死神と恐れられた俺、転生したら平和な時代だったので自由気ままな人生を享受する

オカさん

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魔法学園入学

13話 入試試験、開始

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 午前九時、入試試験開始の時刻を回ると広場の壇上に男性教員が立ちのぼる。

「これより実技試験と筆記試験について理事長から説明がされる! 受験生は心して聞くように」

 そう言って男性教員は軽く頭を下げ壇上から離れて行く、がその理事長の姿はどこにも見当たらない。
 受験生らが騒ぎ出そうとした時、何もない壇上が突然白く光り出した。

「なんだ……?」

 強烈な光を腕で遮るも目を凝らると人影が薄っすら見える。

「受験者の皆さん、おはようございます。試験説明を務めるレイゼン=シュベルバルクです」

 長髪の白い髪を束ねる男は落ち着いた口調で話す。

「レイゼン殿だ……かっけェ」

「あの人が上に立つ学園で学べるなんて最高だ」

 周りの受験生はレイゼン理事長に対して尊敬や羨望、畏怖といった様々な視線を向ける。
 かく言う俺も彼と対面できたことに少なからず興奮している。
 彼は30歳という若さで魔法研究の第一線で活躍し、つい最近エンドリアス魔法学園の理事長に就任した世界が認める魔法研究者だ。そのうえ先天性の転移魔法を有している特異魔法者でもあるため、最高峰の魔法師との呼び声高い。
  
「今年の受験者は284人。才能溢れる貴方たち全員を入学させたいのですが、我が学園は120人までしか入学を許していません。よってこれから行われる実技試験で定めた基準を超えられなかった者はその時点で失格となり、合格者のみ筆記試験を行います」

 競争率の高さに受験者の中から悲鳴のような声が聞こえる。

「実技試験の内容は至ってシンプルです。対象物に魔法を放ち、我々教師たちが採点いたします。基準は使用する魔法によって異なるため監督する教師から詳しい説明を受けてください。以上で説明を終わります」

「ご自身が受験する際に登録した魔法が呼ばれたら列を作って並んでください」

 説明が終えた彼は再び白い光を発して壇上から姿を消し、それと同時に教師たちも動き出す。火、水、雷――――と、行使する魔法を呼ばれた受験生らは教師の下へ向かう。
 ちなみに俺が登録した魔法は――――。

「土魔法と結晶魔法を登録した受験生はこっちに集まれ!」

 結晶魔法で登録した俺は男性教員の下まで歩みだす。
 そう、俺が登録したのは暗黒魔法ではなく結晶魔法だ。なぜなら遺伝以外に特異魔法を行使する者は見つかっていないため、暗黒魔法で申し込んだら初の特異魔法発現者になってしまう。そうなれば学園生活どころか研究所で一生を過ごすことになっていただろう。
 魔法研究に興味がある俺もそんな生活は送りたくないため、登録を偽ることにした。

「土魔法、そして結晶魔法を監督するマイルズだ。これから試験場に案内するから付いて来い」

 マイルズという男性教員の下に集まった俺たちは、広場から離れた大きな建物へ移動する。なかは全面に石材が使われておりやや寂しさを感じる内装だ。

「【岩壁ロックウォール】」

 地面に向けて構築式を展開する。直径数メートルほどの大きな円柱が作り出された。

「君たちにはこの柱に魔法を撃ってもらう。魔法発動は一度だけ、自分が撃てる最大の魔法で柱を壊して見せろ。あと指名はしないからやりたい奴からやれ」

 マイルズは柱から距離を置くと名簿が書かれたボードを手に取る。
 まさかの挙手制に受験生らは各々の顔を見合わせ牽制しており、一向に始まる気配が無かった。

「俺からやらせてください!」

 大きく腕を上げて一番手を引き受ける。
 何人か見て試験の流れを把握したかったが、全員が同じことを考えているのならば仕方ない。

「良い度胸だ、名前と使用する魔法を答えろ」

「アルム=ライタード、使用する魔法は結晶魔法です! よろしくお願いします!」

 マイルズに一礼して柱に近付き、地面に触れる。

「【黒棘《ブラックパレス》】」 

 地面に魔力を注いで魔法を発動させる。石板から鋭利な棘がせり出し、石の柱軽々と貫き天井ギリギリまで棘先が伸びる。
 大穴が開いた柱は瞬く間に亀裂が広がり崩れ落ちる。

「……どうでしょうか?」

 ぼぉとしているマイルズに試験結果の通告を促す。
 魔法出力は現代の魔法レベルより高めに設定しておいたが、合格ラインが不透明なため安心はできない。

「……ああ、アルム=ライタード。合格だ」

 うろたえた様子ではあったが合格判定は貰えた。

「すげぇ魔法……」

「あれぐらい魔法が撃てないと合格じゃないなら、おれ無理だぞ……」

 ただでさえ緊張していた受験生らは俺の魔法を見て、更に委縮してしまったようだ。
 まずは実技試験突破、周囲の反応も概ね予想通りである。
 稀代の魔法師、とまではいかないが『才能溢れる金の卵』くらいの評価は得られただろう。
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