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第3話 疲れた……
しおりを挟む冷たい北風が吹く中、今日一日ダメージを受け続けて痛む頭と胃を抱えながら、疲れきった体を動かし、最寄り駅まで十五分の道のりを急ぎ足で歩く。
さすがにこの時間になると人通りも少ない。ただ今日は金曜日だからか、コンパでもしていたらしい酒臭くてテンションが高めの若者達とすれ違う事が多かった。いいなぁ、楽しそう。
そういや今の会社に入ってから、学生時代の旧友達と会う機会がグンと減ってしまった。
同じ都内にいる奴もいるし、いつでも会えると思っていたけど案外お互いが努力しなければ会えないものだ。久しぶりにこっちから連絡してみるのもいいかもしれない。
やっぱり、たまには気心の知れた連中とバカ騒ぎするのも、ストレスまみれの社畜には必要だよな、うん。
辿り着いた駅で人気のない改札を抜けると、階段を登った先に吹きっさらしのホームがある。朝あった事故による混乱もとっくに解消し、待っている人も少なく閑散としているから、余計に寒々しく感じた。
はぁ、今日は本当に疲れた。でも、自分で自分を褒めてやりたいくらい、めげずによく頑張ったよな、うん。
周りから、呑気だのポジティブ思考だの打たれ強いだのと散々言われている俺だが、流石にアレだけ色々あると落ち込むんだよ。
完全に厄日だったからなぁ。あり得なさすぎる事の連続で、今日が金曜日で明日からの土日が休みじゃなければ精神的に乗り切れなかった……。
でも、何もかも上手くいかない散々な一日も、これでようやく終わった。後はもう、電車に乗って家に帰るだけだし、ここまできたらさすがに何も起きないだろう。
そう思うと安心感から、少し気分も浮上してくる。帰ったら気分転換に、何か楽しいことをしようという気にもなってきた。
どうする? 少しネットサーフィンをしてから、読みかけの本を読むか。それとも撮り溜めた映画を見るか。
いやいやその前に溜まっている洗濯物と部屋の掃除をするべきか? 独り暮らしは自由もあるけど、やることがいっぱいで案外大変なんだよな……。
実家にいた時は、母がやってくれるのを当たり前のように享受していたけど、快適な空間を維持するのがこんなに大変だとは思わなかった。一人暮らしを始めてから、そのありがたさがよく分かったよ。恥ずかしいから直接言った事はないけど、感謝している。
寒さに耐えながらも、帰宅後のお楽しみを考えて気を紛らわしながら待っていると、アナウンスが流れた。時間通りに最終電車が滑り込んで来たらしい。
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