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第一章 辺境の町
第240話 チョコレートの実
しおりを挟む小さな籠に盛られた二種類の果物。
色からして珍しい。茶色に黒い縞がある実と、シルエラさんの瞳のような透き通った空色の実。市場とかではあまり見ない実のような?
――まず、一つ目。
茶色に黒い縞のあるこの果物は「チョコレートの実」というらしい。
形は楕円形で鶏卵ぐらいの大きさ。皮を剥いてみると果肉はミルクチョコレートのような色をしていて、味の方はまんまチョコレートのようだけど、甘過ぎず食べやすい感じ。少し、ブラックサポテに似ているかも……?
「美味しいっ。初めて食べましたけど、甘くて深い味わいですね、これ!」
「ふふっ。果物なのにお菓子みたいな面白い味でしょ」
「本当に。食感も果物らしくなくて不思議ですし」
手を加えずそのまま食べるだけで、レアで濃厚なチョコの風味があり、まるでガトーショコラを味わっているような感じなんだよね。はぁ、美味しい……。
これがあればもう、カカオとかいらないんじゃないってくらい。カカオがこの世界にあるかどうかは分からないけどさ。
火を通しても味は飛ばないらしくて、実際にこの実はお菓子作りにも使用されているんだって。
「火加減ひとつで、微妙に風味が変わるの。料理人の腕が試される食材でもあるわ」
「へぇ、このままでも十分美味しいですけど。作る人によって、違うチョコ味が楽しめるなら、食べてみたいですねぇ」
日本でも、チョコレートのお菓子って山ほど種類があったもんね。国によっても好みが違っていたし、この世界でもチョコ味は人気らしいし、期待出来そう。
しかし、パンの実を初めて食べた時もほぼパンと変わらない食感に驚いたけど、チョコレートの実にもびっくりだよ。両方共、木に生っている果実っていうのがね。調理済みのと変わらないものが生る木があるって、本当ファンタジーしてるなぁ。
前の世界でも変わった果物はたくさんあったけど、ここまで衝撃的なのはなかった。
この分だと、知らないだけでもっと色々不思議植物ってありそう……。
「ドライフルーツにしてもまた、味が変わって美味しいのよ」
「どんなのになるんですか?」
「少しね、味が締まって苦味が出てくるの。それがまた、いい風味になるのよ」
傷みやすいので、生食よりもむしろドライにしたものの方が手に入りやすいみたいだけど、今までドライフルーツのお店に行っても見かけなかったのは、売り出されてもすぐ無くなるかららしい。
甘味に少しの苦味が加わって味に程好い変化が起きる他、栄養価も高くなり男の人にも食べやすい、日持ちのする人気のおやつになるんだとか! ブラックチョコみたいになるって事かな? う~ん、不思議。
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