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第2話 話を聞かない男
しおりを挟む「おほんっ。貴女はここにいるマロンを無視し……」
「あ、あのぅ、すいません!」
第一声から黙っていられなくて、思わず男の言葉を遮った。
ここは、遠慮なんかしている場合ではない。
早く止めないと悪化しそうだ。
嫌な予感が止まらない彼女は、無作法を承知で続ける。
「盛り上がっているところ、申し訳ないのですが……」
「なんだっ。そう思うなら黙っていろ。今いいとこなんだぞ、話の腰を折るな!」
男はぷりぷりと怒りながら、不本意そうに顔をしかめ……たようにみえた。
いや、何しろほぼ顔全体を覆うタイプの仮面をしているから、たぶん、なんだけど。ほら、よく見えないしね?
「いや、すいません。でもね、これは見過ごせないことですから」
「なんだと!? ふっ、この期に及んで言い訳でもするつもりか!?」
やたらとノリノリで、やはり貴女はそんな女だったな、とかなんとか言って「我が意を得たり」と得意気になっているところ悪いが、そうじゃない。
「いえいえ、そんな必要はないと言いますか……」
「必要ない、だと? 彼女が嘘をついているというのか」
「違います」
いやいや本当、話聞かないな、この男?
「ふんっ、違わないだろう。現に彼女は泣いていたんだぞ!?」
「だ・か・らっ。違うっていってんでしょ!」
「……っ!?」
彼女の心からの叫びにビクッとなって、縮こまりながら勘違い男に体を寄せるマロンさんという人をみて、怒り心頭ですといった感じの男が怒鳴る。
「おいっ、大声を出すなっ。マロンが驚くだろうが。またそうやって、繊細な彼女を怯えさせるつもりなんだろう!?」
「……」
だったらお前も大声出すなよっ。絶対、そっちの方が声量でかいしうるさいよ!?
と、是非とも言ってやりたかったが断腸の思いで我慢する。
勘違い男の言うことにいちいち突っかかっていたら一生、話が進まない気がするからね。
「ぶっちゃけ、そんな話、今はどうでもいいんですけれど!?」
自分の考えで突っ走る暴走男に、ついついこちらも言葉が乱れてくる。
何しろ彼女は付け焼き刃のマナーしかない、成り上がりの貴族令嬢なのだ。
生粋のお嬢様達と違って、お上品に振る舞えないし、興奮すると被った猫もすぐ、ペロッと剥がれちゃうのである。
「ど、どうでもいい!? ふざけるな、いいわけあるかっ。ここは大事なとこだぞ!」
「いやだから、違うんだって。お願い、話を聞いて!?」
お互いに、自分の主張を相手に言い聞かせようとして益々、声がでかくなってきた。
それと比例するように周りが静かになっていくものだから、最初よりもっと、メチャクチャ目立ってしまっている。
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「はっ。誰が貴女の作り話などっ。聞きたくないね!」
「はぁ。らちが明かない」
このままではダメだ。
キッパリ、ハッキリ、言ってやる!
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