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第一章 辺境の町

第168話 満喫出来たよ

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 それから今度は、私の行った魔道具屋さんの話をした。

「へぇ、そんな近くにお店があったんですか。知らなかったです。そしてこれが懐中時計と物理耐性の魔道具なんですね。……高かったんじゃないですか?」

「うん、結構いいお値段がしたけど必要だと思ってね。リノに良さそうな幻術耐性の魔道具も売ってた。ラグナードとパーティーが組めたとして、私達が足を引っ張るのは確実だし自己強化の為にも色々買っておきたいんだ」

「そうですね。実力差は簡単には埋まりませんから、こういったものがあるのはありがたいです。私には迷いの魔樹の討伐をするのに幻術耐性の魔道具が欠かせませんし……」

「幻術耐性かぁ。パーティーを組んでからは、一度も出くわしていないんだよね。リノは魔樹と対峙するのは初めて?」

「はい」

「じゃあ、まずは明日、実際に魔樹の近くまで行って、どれだけ影響を受けるのか確かめてみようか。私にあの幻術は効かないし、安全に実験出来ると思う」

「分かりました、やってみます。他には、魔力の底上げをしてくれるような魔道具が欲しいんですけど……ありますかね?」

「う~ん? 私が見た時には、「MP全回復+1」っていうのはあった気がするけど。今度行くときに、店主のマールさんに相談してみようか」

 おしゃべり好きで気のいいおばあちゃんだし、魔道具に関する知識も豊富なので、きっと相談にのってくれるはず。



 他にもマジックバッグが高くて買えない人用の軽量化の付与魔法が掛かったバッグ……これの名称はコンビニバッグと言うらしいけど……そういう便利な魔道具もたくさんあった。
 きっと、一日中いても退屈しないと思う。まぁ、物欲は刺激されまくるだろうけれどね。

「お金が貯まり次第、二人で行こう。買いたいものがいっぱいあるから、頑張って稼がないと」

「はい、私も頑張ります。でも、冒険者って、こんなに色々とお金が掛かるものだったんですね……知りませんでした。たくさん稼げたと思っても、すぐに消耗品や装備品に消えてっちゃいますし、全然手元に残らないと言いますか」

「今のところは全額、パーティー費用も飛んでってるし、個人のお金も余裕がないもんね」

「ううっ、そうなんですよ。今日の買い物で、手元に残ったのは130シクルだけです……」

「私も似たようなもんだよ……」

 保存食作りとか、節約できるところからしていくしかないか。新パーティー結成予定までそんなに時間もないから頑張らないとね。






 そうやって二人で今日の戦利品を見せ合い、初めての休暇をいかに満喫できたかと話しているうちに、結構な時間が経っていた。

「そろそろ、宿の夕食を食べに行きましょうか」

「……そうだね」

 お腹、いっぱいなんだけどね。ほら、さっきシルエラさんのところで、たっぷりとエルフの郷土料理をいただいて来たばかりだから。

 まあ、そこはリノさんもいっぱい食べ歩きしてきた直後で、条件は同じはずなんだけど彼女まだまだ食べる気満々です……。

 結局、私の分はほとんど全てをリノに食べてもらいました。

 こういう時に彼女が一緒にいてくれると、お残しの心配を全然しなくていいから助かる……彼女のブラックホール並の胃袋に感謝です!




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