死神と恐れられた俺、転生したら平和な時代だったので自由気ままな人生を享受する

オカさん

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竜種討伐

66話 竜戦の裏側3

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「南に行くにあたり聞いて欲しいことがあるんだ」

 行くと決めたからには無計画に動いてはいけない。
 最大限魔力が回復できる方法で当日を迎えよう。

「まずは寝る時間を多く確保したいから学園を休むことにするけど良いかな?」

「貴方が必要だというのなら特に文句は無いわ」

 レイナは俺の提案を快く受け入れる。

「そして明日の夜に騎士団本部に行って今後の動きについて聞いてくる」

 オリバーたちが今日中に王都を立つなら南の町まで遅くとも昼過ぎには到着するはずだ。
 再び竜種と戦火を交えるというなら明日の間に決行日が決まっている可能性が高いだろうし、それぐらいのタイミングで聞きに行くのがベストだろう。
 
「でも聞いて教えてくれるとは思えんが……?」

「それは多分大丈夫だと思うけどね」 

 俺の知名度は言うに及ばず、特に騎士団にはリーゼンの暴走阻止と今日の魔物の大群を退けたことで大きな恩を作ることが出来た。
 そんな俺が援軍として駆け付けたいと言えば嫌な顔はしないだろう。

「今後の動きが聞けたらそれに合わせて動こうと思う」

 俺の予想だと竜種に再び挑むなら明後日の夕方以降か、あるいは夜明け前といったところ。
 流石に援軍のオリバーたちが到着した数時間後に戦いに挑むのは考えにくいから明後日以降になるのはほぼ間違いはない。

「聞いて欲しいのはそれぐらいか?」

 ロイドの言う通り、話せることは話したから後は明日の話次第か……一応、やらかすかもしれないから伝えておこう。

「朝はいつも通り起きる予定だけど、効果が凄い睡眠薬だからもしかしたら寝過ごしちゃうかもしれないから……起きなかったら起こしてくれない?」

 体内時計は整っているから寝坊したり親に起こされたりはほとんど無かった。
 だから14歳にもなって親に起こされたらかなり恥ずかしいが、竜種との戦いに出向くというならそんな事は些細ささいなこと――――。

「「っぷ、アハッハッハ――――!」」

 恥を忍んで頼み込む俺を大笑いした。

「子供の頃から自分で起きてたアルムが『起こしてくれない?』だってよぉ!」

「そうね、起きなかったらマインみたいに毛布を剝ぎ取ってあげるわ」

「――――ッ⁉ もう寝るから! おやすみ!」

「「おやすみなさい」」

 恥ずかしさに耐えきれず、すぐさまコップに水を汲んで階段を駆け上がった。

「ちゃんと起きられればなんの問題ない」

 心を落ち着かせてからベットに座り、薬瓶から二粒の白い塊を取り出す。

「ふぅ……ウッ⁉」

 口の中に水と錠剤じょうざいを含んで一気に飲み込むと瞬く間に強烈きょうれつな眠気が迫って来る。
 薄れていく意識の中、なんとか薬瓶を床に置いて――――そのままベッドの上で眠りに落ちた。

 ***

「ふぁあ――――――――よく寝た……」

 明々後日の午前三時、起床した俺はを確認してからカーテンを開ける。無論、夜明け前で町は真っ暗だった。
 俺は暗がり部屋の中で寝着から着替えながら一昨日の出来事を思い出す。
 睡眠薬を服用した翌朝、自分で起きることが出来ず、レイナたちに声を掛けてもらったが薬の効き目が強すぎて全く起きなかったそうだ。
 まあその日は騎士団に聞き込みくらいしかやる事は無かったため、起きるまで待っておこうという話になったのだが、夜になっても目覚める気配はなく、最終的には浴槽に投げ飛ばされて反射的に起きることが出来た。しかしそのお陰で寝るという行為に少なからずトラウマを植え付けられてしまった。

