悪役令嬢だと気づいたので、破滅エンドの回避に入りたいと思います!

飛鳥井 真理

文字の大きさ
56 / 89
第一章 目覚めた記憶

第56話 対抗手段

しおりを挟む
 

「状態異常対策ですよ」

「状態異常……と言うと、先程おっしゃっていた魅了魔法とかそう言うものですの?」

「はい、そうです。 魅了、洗脳、思考の誘導など……そういう系統の精神攻撃に対して、ジャミングできるものなんかを手に入れたいですよね」

「……確か簡易的なものなら、既にアミュレットとしてお店でも売っていますわよね?」

「ええ。ただ、相手が恋愛に関してはチートなヒロインちゃんですから。彼女限定で効果がない……なんて事もあるかもしれないでしょう?」

「そう、ですわね?」

 想像したくないが大いにあり得る話で、最悪の事態を想定しておいた方がいいというフレデリックの考えには、ヴィヴィアンも賛成だった。



「勿論、既製品も参考になりますし購入はしますけど。いずれは自作できないかと考えているんです。ヒロインちゃんと違って、僕達は授業も真面目に受けてますし、仕組みがわかれば可能なんじゃないかなと。もし無理そうなら、家の専属錬金術師に要望を伝えて作って貰うという手もありますしね」

「いいですわねっ。もういっそのこと、両方ともやっておきません? 自ら制作出来たら素敵ですけれど、私達はまだ学び始めたばかりで時間がかかるかもしれませんし」

「そうですね。保険を掛けておいた方が安全ですね。そうしましょう。後は、僕達自身のレベル上げをしっかりしておくことですね」

「状態異常耐性をつけるためですわね?」

「ええ、そうです。たとえヒロインちゃんが魅了魔法を使ったとしても、パーソナルレベルが上であれば滅多にかかりませんからね」

 なので、状態異常に耐性をつけるためにも、早くパーソナルレベルを上げたい。

「鍛える時間が必要ですから、コツコツ努力していくしかありませんけど……」

「こういう時には、ラノベの主人公のようなチート能力が欲しくなりますわねぇ」

「ええ。でも僕達には転生者特典のようなものはありませんし、出来ることから少しずつやっていくしかないです」

「……悪役令嬢なのに、何だか地味な作業ばかりですわ」

「はははっ、確かに! パパッと解決とか出来ないですもんね……いくら時間があっても足りなく感じちゃいます……」

「……こんなことならもう少し早く前世の記憶を思い出したかったですわ」

「ですよねぇ」


 レベルが上がれば上がるほど、今のところ努力していないヒロインに対して有利になっていくはずなのが唯一、救いではある。今後彼女に、経験値倍増などのチートスキルが生えないことを祈るばかりだ。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?

藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。 目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。 前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。 前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない! そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる

千環
恋愛
 第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。  なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

処理中です...