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第20話 周辺の地図
しおりを挟む「では早速ですが、これが周辺の地図です」
アルフレッドが帰ってすぐ、神官さんが一枚の地図を持ってきてくれて、机の上に広げてくれた。
「拝見します。……ああ、結構近くまで森が迫ってきてるんですね?」
「そうなんですよ。先程、精霊樹の近くは魔物が嫌がり近寄らない、安全な領域だと申し上げましたでしょう。そうなるとやはりこのような場所に街を作るのが一番、自然に恩恵を受けられますから……」
例えば王都などが、精霊樹から離れた土地に建設できるのは、魔物避けのために高価な魔道具を使って、周辺を覆う大結界を築き上げているおかげだという。
その結界があると魔物が入って来れないみたいだが、維持するには莫大な資金と魔道具を扱える人材が必要になるため、実用的ではないのだとか。
「へえ。精霊樹の恩恵ってすごいんですね」
「ええ、そうなんですよ。それで詳しいルートについてですが、こちらは同行予定の神殿騎士の方が詳しいので後で聞いていただくとして……この街から一番近いエルフの国は、南側の大森林の中にありますね」
え、それだけ? 随分とアバウトな……。
「……もしかして、国の場所とか距離なんかの情報って、無かったりします?」
「はい、残念ながら。エルフ族は他民族からの干渉を極端に嫌うんですよ。美しい容貌が災いして、色々な災難が降りかかったということもあり排他的でして。国の周辺には種族結界が張ってあり、同族以外は招かれた者しか入ることができないのです」
「なるほど、そう言うことなら仕方がないですね」
もともと大森林には、磁場が狂っている場所や人の五感がおかしくなり易い魔素溜まりの影響もあって、迷いやすいところなんだとか。
そんな厄介な森の中にある為、普通の人は案内人なしにはエルフの国へと辿り着けず、森をさまよう事になるのだが、それがなければ何週間もかかるという事は無いはずですと苦笑しながら教えてくれた。
こうなると益々、エルフ族の神殿騎士さんに同行を認めてもらわないと俺の異世界人生が初日で詰むなぁ……。
異世界に来たからには、何か大きな使命を背負っているのではとか、秘められた力があるのではないかとかいってテンションが上がるのは、ピチピチの若者だけだと思う。
仕事に疲れた社畜である俺は、そんな波乱万丈な展開は欠片も求めてないというのに……どうよ、この厄介事に巻き込まれました感は……。
――ライトで楽な感じのイージーモードを希望なのになぁ……残念ながら現実は、異世界だろうと変わらず厳しいらしい。
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