちゃんなんて言ってイジってくるだけ。

 お兄さまは、兄妹なんだから、攻略もなにもない。
 実は、義理の兄妹なんだ、なんて展開もないと思う。お兄さまはお母さまに似た顔立ちでお父さまの色をお持ちだし、私はこの国にはない他国から嫁がれたというご先祖様の色を持っている。

 昨日の夕食の、殿下のはい、あ~ん以降、お父さまとお兄さまは殿下を警戒しているし、お母さま、おば様は、面白そうに見ているけれど、グラディオーレ様は、お二人とも仲が良くていいわねなんて言って、特に気にしていない。

 でも、なぜか、ルシーファ殿下に対抗心でもあるのか、今朝の左隣はお兄さまではなく、アーベントシュティアン様が座っていて、私の鼻を摘まんで口を開けさせ、ご自分の苦手なプチトマトを私の口に放り込んできた。

「美味しいという子が食べた方が、トマトさんも喜ぶことだろう」

 どう考えても、トマトが苦手なのを誤魔化して他人に食べてもらってるようにしか思えないんだけど。こんな子供っぽいところもあるのね。
 まあ、十五歳はまだ子供かな。白人種だからか、元日本人の私からしてみれば、成人はたち前に見える。
 十三歳になった殿下も、美人さんのまま、高校生くらいには見える。

 私とグラディオーレ様が年相応に見えるのが例外なのだろう。

 あのお茶会の意地悪なご令嬢達も、女子高生くらいには見えたのだから。



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