 しかし寝汗もかいていたので、そのまま入浴してから騎士団本部に向かった。
 幸いなことにディアンという騎士団の隊長から訊かれたら話すように言われていたらしく、俺の名前を出す前に聞き出すことが出来た。
 作戦決行の時間はおおよそ予想通りだったため夕食を食べた後、再び二粒ほど服用して深い眠りに就いて今に至った状況だ。

「おはようアルム」

 リビングに向かうと朝食を作っているレイナと挨拶を交わす。

「飯の用意はいいって言ったのに……」

「これから息子が戦いに行くというのに心配で寝ていられる訳ないでしょ」

「ふぅん、まあ旦那さん違うみたいだけどね」

 俺は両親の寝室に視線を向けるとため息を吐きながらレイナは寝室に向かった。

「ふああぁ……おはよ、アルム」

 数秒後、枕を片手に抱いたままロイドが姿を見せた。

「寝る前にアルムを送り出すって言ったでしょ!」

「そうだったな。んじゃアルム、行ってらっしゃい」

 そう言いながら寝室へフェードアウトするロイドに彼女は本気で怒り、枕を取り上げ無理やりテーブルに座らせた。 

「全く、貴方はアルムが心配じゃないんですか!」

「心配していないわけじゃないけどよぉ、アルムなら無事に帰って来るって信じてっから!」

「なっ⁉ し、心配してないイコール信用してないって訳じゃないからね!」

 ロイドに言い負かされ、弁明するレイナ、日も昇っていない時間でもライタード家の夫婦はお熱い。

「仲良くするのも程々にね、マインが起きるから」

 そう言って俺は食卓に並べられたサンドイッチを掴み取る。

「朝食は食べて行かないの?」

「うん、作戦に遅れたくないし、ずっと寝てたから腹もあんま空いてないや」

 この二日間は食事と風呂と騎士団の聞き込み以外、全てを睡眠に費やしたお陰で魔力も全快に等しい。

「俺の我儘わがままを聞いてくれて本当にありがとね」

 作業場へ続く階段に足を踏み入れる前に感謝を告げる。

「何言ってんだ、これぐらいお安い御用だぜ」

「私たちに出来るのはこれぐらいしか無いから。無事に帰って来てね」

「うん! 行ってきます!」

「「行ってらっしゃい!」」

 両親に見送られて俺は家から飛び出し、彼らの設営地に向けて走り出す。 
 日が昇っていないのなら影移動で移動したいところだが、月明かりが地上を照らして影は鳴りを潜めていた。王都の外もどこかぞの阿保あほが森を焼き払ってしまったせいで数キロ先は自分の脚で走るしかない状況だった。

「アルム殿!」

 南門前で馬を連れた騎士が俺に声を掛けた。

「一昨日の騎士の方ですね、なにか用ですか?」

「設営地までかなりの距離があると思って馬を用意しました。あと激戦になると思うので回復薬ポーションも! 必要であれば使って下さい」

 彼は期待の眼差しを向けて手綱を差し出す。
 報告に聞いた通りであればあまりかんばしくない状況、そんな戦況に俺を投入すれば勝利を収めることが出来る、そんな期待に胸を膨らませている様子だった。

「であれば森林地帯の前まで馬を走らせてくれませんか?」

「それは構いませんが……」

 指示の意図が読めず、混乱した様子を見せるも馬にまたがった。

「では出発します!」

「【影移動シャドウムーブ】」 
 
 走り出す瞬間、俺は月明かりによって作られた彼らの影に潜り込む。

「ええッ⁉」

 得体の知れない魔法に素っ頓狂すっとんきょうな声を上げるも彼は馬を走らせ続ける。

 オリバー……約束を破って本当にごめん。でも人助けこれだけは絶対に曲げたくないんだ!

 俺は為すべき事を見据え、彼らの元へ向かった。
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