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第4話 最終電車で寝るのは危険
しおりを挟む早速車内に乗り込むと、パッと見で仕事帰りのサラリーマン以外の割合がいつもより多そうだった。まあ、座る分には苦労しない程度だから誤差の範囲だけれども。
最寄りの駅に着くまでは四十分程掛かる。疲れているせいで座るとすぐに睡魔が襲ってきた。
停車する度に少しずつ乗客が下車していき、車内がいっそう静かになっていく。冷えきった体が温まってきて、いよいよ睡魔に逆らえなくなる。
心地よい揺れに身を任せ、カタンコトンと鳴る音を子守唄がわりにスコンっと眠ってしまった。
――んっ?
急にざわざわと人の声が聞こえてくる。
珍しく騒がしいけど金曜日だし、飲み会終わりの団体客でも乗ってきたのか? 先程まで電車の中は、静かだったはずだが。
それに、何だか暖かいを通り越してじんわりと汗ばむ程、暑くなってきたような? 暖房を効かせすぎだろう。コートを着たままだと逆に風邪を引きそうだ。
仕方がない。もうすぐ降りるけど、一旦コートを脱いでしまおうと渋々目を開けてみると……。
――えっ、ま、眩し過ぎる!?
なんだこの予想外の眩しさは……ああ、太陽か……。
って真夜中に太陽? 嘘だろ、どうなってるんだ!?
も、もしかして俺ってば、大幅に寝過ごしちゃったのか? 慌てて立ち上がると周りのざわめきが大きくなったような気がするがそれどころじゃない。
と言うか、もっと何かが……変だ。
――まず、電車がないだろ?
その時点でもう変だが、たった今座っていたのも冷たい石のベンチだったような? 違和感の正体はこれか!
って、イヤイヤ何でだよ? おかしいだろ!?
寝起きの頭は上手く働かないし、疲れ目のせいか、あるいは頭をぶつけすぎたせいか知らないけど、太陽が二重に見えた気もするがそれも今はどうでもいい。そんな事より電車だよ電車、どこ行った?
周りを囲んでいる見知らぬ人々が全員、こっちを見ながらヒソヒソしてくれちゃってるんだけど、自意識過剰じゃないよね。明らかに俺を見て指差しているよね。と言うかあんた達こそ誰ですか?
変な服着てるし、その顔の彫りの深さや、金髪や茶髪はともかくピンクや緑、果ては青の髪色をしたおじちゃんやおばちゃんは、いったい何事。俺以外の乗客が全員、年齢層高めの外国人コスプレイヤーって事はないだろうし……。
と言うことは、一緒に乗ってた筈の人達は何処へ消えたんだ!?
焦ってキョロキョロと周りを見渡してみても、他に日本人らしき人がいない。
いつのまにか野外で、緑いっぱいの公園みたいな所のベンチに座ってたらしい事は把握できたけど。
――うん、把握したけど益々分からなくなったよ……ヤバいっ、これどうしよう!?
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