死神と恐れられた俺、転生したら平和な時代だったので自由気ままな人生を享受する

オカさん

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魔法学園入学

12話 感じの悪い貴族

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 早朝、魔法学園の入試試験に挑む俺は玄関前で家族に見送られていた。

「試験頑張れよ、アルム」

「うん、頑張るよ父さん」

「……最後にもう一度、持ち物を――――」

「さっきも確認したから大丈夫だよ、母さん」

「うーん、眠い」

「朝早くにごめんな」

 何故か自身に満ち溢れた顔のロイド、俺の調子よりも持ち物を確認するレイナ、二度寝したいマインと送り出すとは言い難い状況だ。
 しかし氷点下に達するほどの寒空の下に出てくれるだけ良いという事にしておこう。

「それじゃいってきます!」

 とは言え、長く立たせる必要はないためすぐに家から発つ。

「合格の報告、待ってるぞ!」

「無理はしちゃだめよ」

「お兄ちゃんお休み」 

 三人とも俺にエール? を送り急いで家の中に戻って行った。
 
「……今日も寒いな」

 白い息を吐きながら呟き、巻いていたマフラーを口元まで覆う。

 両親に進路を話してから二年が近くが経過し、今日は魔法学園の入学試験。
 この二年間は親公認で魔物を倒したり、ときには人と戦ったりしていた。
 お陰で魔力量や魔力制御力など総合的な魔法力が大幅に上昇することが出来た。それに現代人との交流幅が広がったことで、人との出会いや前世で経験できなかった事も経験でき、心身ともに大きく成長したように感じる。
 やはり下手に隠す必要が無くなったのは大きい。
 魔法塾に通っていなかったことに二人は心配していたが、得られるものは何十倍も多かった。

「これからは学園生活、楽しみだな」

 夢見る学園生活を送るため、やや駆け足で試験会場の学園に向かった。

 ***  

 魔法学園は王都中心に建つ王城から少し離れた東寄りの位置に構えており、授業のために様々な施設や広大な土地を確保している。
 なぜなら国が発展するためには魔法が必要不可欠であり、魔法研究が進歩している国や国内に高い魔法力を有している人材がいるだけで他国との交渉を有利に進めることが出来る。
 そのためエンドリアス王国も魔法教育には力を入れているようだ。

「すげぇ……」

 校門を通り抜けた正面には大きな校舎が目に入る。見たところ六階建ての建物で横幅も長く、離れたところには施設や広場も見えた。

「受験者の方は我々の誘導に従って下さい」

 教員と思しき人たちが受験者の誘導を行っていた。受験生らは合格するために歩きながら教本を読んでいたり、願掛けをしたりして必死な様子だ。
 俺も余裕があるわけでは無いが、通知された試験内容は実技と筆記の二つ。筆記は構築式の写しや用語説明などの魔法学問題と歴史や算術などの一般問題が出題されるらしい。実技は詳しく記載されていなかったが大した問題にはならない。

「受験生はこちらです」

 誘導していた教員の一人と目が合い手振りで広場のほうへ案内される。従って歩き続けると校舎に隠れて見えなかったが、相当な受験者が広場に集まっていた。

「150……いや200人は居るな」

 沢山の同い年を前に数える気は失せ、集団の中に入って行く。
 しかし無事に到着したのは良いが少し暇を持て余してしまった。同年代との交流も考えていたがほとんどの受験生が教本を睨みつけている。これでは流石に声も掛けにくい。

 俺みたいに暇を持て余した仲間が居ないか周囲を見渡すと、佇んでいる一人の男を見つける。

「おはよう、俺の名前はアルム=ライタード。話しかけても大丈夫かな?」

「……ライタード? 聞いたことがない家名だな。平民の分際で僕に話しかけるな」

 配慮しながら話しかけるもすぐに嫌な顔を見せ、高圧的な態度で接してくる。
 まあ平民であることは事実なので仕方ないか……。身なりからして良いところの貴族ではあるのだろう。

「申し訳ありません。失礼ながら貴方のお名前を教えて頂けませんか?」

 そのまま離れても良かったが諦めずもう少し食い付いてみる。

「まあ良いだろう。僕の名前はセロブロ=ジクセス、公爵家の次期跡取りだ」

「……⁉ 先程のご無礼をお許しください」

 家名を聞いて深々と頭を下げると、彼は鼻を鳴らしてご満悦な表情を浮かべた。
 在籍する七割以上が貴族の者だというのは知っていたが、最初に話しかけたのが『公爵』とはやってしまった……。

「では俺はこれで失礼します……」

 謝罪を済ませた俺は速やかにその場を離れる。
 下手に顔を覚えられて面倒ごとに巻き込まれるのは困るし、第一印象もあまり良くない。平穏な学園生活に影響が出ないよう大人しくしといた方が良さそうだ。

 セロブロ以降、貴族を警戒した俺は誰にも話しかけられず試験説明まで静かに待っていた。
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