悪役令嬢だと気づいたので、破滅エンドの回避に入りたいと思います!

飛鳥井 真理

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第一章 目覚めた記憶

第17話 協力体制

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 ◇ ◇ ◇



 シリル様へのお返事を書き終わった辺りで、フレデリック様のところにお使いに行っていたセレスが戻って来た。

「ただいま戻りました、お嬢様」

「ご苦労様……どうでした?」

 多分大丈夫だろうと思ったが、一応聞いてみたところ……。

「はい。サクス伯爵のご子息様も、是非にとおっしゃってくださいました。無事、協力体制のご許可をいただけましたので、影との繋ぎを取り、ご挨拶も済ませて参りました」

「そう、よかったわ。これでわたくし達だけで対応するよりも、万全体制が取れますわね」

 いち早く、情報のやりとりが可能になったことは心強い。

「ええ、お嬢様。有難い事です。影とは今後、私が主に連絡役を努めさせていただきます。この件に関してアリスは補助にまわりますわ。このこともご了承を得ております」

 ヴィヴィアンの専属メイドが双子の姉妹だということは、先方も分かっている。改めての顔見せは必要ないとのことだった。
 こういう時、一卵性の双子というのは便利なものだ。片方の顔だけを確認すればいいのだから。

「分かりましたわ、ありがとう」



「それとこちらを……お嬢様へとお預かりして参りました」

 セレスが差し出したのは、大小二つの封書が二通。

「あら、何かしら?」

「まずはお手紙の方からどうぞ。資料をご覧になる前に目を通して欲しいとのことでしたわ」



 という訳で、セレスから手渡された手紙を読んでみることに……。

 それによると、フレデリック様はどうやら前世の記憶を思い出した直後から、忘れないようにと少しずつ乙女ゲームの内容を書き留めておられたようだ。
 今回はその資料を、転写の魔道具を使い専用の魔法紙に複写してくださったようで、それをセレスが預かってきてくれたらしい。

「成る程、さすがはフレデリック様。マメですわねぇ」

 早速、その封書を開けて中身を見てみると、乙女ゲームの内容について大まかに記した簡単な書類が数枚、出てきた。
 彼も魔法学院への転入準備で忙しく、時間が取れなかったようで資料は少なめだ。
 先に把握しておいた方がいい主要な情報に重点をおき、まずは攻略対象の名前や、出会いの場面などを箇条書きにして記してある。



 ――主要な攻略対象者は全部で五名。

 まずは、この国の第二王子である、クリストファー・ランドル殿下。

 王弟で近衛長官でもあるバイロン公爵の長男、ハロルド・バイロン公爵令息。

 わたくしの婚約者である宰相の次男、シリル・レジーナ侯爵令息と、友人のリリアンヌ・マリー侯爵令嬢の婚約者で魔法大臣の三男、フレデリック・サクス伯爵令息、ご自身。

 そして最後に、爵位は低いながらもその才覚で財務副長官にまで上り詰めたリーン子爵の長男、ロイド・リーン子爵令息。


 ――こうして改めて見てみると、中々豪華なメンバーですわねぇ。




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